以上
2015年6月28日日曜日
生息数調査から1年以上たっても管理職を処分しない板橋区の謎
ホタル生態環境館に関しては、ホタルを飼育していた阿部宣男博士が板橋区から懲戒免職処分になり、飼育業務を請け負っていた「むし企画」が板橋区から契約解除されました(2件とも処分を不服として板橋区は裁判を起こされています)。
ところが、生息調査から1年以上たった今も、板橋区は管理職(上司)の処分を行っていません。少なくとも管理責任はあるので、職員や業者への処分と同時か相前後して管理職への処分が行われるのが普通の感覚ではないかと思います。
この件について、松崎いたる区議のFacebookへの投稿のコメント欄で、論点が良く分かる議論が展開されたので、引用させていただきます。ちなみに、私は松崎いたる区議からブロックされた状態なので、公開投稿であっても読むことはできません。引用部分は友人が送ってくれたものです。また、コメントをした方のアカウント名は「コメント者」に置き換えました。赤字は引用者によります。
元の投稿:
https://www.facebook.com/itall.matuzaki/posts/397046740501713
以上
ところが、生息調査から1年以上たった今も、板橋区は管理職(上司)の処分を行っていません。少なくとも管理責任はあるので、職員や業者への処分と同時か相前後して管理職への処分が行われるのが普通の感覚ではないかと思います。
この件について、松崎いたる区議のFacebookへの投稿のコメント欄で、論点が良く分かる議論が展開されたので、引用させていただきます。ちなみに、私は松崎いたる区議からブロックされた状態なので、公開投稿であっても読むことはできません。引用部分は友人が送ってくれたものです。また、コメントをした方のアカウント名は「コメント者」に置き換えました。赤字は引用者によります。
元の投稿:
https://www.facebook.com/itall.matuzaki/posts/397046740501713
松崎 いたるさんが新しい写真2枚を追加しました以下がコメント欄での議論です。
5月22日
きょう開催された板橋区議会臨時会で、私・松崎いたるは区民環境委員会の副委員長に選出されました。廃館になったホタル生態環境館を所管していた委員会において2年連続で副委員長をつとめることになりました。
コメント者
ホタルは結局、上司の責任を問わないんですね。元職員を処分してから1年経つのに上司の処分がないのは納得いきません。管理責任があり、自分の部下が処分されているんですよ。板橋区も議会も信用できませんね。これじゃ。
5月22日 13:53
松崎 いたる
事実の解明が私の仕事です。事実の解明のないまま、上司の処分を目的にすることは本末転倒です。
5月22日 23:40
コメント者
事実の解明って当該職員の処分をしてから1年以上経つのに上司の処分はないのは変ですよ。民間企業ではありえないですし、その間に上司が退職したり区長が変わったら(今回の選挙ではかわりませんでしたが)退職金が出たりするんですよね。当該職員を懲戒処分した時点で管理職の管理が出来ていないのを役所自ら認めているのですから、それだけでも処分理由になりませんか?結果が出るのはいつですか。
5月25日 10:00
松崎 いたる
上司の誰を、どんな理由で処分するのですか? 「処分」を目的化すべきではないと考えています。
5月25日 10:05
コメント者
管理責任だけでも十分な理由になるでしょう。民間企業で部下が不正を働けば、上司も処分されますよ。共産党さんもよく国政で任命責任と総理等に追求しているじゃないですか。処分した職員の行為をどうして当時の上司は気が付かず、今になってなんですか?監査は何をしていたのでしょうか。上司はどのように部下の業務を管理していたのでしょう。10億という税金をどう考えているんですか。松崎議員自身が元職員が不正していたといっているじゃないですか。松崎議員の理屈なら今後、共産党は任命責任は追及しない方が良いですよ。
5月25日 10:25
松崎 いたる
管理責任という一般的なことでは「処分」はできません。誰がどんな責任があったかを明らかにしなければないりませんが、ホタル博士が不正を認めていないことが、実態解明の大きな障壁になっています。
5月25日 10:29
コメント者コメント者さんの意見は妥当だと思います。処分した時点で、処分に該当する不祥事があったと認めているのですから、その管理責任によって上司に対しても処分を出すのが常識的な対処でしょう。また、議論の流れを見ると、共産党が国政の場で総理の任命責任を追及している事を、松崎いたる区議は、管理責任という一般的なことでは処分できないと批判しているように見えます。共産党も一枚岩ではないのですね。
なら、時間を決めてやるべきです。もう一年以上です。何か政治家が秘書がやったことだから分からないで逃げてるのと変わらない気がします。ちなみに契約時に使った館長印は公費で作ったんですかね。私費ですかね。公費ならその時点で役所はアウトだと思います。そういう点とかも調べてください。
5月25日 12:22
以上
板橋区も認めたホタル累代飼育について
「累代飼育の有無に関して板橋区と松崎いたる区議が真逆の主張をしている事が明らかに」という記事で、むし企画が板橋区を訴えた裁判の中で、板橋区が「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と回答したことをお伝えしました。
むし企画側の求釈明申立書では、「なお、実際には、ホタル持込みの事実はなくホタル館では累代飼育が行なわれていたのであり、以下の釈明によって、原告として、乖離報告書の記載内容が事実であると認めるものではないことを、念のため付言する」と主張していたので、板橋区はこの回答によって、ホタルの累代飼育の事実を認めたことになります(擬制自白)。
私も累代飼育はあったと考えています。その理由の一つは、2013年まで、板橋区自身がホタルの累代飼育を誇りにし、それを広報し、特許を取得し、特許使用料を取り、見学者の満足度調査でも高い評価を得ているとしてきた事です。もし仮に板橋区が累代飼育を否定するならば、20年以上にわたって納税者や利用者を欺いてきた責任を取るのが先決でしょう。私は政治に疎いですが、もし板橋区が累代飼育を否定したら区長辞任レベルの大事件だと思いますよ。
この件に関し、松崎いたる区議は、Twitter上でも飼育実態が無いと主張しています。区の見解と真っ向から対立する意見であり、今後の板橋区との論戦に注目したいと思います。以下、Twilogからの引用です。
松崎いたる区議の発言を以下に引用します。
以上
むし企画側の求釈明申立書では、「なお、実際には、ホタル持込みの事実はなくホタル館では累代飼育が行なわれていたのであり、以下の釈明によって、原告として、乖離報告書の記載内容が事実であると認めるものではないことを、念のため付言する」と主張していたので、板橋区はこの回答によって、ホタルの累代飼育の事実を認めたことになります(擬制自白)。
私も累代飼育はあったと考えています。その理由の一つは、2013年まで、板橋区自身がホタルの累代飼育を誇りにし、それを広報し、特許を取得し、特許使用料を取り、見学者の満足度調査でも高い評価を得ているとしてきた事です。もし仮に板橋区が累代飼育を否定するならば、20年以上にわたって納税者や利用者を欺いてきた責任を取るのが先決でしょう。私は政治に疎いですが、もし板橋区が累代飼育を否定したら区長辞任レベルの大事件だと思いますよ。
この件に関し、松崎いたる区議は、Twitter上でも飼育実態が無いと主張しています。区の見解と真っ向から対立する意見であり、今後の板橋区との論戦に注目したいと思います。以下、Twilogからの引用です。
松崎いたる区議の発言を以下に引用します。
持ち込んだ成虫が繁殖していて不思議はありませんが、「飼育」といえるものではありません
他所から持ちこんだホタルを見せていた偽装です
疑いがあるから調査したのです。累代飼育に証拠がない
25年間の飼育実態が何も確認できない。
板橋区ホタル館の受託事業者「むし企画」に業務の実態があるなら、それを示すことで疑問は解消するのに…。
以上
2015年6月24日水曜日
濾材の殺菌方法は煮沸消毒だけではなかった
「板橋区ホタル生態環境館あれこれ: データ分析: 自然教育研究センターのガス使用量の謎」に、阿部宣男博士時代のホタル生態環境館では、日常的に濾材や飼育道具の煮沸消毒を行っていたという話を書きました。
煮沸消毒は素人の飼育にも使われる方法なので、業務飼育であれば高頻度で行われていても不思議ではないと考えていました。しかし、更に詳しく話を聞いてみると、行われていたのは煮沸消毒だけでは無いと分かりました。記述が不足していた事をお詫びします。上記の記事は後日訂正したいと思います。
さて、以下の写真がその方法を示しています。直火焼きです。ホタル生態水槽内の濾材の一つである「抗火石」を水槽から取り出し、生物等が付着していないことを確認後、直接ガスコンロにかけて雑菌を殺しています。更に、その上からガスバーナーでも焼いています。これを自然冷却して、再度元の水槽に戻していたそうです。
撮影日: 2011年7月22日
撮影者: 阿部宣男博士
撮影場所: 板橋区ホタル生態環境館事務室入口ガス台
抗火石のような多孔質の濾材は、細菌の死骸や細菌が集めた物質でだんだん穴が詰まってしまい、交換が必要になるそうです。問題なのは、多孔質の濾材が目詰りすると、その中に酸素を嫌う「嫌気性細菌」が生息し始めることです。この菌が増えると、酸素濃度が著しく低下し、飼育動物の存続が危うくなるとの事です。
殺菌処理を行うと繰り返して濾材を使えるので、濾材寿命を延ばす効果もあったそうです(とはいえ、数年に一度は交換)。煮沸消毒ではなく、直火焼きを用いたのは以下の理由によるとのこと。
この投稿に関して、松崎いたる区議から以下の質問をいただきました。
私の解釈は以下の通りです。尤も、この記事を書いてから調べた付け焼き刃の推論です。
タンパク質やアミノ酸が分解されるとアンモニアが発生し、生物に悪い影響を与えます。
好気性細菌は、酸素を使ってアンモニアを分解し、亜硝酸塩(毒性強い)に変え、更に、これを硝酸塩(毒性弱い)に変えることで環境をキレイにしてくれます【硝化作用】。酸素豊かな水槽のフィルターの中で働いているのは好気性細菌です。
しかし、好気性細菌は硝酸塩を分解できません。硝酸塩も濃度が高くなると有害なので、時々水を入れ換えて硝酸塩の濃度を下げる必要があります。だから、水槽にフィルターを入れてあっても、水換えは必須なんですね。今回、水換え必須の理由を初めて知りました(笑)。
酸素を嫌う嫌気性細菌は、この硝酸塩を窒素(ガス)に変えられます【反硝化または脱窒】。
それでは、好気性細菌と嫌気性細菌の両方があれば、アンモニアを分解して、最終的に窒素ガスとして放出できるので万々歳・・・と思うのですが、そうはうまく行きません。
嫌気性細菌が硝酸塩を窒素に変換する際には、一旦、硝酸塩を毒性の強い亜硝酸塩に変換してしまうのです。嫌気性細菌が作った亜硝酸塩は、一部は嫌気性細菌が窒素に変換するでしょうが、一部は再び好気性細菌が硝酸塩に変換します。
つまり、好気性細菌と嫌気性細菌が同居する環境では、
亜硝酸塩⇒好気性細菌⇒硝酸塩⇒嫌気性細菌⇒亜硝酸塩⇒振り出しに戻る
という繰り返しが続くことになります。
繰り返しが発生すると、好気性細菌の処理する亜硝酸塩が増えるので、好気性細菌がどんどん酸素を消費します。つまり、好気性細菌が働いている環境に嫌気性細菌も発生すると、両者の間で相反する変換が行われ、好気性細菌が更に活発に活動し、結果として溶存酸素量が下がるのだと考えます。
以上
煮沸消毒は素人の飼育にも使われる方法なので、業務飼育であれば高頻度で行われていても不思議ではないと考えていました。しかし、更に詳しく話を聞いてみると、行われていたのは煮沸消毒だけでは無いと分かりました。記述が不足していた事をお詫びします。上記の記事は後日訂正したいと思います。
さて、以下の写真がその方法を示しています。直火焼きです。ホタル生態水槽内の濾材の一つである「抗火石」を水槽から取り出し、生物等が付着していないことを確認後、直接ガスコンロにかけて雑菌を殺しています。更に、その上からガスバーナーでも焼いています。これを自然冷却して、再度元の水槽に戻していたそうです。
撮影日: 2011年7月22日
撮影者: 阿部宣男博士
撮影場所: 板橋区ホタル生態環境館事務室入口ガス台
抗火石のような多孔質の濾材は、細菌の死骸や細菌が集めた物質でだんだん穴が詰まってしまい、交換が必要になるそうです。問題なのは、多孔質の濾材が目詰りすると、その中に酸素を嫌う「嫌気性細菌」が生息し始めることです。この菌が増えると、酸素濃度が著しく低下し、飼育動物の存続が危うくなるとの事です。
殺菌処理を行うと繰り返して濾材を使えるので、濾材寿命を延ばす効果もあったそうです(とはいえ、数年に一度は交換)。煮沸消毒ではなく、直火焼きを用いたのは以下の理由によるとのこと。
- 抗火石は隙間が奥の方まで開いているため、熱湯では奥の方に棲む細菌を死滅できないリスクがある。直火焼きの方が殺菌効果が確実。
- 各水槽に平均10個、せせらぎの濾過槽700リットル×4本の中に、抗火石だけでも合わせて1立法メートル近くあった。この多量の濾材を殺菌するには、鍋で煮るよりも直火焼きの方が効率が良かった。
この投稿に関して、松崎いたる区議から以下の質問をいただきました。
「『嫌気性細菌』が増えると、酸素濃度が著しく低下」の意味がわかりません。『好気性』の間違いじゃありませんか?
私の解釈は以下の通りです。尤も、この記事を書いてから調べた付け焼き刃の推論です。
タンパク質やアミノ酸が分解されるとアンモニアが発生し、生物に悪い影響を与えます。
好気性細菌は、酸素を使ってアンモニアを分解し、亜硝酸塩(毒性強い)に変え、更に、これを硝酸塩(毒性弱い)に変えることで環境をキレイにしてくれます【硝化作用】。酸素豊かな水槽のフィルターの中で働いているのは好気性細菌です。
しかし、好気性細菌は硝酸塩を分解できません。硝酸塩も濃度が高くなると有害なので、時々水を入れ換えて硝酸塩の濃度を下げる必要があります。だから、水槽にフィルターを入れてあっても、水換えは必須なんですね。今回、水換え必須の理由を初めて知りました(笑)。
酸素を嫌う嫌気性細菌は、この硝酸塩を窒素(ガス)に変えられます【反硝化または脱窒】。
それでは、好気性細菌と嫌気性細菌の両方があれば、アンモニアを分解して、最終的に窒素ガスとして放出できるので万々歳・・・と思うのですが、そうはうまく行きません。
嫌気性細菌が硝酸塩を窒素に変換する際には、一旦、硝酸塩を毒性の強い亜硝酸塩に変換してしまうのです。嫌気性細菌が作った亜硝酸塩は、一部は嫌気性細菌が窒素に変換するでしょうが、一部は再び好気性細菌が硝酸塩に変換します。
つまり、好気性細菌と嫌気性細菌が同居する環境では、
亜硝酸塩⇒好気性細菌⇒硝酸塩⇒嫌気性細菌⇒亜硝酸塩⇒振り出しに戻る
という繰り返しが続くことになります。
繰り返しが発生すると、好気性細菌の処理する亜硝酸塩が増えるので、好気性細菌がどんどん酸素を消費します。つまり、好気性細菌が働いている環境に嫌気性細菌も発生すると、両者の間で相反する変換が行われ、好気性細菌が更に活発に活動し、結果として溶存酸素量が下がるのだと考えます。
【追記終了】
以上
2015年6月21日日曜日
累代飼育の有無に関して板橋区と松崎いたる区議が真逆の主張をしている事が明らかに
前館長である阿部宣男博士が松崎いたる区議を名誉毀損で訴えた裁判の口頭弁論が2015年6月11日に開かれました。ここで出された被告側(松崎いたる区議側)の準備書面が ここ に公開されました。
この準備書面の中に以下のような主張があります(赤字は引用者による)。なお、以下で言う「被告」は、松崎いたる区議のことです。
それはさておき、上記には、さらに重要な主張があります。「累代飼育が続けられてきたことを裏付ける資料,記録は原告の主張以外にない」「累代飼育が科学的検証に耐えられない」という主張です。
この口頭弁論の翌週の6月19日に、むし企画が板橋区を訴えた裁判の口頭弁論が開かれました。ここで、既に記事に書いたように、むし企画側の求釈明申立に対して、板橋区は「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と表明しました。
求釈明申立書では、「なお、実際には、ホタル持込みの事実はなくホタル館では累代飼育が行なわれていたのであり、以下の釈明によって、原告として、乖離報告書の記載内容が事実であると認めるものではないことを、念のため付言する」とまで主張していました。したがって、板橋区はこの回答によって、ホタルの累代飼育の事実を認めたことになります(擬制自白)。
上記から以下のように考えられます。
板橋区は、ホタルの累代飼育を他所にない特長としてアピールしてきました。そして、ホタル夜間公開は毎年1万人を越える入場者を集め、高い評価が得られていることも区議会で認められてきました。したがって、板橋区が累代飼育を認めるのは当然とも言えるのですが、これを真っ向から否定する松崎いたる区議は、今後、区議会でどのように板橋区と対決して行くのか注視したいと思います。
以上
この準備書面の中に以下のような主張があります(赤字は引用者による)。なお、以下で言う「被告」は、松崎いたる区議のことです。
(2) 被告の論評の合理性
ア 被告は,2014(平成26)年1月27日に行われた板橋区資源環境部環境課による調査の結果,ホタル館において発見されたホタルの幼虫は2匹だけであり,未発見のホタルを推計しても23匹にしかにとどまった(乙第2号証)ことから,それまで毎年2万匹を継続して累代飼育を続けているという報告自体が事実に反するものであったことを踏まえて,累代飼育が続けられてきたことを裏付ける資料,記録は原告の主張以外にないことから,累代飼育が科学的検証に耐えられないものと評価するに至ったものである。
そこで,被告は,「ホタル飼育はウソだった」と評価し(本件記事1),「2万匹を成虫にするような飼育実態はなかったことを示唆しています」(本件記事4),さらに「25年間の累代飼育が本当にあったのか」という議会質問をしたところである(議会発言)。板橋区によって実施されたホタル生息数調査については、調査の設計や実施に大きな問題点がある他、結果として間違っていたことも、このブログで指摘してきました。したがって、私は、この調査結果を無批判に採用する上記の主張は無理があると思います。
それはさておき、上記には、さらに重要な主張があります。「累代飼育が続けられてきたことを裏付ける資料,記録は原告の主張以外にない」「累代飼育が科学的検証に耐えられない」という主張です。
この口頭弁論の翌週の6月19日に、むし企画が板橋区を訴えた裁判の口頭弁論が開かれました。ここで、既に記事に書いたように、むし企画側の求釈明申立に対して、板橋区は「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と表明しました。
求釈明申立書では、「なお、実際には、ホタル持込みの事実はなくホタル館では累代飼育が行なわれていたのであり、以下の釈明によって、原告として、乖離報告書の記載内容が事実であると認めるものではないことを、念のため付言する」とまで主張していました。したがって、板橋区はこの回答によって、ホタルの累代飼育の事実を認めたことになります(擬制自白)。
上記から以下のように考えられます。
- 松崎いたる区議の「累代飼育が続けられてきたことを裏付ける資料,記録は原告の主張以外にない」という主張は間違っています。板橋区自身が累代飼育の事実を認めているからです。
- 松崎いたる区議の「累代飼育が科学的検証に耐えられない」という主張は、板橋区の累代飼育を認める見解を真っ向から否定しています。
板橋区は、ホタルの累代飼育を他所にない特長としてアピールしてきました。そして、ホタル夜間公開は毎年1万人を越える入場者を集め、高い評価が得られていることも区議会で認められてきました。したがって、板橋区が累代飼育を認めるのは当然とも言えるのですが、これを真っ向から否定する松崎いたる区議は、今後、区議会でどのように板橋区と対決して行くのか注視したいと思います。
以上
区外からの来訪者も多く評価の高かったホタルの夜間公開
板橋区区議会の議事録からの引用です(赤字は引用者による)。
かつてのホタル夜間公開が高い評価を得ていたことが分かります。
2013.09.25 : 平成25年第3回定例会(第2日) 本文
30 : ◯いわい桐子議員
・・・
次に、ホタル生態環境館について質問します。
ホタル生態環境館は、福島県大熊町と栃木県栗山村からホタルの卵を譲り受けて飼育を始め、1993年に「ホタル飼育施設」を開設し現在に至っています。
この施設で生息するホタルは、ふるさとの小川と同じような水辺の中で、メダカやカワニナたちと「共生」しながら、自らの力で成長し、世代交代をして生息を続け、現在は25代目のホタルが誕生しています。
区は環境指標の昆虫であるホタルが生息できる環境をつくり、生育過程、成虫の飛翔等の公開を通じ、生き物とのふれあい体験の機会を提供することや、ホタルを中心とした生態系や生物多様の大切さを理解してもらうことで、意識啓発を行い、環境意識向上を図ることを目的としてきました。
夜間特別公開は、1日で2,000人を超える日もあり、全体で1万人を超える入場者です。そのうち1,300人が答えたアンケートでは、自然環境を守る大切さ、自然に触れ合う充実感などの感想が寄せられ、満足度も高く、92.3%が「また次回見たい」と答えています。この評価に対する区長の見解を伺います。
また、アンケート回答者のうち43.5%が区内在住者で板橋区以外の都内在住者は37%、他県からは19.5%です。板橋区発信の「ホタルの光」が環境意識向上として、東京都内だけでなく、他県にまで効果を広げています。意識向上の役割を内外に発信していることに対する区長の認識を伺います。
未来創造プランでは、ホタル生態環境館を「廃止」としています。その理由は、老朽化と同時に土地利用上の制約があるため、飼育施設の設置ができないことや、飼育技術継承の困難さです。
この施設は、水も土も空気もきれいでなければホタルが生きられないことを通じて、命なすものが皆生きていかれる環境が必要であることを示しているもので、「エコポリス板橋環境都市宣言」の象徴のような存在です。
この役割や技術を、例えば、熱帯環境植物館のような区の施設なども含め、これまでのように区民がホタルに触れ合えることを条件に、何らかの方法で継承していく努力が必要です。区長の見解をお示しください。
・・・
33 : ◯区長(坂本 健君)
・・・
次は、ホタル生態環境館に関連いたしまして、満足度の高い夜間特別公開についてのご質問であります。
今年度も1万人を超える方々に見学していただいたことに大変感謝をしております。アンケートからは多くの皆様にご満足いただいたことがうかがえておりまして、夜間ホタル特別公開の率直な感想と認識をしております。
続いて、区内外に環境の意識向上を発信することについてのご質問です。
入場者の半数以上が区外からの見学という状況から見ますと、夜間特別公開が区民のみならず、他の自治体の住民の皆様にも評価を受けているものと考えます。また、様々な方の環境意識の向上につながることも期待をしているところであります。
次は、施設の継承についてのご質問です。
現在、ホタル生態環境館がある敷地につきましては、都市計画上の用途規制によって再建築は難しい状況にございます。また、未来創造プランにおきましては「廃止を含めた施設のあり方について検討する」としておりまして、現在、その検討を進めているところでございます。
・・・
以上
かつてのホタル夜間公開が高い評価を得ていたことが分かります。
2013.09.25 : 平成25年第3回定例会(第2日) 本文
30 : ◯いわい桐子議員
・・・
次に、ホタル生態環境館について質問します。
ホタル生態環境館は、福島県大熊町と栃木県栗山村からホタルの卵を譲り受けて飼育を始め、1993年に「ホタル飼育施設」を開設し現在に至っています。
この施設で生息するホタルは、ふるさとの小川と同じような水辺の中で、メダカやカワニナたちと「共生」しながら、自らの力で成長し、世代交代をして生息を続け、現在は25代目のホタルが誕生しています。
区は環境指標の昆虫であるホタルが生息できる環境をつくり、生育過程、成虫の飛翔等の公開を通じ、生き物とのふれあい体験の機会を提供することや、ホタルを中心とした生態系や生物多様の大切さを理解してもらうことで、意識啓発を行い、環境意識向上を図ることを目的としてきました。
夜間特別公開は、1日で2,000人を超える日もあり、全体で1万人を超える入場者です。そのうち1,300人が答えたアンケートでは、自然環境を守る大切さ、自然に触れ合う充実感などの感想が寄せられ、満足度も高く、92.3%が「また次回見たい」と答えています。この評価に対する区長の見解を伺います。
また、アンケート回答者のうち43.5%が区内在住者で板橋区以外の都内在住者は37%、他県からは19.5%です。板橋区発信の「ホタルの光」が環境意識向上として、東京都内だけでなく、他県にまで効果を広げています。意識向上の役割を内外に発信していることに対する区長の認識を伺います。
未来創造プランでは、ホタル生態環境館を「廃止」としています。その理由は、老朽化と同時に土地利用上の制約があるため、飼育施設の設置ができないことや、飼育技術継承の困難さです。
この施設は、水も土も空気もきれいでなければホタルが生きられないことを通じて、命なすものが皆生きていかれる環境が必要であることを示しているもので、「エコポリス板橋環境都市宣言」の象徴のような存在です。
この役割や技術を、例えば、熱帯環境植物館のような区の施設なども含め、これまでのように区民がホタルに触れ合えることを条件に、何らかの方法で継承していく努力が必要です。区長の見解をお示しください。
・・・
33 : ◯区長(坂本 健君)
・・・
次は、ホタル生態環境館に関連いたしまして、満足度の高い夜間特別公開についてのご質問であります。
今年度も1万人を超える方々に見学していただいたことに大変感謝をしております。アンケートからは多くの皆様にご満足いただいたことがうかがえておりまして、夜間ホタル特別公開の率直な感想と認識をしております。
続いて、区内外に環境の意識向上を発信することについてのご質問です。
入場者の半数以上が区外からの見学という状況から見ますと、夜間特別公開が区民のみならず、他の自治体の住民の皆様にも評価を受けているものと考えます。また、様々な方の環境意識の向上につながることも期待をしているところであります。
次は、施設の継承についてのご質問です。
現在、ホタル生態環境館がある敷地につきましては、都市計画上の用途規制によって再建築は難しい状況にございます。また、未来創造プランにおきましては「廃止を含めた施設のあり方について検討する」としておりまして、現在、その検討を進めているところでございます。
・・・
以上
写真: 2012年11月にホタルの故郷である大熊町町長と議長が板橋区長を表敬訪問
Facebookからの埋め込み投稿です。
なお、大熊町町長は、2012年5月にも板橋区を訪問されており、この時の状況は板橋区のホームページに公開されています。
以上
なお、大熊町町長は、2012年5月にも板橋区を訪問されており、この時の状況は板橋区のホームページに公開されています。
以上
2015年6月19日金曜日
データ分析: 自然教育研究センターのガス使用量の謎
【訂正予告2015-6-19】
松崎いたる区議から以下のような指摘を受けました。この指摘のうち、ガスファンヒーターを冬場に動かしていた件についてはその通りだと思います。記事を書いた時点でガスファンヒーターを使っているとは思っていませんでした。したがって、冬場のガス使用量には、ガスファンヒーターによる暖房分が含まれます。事実誤認があった点をお詫びします。
ただ、「日常的に煮沸消毒をしていた形跡はみとめられません」という指摘には同意できません。
改めて、論点を整理した上で週末にでも本文を訂正したいと思います。ちなみに、この件に関して、不思議だった事が一つ分かりました。また機会があれば書きたいと思います。

【訂正予告終了】
「資料: 2012年4月~2015年3月のホタル生態環境館の電力使用量など」には、もう一つ興味深いデータがあります。ホタル生態環境館での都市ガスの使用量です。
以下の図が2012年4月から3年間のガス使用量(m3)をグラフにしたものです。大きな図は ここ にあります。
このグラフから以下が見て取れます。
ガス消費量の差から、自然教育研究センターはそれまで日常的に行われてきた煮沸消毒を止めてしまった疑いがあります。なぜ、そのような判断をしたのかが不思議です。自然教育研究センターは、菌を入れる事に無頓着だったのでしょうか? それとも、板橋区が随意契約しただけあって、煮沸消毒しなくても菌を殺せる超能力でも持っていたのでしょうか?
2013年以前の実績ある飼育方法(煮沸消毒で菌を入れない、等)を自然教育研究センターが踏襲しなかったのはホタル飼育の観点から見ると、全く不適当だと思います。また、管理担当課は、電力やガスの使用量を予実管理の面から必ずチェックしている筈です(チェックしていなければ怠慢でしょう)。したがって、この急激な使用量変化に気づいた筈ですが、それを板橋区や区議会が看過しているのが不思議でなりません。費用の無駄使いもいけない事ですが、必要な作業に費用を使わないのも問題だと思います。
以上
松崎いたる区議から以下のような指摘を受けました。この指摘のうち、ガスファンヒーターを冬場に動かしていた件についてはその通りだと思います。記事を書いた時点でガスファンヒーターを使っているとは思っていませんでした。したがって、冬場のガス使用量には、ガスファンヒーターによる暖房分が含まれます。事実誤認があった点をお詫びします。
ただ、「日常的に煮沸消毒をしていた形跡はみとめられません」という指摘には同意できません。
改めて、論点を整理した上で週末にでも本文を訂正したいと思います。ちなみに、この件に関して、不思議だった事が一つ分かりました。また機会があれば書きたいと思います。
【訂正予告終了】
「資料: 2012年4月~2015年3月のホタル生態環境館の電力使用量など」には、もう一つ興味深いデータがあります。ホタル生態環境館での都市ガスの使用量です。
以下の図が2012年4月から3年間のガス使用量(m3)をグラフにしたものです。大きな図は ここ にあります。
このグラフから以下が見て取れます。
- 阿部宣男博士による飼育期間(2012年4月~2014年1月)は、2012年度も2013年度も良く似たガス使用量になっている。特に、11月~4月の冬から春にかけてのガス使用量が多い。
- これに対して、自然教育研究センターによる飼育期間のうち、2014年3月以降は、ガス使用量が激減している。
- 年間合計で比較すると、ガス使用量は以下のように約10分の1になっています。
2012年度(阿部宣男博士が全期間管理): 3,560m3
2014年度(自然教育研究センター全期間管理): 379m3
なお、自然教育研究センターが飼育業務を開始した2014年度の2月のガス使用量が多い理由は不明です。単に計上が1月ずれているだけなのか、自然教育研究センターも2月だけはガスを使っていたのか、幾つか可能性があります。
- 煮沸消毒: 阿部宣男博士は、「閉鎖空間での飼育の基本はなるべく菌類等を入れない、入れさせない」という考え方に従って、生態水槽等の濾材や石、濾過槽本体、飼育道具の煮沸消毒を日常的に行っていたそうです。
後述する暖房や水温調節を使っていなかったであろう6月~10月の月平均ガス使用量は102m3/月(2013年度)になります。都市ガス13Aの発熱量を11,000kcal/m3とすると、15℃の水1リットルを効率50%で沸騰させるのに必要なガス量は、
(100℃-15℃)×1000 ml÷11,000 kcal÷50%=0.0155 m3/l
日平均ガス使用量は、1月を30日として、3.4m3/日ですから、日平均で沸騰させた水の量は、
3.4 m3/day ÷ 0.0155 m3/l = 219 l/day
となります。沸騰させたままの状態でのガス量を含んでいませんので、実際にはこれより少ない量の水を沸騰させていたと思われます。妥当な範囲だと判断しました。 - ガスファンヒーターによる暖房: 阿部宣男博士によると、事務室のガスファンヒーターを12月~3月に使用していたそうです。
都市ガス13Aの発熱量を11,000kcal/m3として、大型のガスファンヒーターでのガス消費量5,500kcal/hと仮定すると、「1時間あたり0.5m3」の消費量になります。1日に12時間、フル稼働したとして、30日間のガス量は、
0.5 m3 × 12 時間 × 30日間 = 180 m3
となります。2013年12月~2014年2月のガス使用量は、それぞれ、301m3, 520m3, 438m3なので、上記の煮沸消毒分を差し引いても、この暖房以上のガスを使っていた事になります。 - 生態水槽の入れ替え用の水の温め: 180センチ(648ℓ)水槽が10本、大中小の水槽が多数あり、この水の入れ替えを行う際に、冬場は水温を環境に合わせて温める作業をしていたとのこと。水量が大きいので、温める温度差は小さくても、それなりのガス量を食っていたと思われます。(正確な値は計算できませんが)
ガス消費量の差から、自然教育研究センターはそれまで日常的に行われてきた煮沸消毒を止めてしまった疑いがあります。なぜ、そのような判断をしたのかが不思議です。自然教育研究センターは、菌を入れる事に無頓着だったのでしょうか? それとも、板橋区が随意契約しただけあって、煮沸消毒しなくても菌を殺せる超能力でも持っていたのでしょうか?
2013年以前の実績ある飼育方法(煮沸消毒で菌を入れない、等)を自然教育研究センターが踏襲しなかったのはホタル飼育の観点から見ると、全く不適当だと思います。また、管理担当課は、電力やガスの使用量を予実管理の面から必ずチェックしている筈です(チェックしていなければ怠慢でしょう)。したがって、この急激な使用量変化に気づいた筈ですが、それを板橋区や区議会が看過しているのが不思議でなりません。費用の無駄使いもいけない事ですが、必要な作業に費用を使わないのも問題だと思います。
以上
2015年6月17日水曜日
2015年6月14日日曜日
データ分析: 自然教育研究センターの電力使用量の謎
2014年2月からホタル生態環境館の管理業務を行っていた自然教育研究センターの管理日誌から、せせらぎの水温のデータを調べた結果、「せせらぎには、水の冷却・温熱が可能な装置が設置されていたにも関わらず、水温を制御していなかったのではないか?」という疑いを抱きました。
この疑いを検証するため、「資料: 2012年4月~2015年3月のホタル生態環境館の電力使用量など」に示した電力使用量のデータを調べて見ました。以下の図が2012年4月から3年間の電力使用量(kWh)をグラフにしたものです。大きな図は ここ にあります。
このグラフを見ると、以下が見てとれます。
おそらく、2013年以前の夏場の電力使用量増大の最も大きな要因は、水の冷却だったでしょう。上記の大きな差を見ると、自然教育研究センターは水の温度管理(特に冷却)を行っていなかったと推定します。
2013年以前の実績ある飼育方法(温度管理含む)を自然教育研究センターが踏襲しなかったのはホタル飼育の観点から見ると、全く不適当だと思います。このような飼育方法の変更を板橋区や区議会が看過しているのが不思議でなりません。
以上
この疑いを検証するため、「資料: 2012年4月~2015年3月のホタル生態環境館の電力使用量など」に示した電力使用量のデータを調べて見ました。以下の図が2012年4月から3年間の電力使用量(kWh)をグラフにしたものです。大きな図は ここ にあります。
このグラフを見ると、以下が見てとれます。
- 阿部宣男博士による飼育期間(2012年4月~2014年1月)は、2012年度も2013年度も良く似た電力使用量になっている。特に、7月~9月の夏場の電力使用量が大きい。
- 自然教育研究センターによる飼育期間(2014年2月~)になって電力使用量は大幅に減少する。特に夏場の使用量は半分から3分の1に激減している。
2013年7月 16537 kWh ⇒ 2014年7月 7443 kWh
2013年8月 20347 kWh ⇒ 2014年8月 6978 kWh
2013年9月 14943 kWh ⇒ 2014年9月 4055 kWh
おそらく、2013年以前の夏場の電力使用量増大の最も大きな要因は、水の冷却だったでしょう。上記の大きな差を見ると、自然教育研究センターは水の温度管理(特に冷却)を行っていなかったと推定します。
2013年以前の実績ある飼育方法(温度管理含む)を自然教育研究センターが踏襲しなかったのはホタル飼育の観点から見ると、全く不適当だと思います。このような飼育方法の変更を板橋区や区議会が看過しているのが不思議でなりません。
以上
資料: 2012年4月~2015年3月のホタル生態環境館の電力使用量など
2012年4月から2015年3月までの3年間のホタル生態環境館の電力使用量などのデータを情報公開請求された方から資料をいただきました。
この間、飼育を行っていた実質的な担当は以下になります。
2012年4月~2014年1月: 阿部宣男博士による飼育
2014年2月~2015年3月: 自然教育研究センターによる飼育
つまり、2014年2月を境にして、どのように使用量が変わったかを見れば、飼育方法の違いを推定する手がかりになる筈です。これもたいへん重要な資料だと思います。
以上
この間、飼育を行っていた実質的な担当は以下になります。
2012年4月~2014年1月: 阿部宣男博士による飼育
2014年2月~2015年3月: 自然教育研究センターによる飼育
つまり、2014年2月を境にして、どのように使用量が変わったかを見れば、飼育方法の違いを推定する手がかりになる筈です。これもたいへん重要な資料だと思います。
以上
2015年6月13日土曜日
むし企画代表が板橋区を訴えた裁判で板橋区が「ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と回答
2014年1月27日に板橋区によるホタル生息数調査が実施された直後、飼育業務を委託されていた「むし企画」が板橋区から突然契約を解除されました。時系列で見ると以下のようになっています。
2014-01-27
解除の前々日に解除通知を電話で行うのは相当の異常事態だと思います。この解除理由については、総務部長が以下のように議会で説明していました(赤字は引用者による)。(2014年2月には環境課長が訂正答弁を行っていますが、総務部長答弁の方が新しいのでこちらを採用しました)
この裁判で板橋区から驚くべき見解が示された事が、阿部宣男博士のブログに掲載された裁判資料にて判明しました。ここでは2点を取り上げます。一つは、板橋区が「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と表明したこと、もう一つは、阿部宣男博士が「仕様書記載の業務内容について履行を確認してした」と認めたことです。
原文を引用します(赤字は引用者による)。
原告(むし企画代表)から出された求釈明申立書は以下です。
2014-01-27
- 板橋区による抜き打ちのホタル生息数調査。元館長への事前連絡一切なし。
- 作業委託先は(株)自然教育研究センター。資源環境部長と環境課長が立会い。
- 調査の結果、見つかったのはゲンジボタル2匹、ヘイケボタル0匹。全体として23匹と推定。
- 同日夕方、元館長に対し課内異動が発令され、館長職を解かれる。
- 更に、元館長に対し「三日以内に立ち退くように」と業務命令が出される。
- 業務委託されていた『むし企画』に対し、板橋区から電話にて2月1日にて契約解除すると通告。内容証明付き郵便にて契約解除通知が発送される。(元の契約期間は2014年3月31日までであった)
- 「むし企画」との契約が解除され、新たに「(株)自然教育研究センター」の契約がスタート。
解除の前々日に解除通知を電話で行うのは相当の異常事態だと思います。この解除理由については、総務部長が以下のように議会で説明していました(赤字は引用者による)。(2014年2月には環境課長が訂正答弁を行っていますが、総務部長答弁の方が新しいのでこちらを採用しました)
2014.10.28 : 平成26年 決算調査特別委員会 本文むし企画は契約を解除されたので、この契約に関わる契約金を得ておらず、この処分を不当として板橋区を被告とする裁判を起こしました。
◯総務部長
契約行為として問題があるんではないかというご質問でございますけれども、ホタル生態環境館に係る本業務委託契約につきましては、これまでむし企画が蛍の飼育に係る業務について、蛍に係る飼育技術や飼育実積から契約の相手方として最適であると判断し、随意契約を行ってきたものでございます。
このたび、本契約の履行状況やむし企画の実態に関するむし企画の代表者の話等から、今後、契約履行は不可能と判断し、契約の解除を行ったものでございます。
この裁判で板橋区から驚くべき見解が示された事が、阿部宣男博士のブログに掲載された裁判資料にて判明しました。ここでは2点を取り上げます。一つは、板橋区が「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と表明したこと、もう一つは、阿部宣男博士が「仕様書記載の業務内容について履行を確認してした」と認めたことです。
原文を引用します(赤字は引用者による)。
原告(むし企画代表)から出された求釈明申立書は以下です。
求釈明申立書
平成27年4月28日
被告資源環境部環境課が平成27年1月に作成した「板橋区ホタル生態環境館のホタル等生育調査結果と元飼育担当職員の報告数との乖離について(報告)」(以下、「乖離報告書」という。)は、「Ⅸ 総括」において、「塩基配列解析(DNA)調査報告によると、ホタル生態環境館において平成26年に羽化または発見されたゲンジホタルのDNA調査では、福島県大熊町のホタルではなく、西日本地方のDNAを持ったゲンジボタルであることが明らかになった。これは、西日本地方のDNAを持ったホタルが人為的に移動されていた可能性が高いということを示しており、元飼育担当職員が述べていた累代飼育がなされていたなら、西日本地方のホタルが存在するというのは不自然である。」、「ホタル生態環境館のホタルは、外部から人為的移動により持ち込まれ、累代飼育も行なわれていなかったものと考えられる。」としている。
他方で、被告指定代理人篠岡氏は、平成27年4月10日の口頭弁論期日において、本件訴訟では、「乖離報告書の記載内容に基づく主張をする予定は無い」、「乖離報告書はホタル館のホタルのDNAに関するものであり、ホタルの飼育実態についてのものではない」、「ホタル館におけるホタル飼育の実態を争う予定は無い」と述べた。
以上を前提として、被告に対し以下の点について釈明を求める。
なお、実際には、ホタル持込みの事実はなくホタル館では累代飼育が行なわれていたのであり、以下の釈明によって、原告として、乖離報告書の記載内容が事実であると認めるものではないことを、念のため付言する。
1 被告指定代理人のいう「ホタル飼育の実態」について
被告指定代理人の「ホタル飼育の実態を争う予定は無い」との発言の趣旨を明確にされたい。
具体的には、①ホタル館においてホタルの持込みは無く、ホタルの累代飼育が行なわれていた実態を争わないという趣旨であるのか、それとも、②ホタル館においては累代飼育は行なわれておらず、持込みホタル飼育の実態しかなかったが 、それでも、原告の委託業務自体の履行としては問題としないという趣旨であるのかを明確にされたい。
また、②である場合、ホタル館における「持込みホタル飼育の実態」は、平成25年度のみであるのか、それ以前からであるのか、後者である場合いつからであるのかも含めて、被告の認識を明確にされたい。
2 原告の委託業務の履行について
(1) 被告において、以下の事実を認めるか否か明確にされたい。
仮に問題があることを指摘する場合には,そのことがどのように本件業務委託契約の解除に結び付く事実となるのかについても明らかにされたい。
① 阿部氏を含む被告職員以外の者(補助者・ボランティアスタッフ等)が、本件委託業務(ホタル生態環境館・ビオトープ(実験水路)管理及びホタル飼育・水質管理調査)業務に従事していたこと
② 原告が、ホタル館に、上記委託業務に必要な資材(器具や生物*別紙1記載のもの等)を納品していたこと(但し,すべて正確に別紙1記載のものが納品されていたかを問うものではなく,基本的に原告が納品していたことのあるものを掲示しており,必ずしもこれに限定する趣旨ではない)
③ ①②も含めて別紙の原被告間の仕様書にかかる業務内容(別紙2参照)の履行はなされていたこと
(2) 被告は、原告が直接に補助者らを指揮監督していなかった点のみを契約違反の理由と主張するのか否か明確にされたい。併せて、その余の契約違反の理由を主張する予定がある場合には、その理由を明示されたい。
以上これに対して、被告である板橋区は以下のように回答しました。
1 求釈明事項1について
ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わないとの趣旨である。
2 求釈明事項2について
(1) 同①について
被告職員以外の者が、本件委託業務に従事したことのあることは認める。
(2) 同②について
本件契約は、消耗品の納品自体を目的とするものではなく、乙第1号証添付の各仕様書「5.業務内容」欄記載の役務の提供を目的とするものであることから、求釈明申立書別紙1記載の品及びそれに記載されていない品の納品状況は不明である。
(3) 同③について
本件委託業務の遂行に原告が最適であると推奨した元被告職員阿部氏が、平成25年4月から平成26年1月までの間、乙第1号証の仕様書記載の業務内容について履行を確認していたことは認める。
(4) 同(2)について
被告は、原告の主張、主張整理の結果、争点に対する裁判所の訴訟指揮など、訴訟の推移に応じて、適時適切な主張をする予定である。
以上
原告の求釈明申立書にあるように、4月10日の口頭弁論で板橋区代理人から「ホタル館におけるホタル飼育の実態を争う予定は無い」という表明があった事を受けて、原告はより詳細にその意味を確認したいと要求しています。
これに対して、板橋区は「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と回答したのです。さらに、阿部宣男博士が「仕様書記載の業務内容について履行を確認していた」ことも認めています。
この「事実を争わない」というのは、民事訴訟法159条1項によって自白があったとみなされるそうです(擬制自白)。素人理解では、板橋区はホタル館におけるホタル飼育の実態があったと認めたという事でしょう。
板橋区は議会での答弁と矛盾したことを裁判で出してきたとの理解です。
過去の答弁の修正も含めて、板橋区は整合性のある説明をする責任があると思います。
以上
これに対して、板橋区は「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と回答したのです。さらに、阿部宣男博士が「仕様書記載の業務内容について履行を確認していた」ことも認めています。
この「事実を争わない」というのは、民事訴訟法159条1項によって自白があったとみなされるそうです(擬制自白)。素人理解では、板橋区はホタル館におけるホタル飼育の実態があったと認めたという事でしょう。
(自白の擬制)さらに「仕様書記載の業務内容について履行を確認していた」とも認めているので、板橋区の総務部長が述べた「本契約の履行状況やむし企画の実態に関するむし企画の代表者の話等から、今後、契約履行は不可能と判断」という理由が具体的にどのような事実に支えられているのか分からなくなりました。
第百五十九条 当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
板橋区は議会での答弁と矛盾したことを裁判で出してきたとの理解です。
過去の答弁の修正も含めて、板橋区は整合性のある説明をする責任があると思います。
2015年6月7日日曜日
データ分析: 自然教育研究センターのせせらぎ水温管理
2014年2月からホタル生態環境館の管理業務を行っていた自然教育研究センターの管理日誌から、せせらぎの水温のデータを拾ってみます。ホタル幼虫の生育には水温を冷たすぎず熱すぎず保つのが重要だと認識しています。
管理日誌の「せせらぎ水路」の「水温(℃)」のデータを拾って、東京の平均気温のデータと一緒に時系列に並べたのが以下のグラフです。見にくい場合は別画面でどうぞ。
水温の測定時刻が一定しないためのバラつきはあると思われます。
東京の平均気温データは以下のページからダウンロードしてきました。
気象庁|過去の気象データ・ダウンロード
http://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php
せせらぎの水温の時系列変化(2014年2月8日~9月30日)
グラフを見ていただくと以下の疑問が浮かび上がってきます。
管理日誌の「せせらぎ水路」の「水温(℃)」のデータを拾って、東京の平均気温のデータと一緒に時系列に並べたのが以下のグラフです。見にくい場合は別画面でどうぞ。
水温の測定時刻が一定しないためのバラつきはあると思われます。
東京の平均気温データは以下のページからダウンロードしてきました。
気象庁|過去の気象データ・ダウンロード
http://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php
せせらぎの水温の時系列変化(2014年2月8日~9月30日)
グラフを見ていただくと以下の疑問が浮かび上がってきます。
- せせらぎの水温は、季節が冬、春、夏と進むに連れて、どんどん上昇している。
5月中旬から17℃以上の日が続出し、最高温度は9月25日の25.6℃である。
ホタルの飼育環境としては暑すぎるのではないか。 - せせらぎには、水の冷却・温熱が可能な装置が設置されていたにも関わらず、水温を制御していなかったのではないか。
なぜ、ホタルの飼育を引き継ぐまでの飼育方法(温度コントロール)を踏襲しなかったのか? まるでホタルが育って貰っては困るかのような温度制御放棄に見える。
データ分析: 自然教育研究センターのせせらぎ溶存酸素量(DO)測定2
2014年2月からホタル生態環境館の管理業務を行っていた自然教育研究センターの管理日誌から、せせらぎの溶存酸素量(DO)のデータを拾ってみます。ホタル幼虫の生育には水中に十分な酸素が溶け込んでいる必要があると言われており、従来のホタル生態環境館では、できるだけ飽和溶存酸素量に近いレベルを保つようにしていたそうです。
前回は測定回数を調べました。今回は、DOの測定値について調べてみました。
溶存酸素量(DO)は、水中に溶存する酸素の量を示します。DOには上限値があって、それを「飽和溶存酸素量」と呼びます。Wikipediaによると、「飽和溶存酸素量は気圧、水温、溶存塩類濃度などによって変化する」とのことで、蒸留水、一気圧下における各温度の飽和溶存酸素の一覧が載っています。
管理日誌に記録されているせせらぎの水温、DO値などの計測値に飽和DOとDO率を付け加えたのが下表です。(管理日誌からDOを計測したデータのみを抽出した)
飽和DO: Wikipediaにあった蒸留水、一気圧下における各温度の飽和溶存酸素量一覧から
DO率: 測定されたDOと飽和DOの比率
上記のデータから、DO測定について以下のような疑問があります。
以上
前回は測定回数を調べました。今回は、DOの測定値について調べてみました。
溶存酸素量(DO)は、水中に溶存する酸素の量を示します。DOには上限値があって、それを「飽和溶存酸素量」と呼びます。Wikipediaによると、「飽和溶存酸素量は気圧、水温、溶存塩類濃度などによって変化する」とのことで、蒸留水、一気圧下における各温度の飽和溶存酸素の一覧が載っています。
管理日誌に記録されているせせらぎの水温、DO値などの計測値に飽和DOとDO率を付け加えたのが下表です。(管理日誌からDOを計測したデータのみを抽出した)
飽和DO: Wikipediaにあった蒸留水、一気圧下における各温度の飽和溶存酸素量一覧から
DO率: 測定されたDOと飽和DOの比率
日付 | 時刻 | 気温 | 水温 | pH | DO | 飽和DO | DO率 |
2014-04-01 | 11:39 | 18.7 | 12.5 | 8.15 | 13.6 | 10.31 | 131.9% |
2014-04-08 | 09:36 | 23.8 | 13.1 | 8.09 | 10.0 | 10.17 | 98.3% |
2014-04-15 | 09:20 | 23.7 | 13.3 | 8.01 | 11.4 | 10.13 | 112.5% |
2014-04-19 | 15:07 | 15.1 | 12.9 | 8.21 | 10.2 | 10.22 | 99.8% |
2014-04-20 | 10:45 | 12.1 | 13.6 | 8.03 | 9.9 | 10.06 | 98.4% |
2014-04-22 | 14:53 | 18.1 | 13.0 | 8.12 | 9.1 | 10.20 | 89.2% |
2014-04-26 | 14:20 | 25.1 | 13.8 | 8.05 | 9.7 | 10.02 | 96.8% |
2014-04-29 | 16:35 | 18.4 | 13.2 | 8.09 | 8.2 | 10.15 | 80.8% |
2014-05-06 | 11:38 | 13.0 | 13.3 | 8.12 | 9.2 | 10.13 | 90.8% |
2014-05-13 | 14:50 | 24.3 | 15.0 | 7.38 | 7.5 | 9.76 | 76.8% |
2014-05-20 | 14:15 | 26.2 | 17.8 | 7.96 | 9.0 | 9.22 | 97.6% |
2014-05-27 | 15:47 | 24.6 | 17.3 | 8.20 | 9.6 | 9.31 | 103.1% |
2014-06-03 | 14:40 | 25.8 | 18.5 | 8.03 | 9.5 | 9.10 | 104.4% |
2014-06-10 | 15:08 | 22.5 | 17.3 | 8.27 | 8.9 | 9.31 | 95.6% |
2014-06-17 | 13:15 | 22.8 | 18.7 | 8.21 | 6.6 | 9.06 | 72.8% |
2014-06-24 | 13:10 | 23.1 | 18.3 | 7.69 | 7.1 | 9.13 | 77.8% |
2014-07-01 | 16:40 | 22.4 | 18.1 | 7.48 | 6.9 | 9.17 | 75.2% |
2014-07-08 | 15:30 | 28.3 | 19.4 | 7.27 | 7.1 | 8.94 | 79.4% |
2014-07-15 | 14:13 | 24.8 | 20.6 | 7.88 | 6.9 | 8.75 | 78.9% |
2014-07-22 | 14:05 | 26.3 | 19.7 | 7.68 | 6.0 | 8.89 | 67.5% |
2014-07-29 | 14:20 | 29.1 | 19.8 | 8.04 | 7.7 | 8.88 | 86.7% |
2014-08-05 | 14:07 | 24.2 | 21.4 | 7.88 | 6.8 | 8.62 | 78.9% |
2014-08-12 | 11:42 | 27.3 | 22.7 | 7.55 | 5.9 | 8.44 | 69.9% |
2014-08-22 | 09:15 | 26.1 | 23.8 | 7.71 | 6.4 | 8.29 | 77.2% |
2014-08-26 | 11:50 | 25.8 | 23.8 | 7.41 | 6.0 | 8.29 | 72.4% |
2014-09-02 | 13:45 | 26.5 | 24.6 | 7.74 | 6.6 | 8.18 | 80.7% |
2014-09-09 | 13:10 | 27.0 | 23.8 | 7.92 | 7.2 | 8.29 | 86.9% |
2014-09-16 | 16:50 | 24.3 | 24.2 | 7.83 | 7.6 | 8.23 | 92.3% |
2014-09-23 | 13:07 | 25.8 | 21.8 | 7.92 | 6.4 | 8.56 | 74.8% |
2014-09-30 | 15:00 | 25.3 | 22.3 | 7.84 | 7.4 | 8.49 | 87.2% |
上記のデータから、DO測定について以下のような疑問があります。
- 飽和溶存酸素量を越えるDOを測定したケースが4回ある。(DO率が100%を越えているケースで、上の表の黄色のセル)
特に、4月の測定では132%、113%と10%以上も上回っており、測定環境条件の差と見るには大きすぎる。
このような異常値に対して、管理日誌に何らのコメントも記載されていない。これで正常な管理と言えるのだろうか? - DO率が80%を下回るケースが12回もある。うち2回は70%を下回っている。(上の表のピンク色のセル)
DO率の低さは水質悪化の危険性を示しているが、これについても管理日誌に何らのコメントも記載されていない。これで正常な管理と言えるのだろうか?
以上
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