2017年3月6日月曜日

取消が審議される懲戒免職処分の異常な経過(2)

先月、「取消が審議される懲戒免職処分の異常な経過」という記事で、板橋区ホタル生態環境館の館長であった阿部宣男博士が板橋区から懲戒免職処分を受けるまでの異常な経過について紹介しました。当該記事は、アクセス数の少ない本ブログにしては珍しく2週間で約300アクセスがあり、意外にこの ”異常な経過” についてご存知ない人が多いのではないかと思いました。

そこで、懲戒免職処分取消訴訟の原告側の関係者に更にヒアリングして時系列に沿った出来事の情報をいただきましたので、私の認識した問題点と共に以下に示します。取消の和解案が審議される3月6日(月) 10時開始の板橋区議会 企画総務委員会で、これらの問題点が追及・解明されることを期待したいと思います。

【元館長が懲戒免職処分となるまでの経過一覧】
但し、
  • ホタル館: 板橋区ホタル生態環境館の事です。
  • {むし企画代表名}: プライバシー保護の観点から実名を置換えました。

日付できごと補足私の認識している
問題点
2013年
2013年4月山崎智通氏(以下、「山崎」)、資源環境部長に
井上正三氏(以下、「井上」)、資源環境課長に
2013-08-05 (Mon)X弁護士の法律事務所を訪問(井上&山崎)
※X弁護士は板橋区の懲戒分限審査委員会の外部委員
内部での事情聴取や事故報告の前に、外部の弁護士に相談に行ったのが不可解。
しかも、相手の弁護士は板橋区の懲戒分限審査委員会の外部委員であった。本来公平であるべき外部委員に対して、職員が悪いという印象を刷り込みに行ったのではないか?
2013-08-08 (Thu)足立区生物園見学(井上)足立区生物園では、後にホタル館の飼育業務を引き継ぐ自然教育研究センターがホタル飼育を運営
2013-08-26 (Mon)むし企画代表事情聴取①(山崎&井上)部長
「やってないものに対しそれを知っててずっと区からやったごとく、ずっと金をもらっている代表ですからね。代表の責任っていうのは重い… 一般的に言うと例えば罪、罰にあたる行為…例えば背任とかね、詐欺まで行くかどうかわからない…差額の収益を得てて改善しなかったと、で、それを{むし企画代表名}さんが全部握っていた訳じゃないのは分かっている」
「誘導するわけじゃないけどね…身を守るんだったら、誰に頼まれたとかね、誰、例えば、今の話のなかで言うとね、Zさんと阿部さんですよ。どっちかですよ。」
むし企画代表への聴取だが、阿部氏が悪事を働いているとの証言を引き出すように誘導尋問している。
2013-08-29 (Thu)むし企画代表事情聴取②(井上)井上課長
「まあ言いづらいけど、阿部さんが実質的な代表者かな?」
「じゃあ、認めんね? 阿部さんが代表者でいい?」
「実質的な責任者は阿部さんかもしれないし、ほかに誰かいるかもしれないと、思っているね? おしっ!ありがと、いや、ここ、ここ、重要なんですよ。そうすっとねー、俺{むし企画代表名}さんをねー、あまり責めないで済む」
「名義貸しってことを認めていただければ、私はこれ以上触れない。…(えー、だけどこれ(契約書)はどうなるわけですか?)これは別に書いてあったとしても、実質的な責任者がいればこの人は罪に問われます」

「私は{むし企画代表名}さんはハチのことを絶対に知っていると睨んでいる」
「あそこハチ売っているでしょ?」
むし企画代表への聴取だが、阿部氏が悪事を働いているとの証言を引き出すように誘導尋問している。
2013-09-10 (Tue)むし企画代表に電話で事情聴取
2013-09-17 (Tue)山崎らは本件業務の履行状況及び委託費の流れについて、板橋警察署に相談に赴き、上記聴取状況等について説明(被告側が主張した事実)ここでは「板橋警察署」であることに注意。
2013-09-26 (Thu)事故報告(山崎)情報公開請求したが内容はほぼ全て黒塗り

東京都板橋区服務監察規程
第9条1項 部長等は、第4条第1号、第2号又は第5号に該当する事実を知ったときは、遅滞なく別記様式により、主席監察員を経て区長に報告しなければならない。
この時点で事故報告の前提となるどういう事実があったのかが不明。
2013-09-26 (Thu)警視庁捜査2課の刑事が板橋区役所を訪れ、山崎部長らに詳細な説明を求めた(被告側が主張した事実)「板橋警察署」に相談に行った結果、いきなり「警視庁捜査2課」の刑事が出てくるのは奇妙ではないか。
どういう相談をした結果、詐欺や横領などの知能犯を担当する「捜査2課」が出てくる事になったのかを解明して欲しい。
2013-10-02 (Wed)足立区生物園5名来館ホタル飼育方法の相談のために、主管課を通じて来館
2013-10-29 (Tue)足立区生物園でホタル飼育調査打ち合わせ(山崎&井上)ホタル生息数調査を行う前から次に飼育を委託することになる業者とホタル飼育の打合せを開始している。なぜ調査する前から、このような打合せを持っていたのか?
2013-11-01 (Fri)X弁護士訪問(山崎&井上)山崎氏は、ハチの所有権の帰属について相談したと証言またも外部委員である弁護士に相談に行っている。これも悪印象を刷り込むためだろうか?
2014年
2014-01-17 (Fri)小山町調査(井上他)
2014-01-24 (Fri)むし企画契約解除申請板橋区内部手続1月27日のホタル生息数調査の前に契約解除は申請されていた。
2014-01-24 (Fri)ホタル館の飼育業務の新規受託者として自然教育研究センターを申請(随意契約)板橋区内部手続更に、むし企画の契約解除した後の業者もこの時点で決まっていた。
なぜ調査前にここまで準備を進められるのか?
2014-01-27 (Mon)ホタル生息数調査(自然教育研究センターによる)
原告への事前通知なし
このホタル生息数調査については、設計や実施に多くの問題があったと認識している。(ここでは触れない)
ホタル飼育を引き継ぐ業者を決めた後に、その同じ業者にホタルの生息数調査を任せている。通常なら利益相反を防止するために別業者を選定すべきではないのか?
2014-01-30 (Thu)阿部氏異動(環境課執務室)
2014-01-30 (Thu)区長監察命令
「原告に非違行為があることを理由に事故監察を命じた」
第9条第2項
区長は、前項の報告を受理したときは、監察員に事故監察を命ずるものとする。
前年9月26日の事故報告に対応する監察命令がこの時点で出た。3ヶ月もの間、監察命令が出なかったのは何故か?
2014-01-31 (Fri)むし企画契約解除現在、むし企画代表を原告、板橋区を被告として係争中事前通告無しに契約解除を行っているのも問題ではないか。
2014-02-01 (Sat)自然教育研究センターが板橋区の受託業者となる端的に言うと、ホタルはいない(発見できなかった)という調査結果を出したのと同じ業者がホタル飼育を受託した。
利益相反契約ではないか?
2014-02-02 (Sun)





能登町調査(井上他)



板橋区と能登町はホタル飼育での関わりは無いにも関わらず、井上課長の出張命令書の目的が「ホタルの視察」になっていた。これは虚偽の目的記載ではないのか?


2014-02-03 (Mon)





2014-02-13 (Thu)人事課による阿部氏聴取①
2014-02-14 (Fri)むし企画代表の警視庁聴取①担当は警視庁第2課
2014-02-19 (Wed)区民環境委員会◯環境課長
私どもの調査では限界を感じております。どんな内容かということは今後伏せますが、板橋警察署にもろもろ相談しているところでございます。
◯田中いさお
それが本当だとすれば、横領だったり、そういうような話になってくるので、すぐ警察が動かなければならないような案件に感じるんですけれども、いつごろ動き出しますか、実際。
◯環境課長
先ほど申し上げましたように、相談しているということで、これ以上のことに関しましては、警察の動きに影響を与えるといけませんので、詳しい答弁は差し控えたいと思います。
議会での答弁では、問題となった事実を明かさないままに、いかにも犯罪的な非違行為があったことを匂わせている。
これは印象操作ではないのか?
2014-02-21 (Fri)むし企画代表の警視庁聴取②
2014-02-28 (Fri)人事課による阿部氏聴取②
2014-03-10 (Mon)予算審査特別委員会 区民環境分科会◯いしだ圭一郎
「…先日の委員会でクロマルハナバチですか、この販売による営利性の問題で警察とご相談をしているというお話がございましたけれども、その後、何か状況の変化というものがございましたら、教えていただきたい」
◯環境課長
「クロマルハナバチも含めて、いろいろな総合的に相談はしております。ただ、一般論で申し上げますと、我々が相談した部分の中で、ああいった警察が動くとなれば、やはりかなり絞り込まれてくるのか、いわゆる一般的に言う刑事罰のような形ですから、私どもが動くとなれば地方公務員法という話もありますけれども、一番初めの話というのはさまざまな情報を警察に相談しました。どのような内容で警察が動いているかについては、私どもとしては今のところちょっと答弁は差し控えさせていただきたい」
議会での答弁では、問題となった事実を明かさないままに、いかにも犯罪的な非違行為があったことを匂わせている。
これは印象操作ではないのか?
2014-03-13 (Thu)人事課による阿部氏聴取③
2014-03-20 (Thu)むし企画代表の警視庁聴取③
2014-03-20 (Thu)予算審査特別委員会◯中妻じょうた
どのようにしてこの議論、実態調査、決着をつけるつもりかということと、もう一つ質問を続けますが、既に警察に本件を相談しているというふうに聞いておりますけれども、区としてつかんでいる警察の動向、こちら2点、お答えください。
◯資源環境部長
警察の動向でございます。板橋警察に相談していることは事実でございます。内容につきまして詳しくお話しできないというところでございます。
2014-03-24 (Mon)原告代理人 渡邉弁護士 意見書提出
2014-03-24 (Mon)分限審査委員会開催
※外部委員としてX弁護士が参加
東京都板橋区職員懲戒分限審査委員会規則
第3条 委員会は、副区長、教育長及び総務部長の職にある者並びに次条に規定する外部委員1人をもつて組織する。
第4条 区長は、弁護士に外部委員を委嘱する。
事前に管理職から問題があるという情報提供を受けていた弁護士が、外部委員として懲戒処分の審査を行っている。
公平性が守られていないのではないか?
2014-03-24 (Mon)警視庁2課から阿部氏事情聴取について依頼があったが拒否
2014-03-28 (Fri)懲戒免職処分
2014-05-06 (Tue)板橋区ホタル生態環境館のあり方検討結果
平成26年5月 資源環境部環境課

結果は、
「Ⅵ 検討結果・評価
施設の老朽化や技術継承の困難さ等、様々な側面から検討した結果、ホタル生態環境館は、平成26年度内に生物等の移動を行い、平成26年度で廃止するものとする。」

あり方検討会メンバーは、
経営改革推進課長、経営改革推進担当課長のほか、
資源環境部長(山崎)、資源環境課長(井上)ほか
報告書における検討会の内容は以下の通り。
「平成25年5月・6月 担当者との打合せ
平成25年8月 第1回検討会
〃 足立区のホタル飼育施設の調査・視察
〃 渋谷区のホタル飼育施設の調査・視察
〃 東京都夢の島熱帯植物館の調査・視察
平成25年10月 足立区のホタル飼育施設の調査・視察
平成25年11月 第2回検討会
〃 担当者との打合せ
平成25年12月 ホタル等生息調査実施検討
平成26月1月 日本ホタルの会関係者からのヒアリング
〃 ホタル等生息調査実施
平成26年4月 第3回検討会
その他、適宜、情報交換等を行った」

しかし、情報公開請求の結果、上記各検討会の議事録は存在しないとの結果であった。組織要領も不存在。また、上記の「担当者との打合せ」は元職員との打合せでないことは明らかで、山崎氏もその事実は認めた。
「あり方検討会」なる会議が開かれていた証拠が何も出てこない。
また、現場でホタル飼育を担当していた阿部氏には声もかからなかった。
本当に開かれていたのか? 議会では、出席した事になっている区の管理職全てに質問した方が良いのではないか?
2015年
2015年1月板橋区ホタル生態環境館のホタル等生息調査結果
と元飼育担当職員の報告数との乖離について
(報告)

以上

2017年3月4日土曜日

12月23日の講演会資料で公開された日本共産党中央委員会の見解

2016年12月23日に「言論と公益を脅かすニセ科学問題」という講演会が開催されました。講演内容自体には大いに反論したいところではありますが、この記事では触れません。

この講演会で使われた松崎いたる区議の資料が ここ に公開されており、その中に非常に興味深い日本共産党中央委員会の見解が記されていました。


資料から概要部分を以下に引用します。赤字は強調のために引用者が施しました。


■日本共産党の態度
・2015年7月5日 日本共産党板橋地区委員会 地区党会議での委員長報告。この報告は代議員の全会一致で採択。

◆地区委員長報告【板橋区ホタル生態環境館の問題にかんする部分】
「区政問題に関連してホタル生態館の疑惑追及の問題について、ひとこと報告をしたいと思います。
このホタル生態館は25年間、10億円の区民の税金をつかって取り組まれた事業であります。
ここでの疑惑追及は区民の税金のつかわれた事業として重要な意義をもつものでありました。ひきつづきふさわしい取り組みが必要であります。
そしてこの問題を追及してきた松崎区議のネットなどでの発言を捉えて元職員が名誉毀損で訴えを起こすということになりました。
この訴えは、松崎区議の口封じのための訴えという側面をもっているというふうに認識をしております。現在、その対応について関係者と検討しているところであります」。

しかし
・2016.5.2中央委員会の見解
「一つはホタル館問題について。われわれが考える最大の問題は、団としての政治方針が一致確認されてこなかったことにあると。住民から選ばれた代表である党議員や党区議団の区民に対する責任は、ホタル館の不正追及、真相究明とともに、歴代区長をはじめとする区の責任を追及して、区民の納得の得られる対応をとらせることだと考えている
その場合、議員団の過去の方針の全面否定をとる立場や、高島平住民の要望、感情を否定する立場ではなくて、ホタル館に期待を寄せている区民などの願いを裏切った区の責任を正していく政治方針が必要だったのではないか、と。
それが区議団で見解が統一されず、担当職員の個人責任を追及することが中心になった。そういうことは不正を正す面で一定成果があったと思うけれど、結果として区の責任が後景に追いやられて、区がホタル館を廃止するということにとどまったのではないかと考える。
なお、政治方針が確立していなかった点については、地区委員会と都委員会の指導責任があるということを両者に伝えました。

二つ目、裁判の問題について。あなたがSNSで発信した発信内容は、法的に大丈夫か、どうかという問題ではない。SNSの発信問題で党機関が問題にしたのは、党規約が定めた市民道徳と社会的道義を守る先頭にたつ党の地方議員としてのあり方の問題である
裁判は「SNSの発信を改めるべき」とか、「このままでは提訴されるのではないか」という党機関、区議団、法律事務所からの指導や指摘があった。それに対し、あなたは「問題ない」と、これらを受け入れず、ますますエスカレートさせるなかで提訴されたという性格だ

こうした点から、党機関や弁護士が、党が関わる裁判ではないという意見は適切だと考える
またこの裁判は、発信してしまった内容をあらためず、それを既定の事実として訴訟方針を組み立てて争っている裁判であるので、本人自身が「党に指導されて言動を改めたとなると、裁判に不利になる」と、あなたが述べているように党がかかわることができない裁判である


上記の資料を見ると、板橋区地区委員会の報告は従来からの松崎いたる区議の主張をなぞるものですが、中央委員会の見解は全く異なることが分かります。また、松崎いたる区議が名誉毀損で訴えられた事に対する中央委員会の見解も興味深いものです。重要だと思う点を以下に挙げます。

  • 板橋区議団の責任は、「歴代区長をはじめとする区の責任を追及して、区民の納得の得られる対応をとらせること」だと言い、板橋区の責任追及を重要だと示している。
  • 元館長の個人責任を追及することが中心になったために、「結果として区の責任が後景に追いやられ」た点を否定的に見ている。
  • 日本共産党の地方議員としては、単に名誉毀損で法に反しなければ良いというものではなく、「市民道徳と社会的道義を守る先頭に立つ」という高い倫理観を求められている。
  • 党期間、区議団、法律事務所から「SNSの発信を改めるべき」とか「このままでは提訴されるのではないか」という指導や指摘があったにも関わらず、松崎いたる区議はますます態度をエスカレートさせた。そのため共産党としては「党が関わる裁判ではない」と考えている。
  • 松崎いたる区議は「党に指導されて言動を改めたとなると、裁判に不利になる」と考えている。

このような重要な見解が2016年5月2日に中央委員会から示されているにも関わらず、その後も板橋区議団は処分が済んでいる元館長の責任ばかりを追及していたように見えます。民主集中制を標榜する日本共産党にあって、中央委員会の見解に真っ向から逆らった板橋区議団はかなり特異な集団のように思えます。松崎いたる区議が除籍になった後の今回の議会でどのような見解が披露されるのか注目したいと思います。

以上

12月1日の企画総務委員会での橋本祐幸区議による区の責任追及

2016年12月に行われた区議会では、ホタル生態環境館の元館長の未払い残業代請求訴訟に対する和解案が審議されました。

この時の企画総務委員会にて、今回の区議会に提出されている懲戒免職処分取消の和解案にも強く関連する追及がなされていたので、板橋区議会 会議録検索システムから抜粋します。

追及しているのは橋本祐幸区議です。私が重要だと思った指摘ポイントは以下の点です。板橋区行政の責任を問う観点はたいへん重要だと思います。

  • 和解案は判決と同じ重みをもって受け止めるべきである。
  • 未払い残業代を払うという和解案が出たことは、板橋区が「ブラック」企業の最たるものとして認められたこと。反省しなければならない。
  • 平行して進んでいる裁判で懲戒免職処分が不当だという結果になったら板橋区はどう責任をとるのか?
  • 板橋区の監督責任は大きい。

以下に会議録からの抜粋を示します。赤字は引用者が強調のために施しました。

2016.12.01 : 平成28年 企画総務委員会 本文

◯橋本祐幸
 すみません、委員長、ちょっとおくれてしまいました。
 幾つか質問したいと思うんですが、裁判官の和解勧告というのは、どうお考えになりますか。今、役所の中に置かれている法務担当の方はいらっしゃいませんか、ここに。出席していますか。法務担当。ちょっとお聞きをしたいです。

◯総務課長
 実は、法務担当副参事は、区の職員ではありますけれども、弁護士という資格を持ってございます。弁護士法の中で、いわゆる裁判に関することに厳重に守秘義務が課されておりますので、答弁につきましては、私のほうで基本的にやらさせていただきたいというふうに思います。
 お尋ねの件でございますけれども、和解というものがどういう重みというか、意味合いを持つかというお尋ねかと思いますが、先ほどもちょっとだけ紹介させていただきましたけども、いわゆる民事の裁判におきましては、裁判所は和解を試みるという形で、和解という方式を積極的に行うという現状がございます。法的な効果といたしましては、今回、訴訟上の和解でございますので、いわゆる確定判決と同一の法的な効果を生じるところでございます。

◯橋本祐幸
 まさに和解勧告は判決と同じなんですよね。ですから、これをのまなければ、板橋区は敗訴するんですよ。負けるんですよ。和解案をのまなければ。それが判事の下した結論だと思うんですが、違いますか。

◯総務課長
 いわゆる和解でございますので、裁判所が双方の言い分を聞いて、裁判所が判断する、先ほどからいろいろ出ています状況を勘案した結果、裁判所が判断したというところでございますので、板橋区といたしましても、今申し上げたとおり、判決と同等の法的効果が及ぶほど重いものでございますので、今般、仮にこれ以上、次の段階に進んだとしても、我々に有利な裁定は余り期待できないであろうというようなところから、今回和解を良としたところでございます。

◯橋本祐幸
 ですから、今板橋区が考えることは、この和解を重く受けとめて、和解判決ですよね、いわゆる。のまなければ、次は判事がこういうことを下しますよといったものは分析をしておるんですか。

◯総務課長
 まだ他の裁判も行われているということでございますので、全体というところもございますけれども、仮に今回この和解を区が受け入れないという形になりますと、今回提示されている金額よりは多分多目の金額の提示が出てくる可能性が高いかなということと、いわゆるここで原告が要求をしております遅延損害金等々の支払いも発生する可能性があるのかなというふうに認識してございます。

◯橋本祐幸
 そこで、ぜひ板橋区が考えてもらいたいと思うのは、まさにこれを受け入れて、今いろいろ問題になっているブラック企業というのがありますよね。ブラック企業。板橋はその最たるものじゃないですか。五百何十万の金額を請求され、それをのまなきゃならないということはですね。そう思いませんか。

◯総務課長
 ブラック企業という概念がいま一つ我々ちょっとはっきりさせることはできませんけれども、今回の和解というのは、いわゆる原告は6,000万を要求しているわけですね。板橋区はゼロという主張で戦ってきたわけですけども、そういった中で、裁判所が500万という数字を出してきたというところでございまして、いわゆるこのような給与等の未払い請求訴訟におきましては、どちらかというと、労働者側というと変なんですけれども、今までは余りゼロという形で決着したというのは聞いたことがないので、ある程度の金額が出るのは、一定予測せざるを得ないのかなという感触も持っているところでございます。

◯橋本祐幸
 曖昧な答弁だよね。ただ、今、いろいろ世間で言われているようにブラック企業という張り紙もありますよ。いろんなところにね。それをまさに板橋区が受け入れなければならないということは、職員の皆さんもしっかりと反省をしていかなければいけないと、このように思っております。
 そこで、もう一点ですが、これからも訴訟がまだ2つ残っていると、こういうことですが、その残っている訴訟というのは何なんですか。ちょっと教えてください。

◯総務課長
 残りの2つは、いわゆる我々、本体と呼んでおります懲戒訴訟でございます。本人を懲戒処分にした訴訟がまず1つ残っております。それから、ホタル生態環境館の委託業務ということで実施をしておりました。その委託先のほうから、途中で契約を解除しましたので、その分の契約代金の支払いを求める訴訟がもう一つということで、残り2つの訴訟が残っているというところでございます。

◯橋本祐幸
 今回の件とは直接関係ありませんが、懲戒に対するこれからの見通しというのはどうなっているんですか。

◯総務課長
 まさしく今係争中の真っただ中でございますので、その点についてのお答えはちょっと差し控えさせていただきます。

◯橋本祐幸
 もし、懲戒が不当だということになったら、誰が責任をとるんですか、板橋区は

◯総務課長
 まだ、まさに仮定のご質問でございますので、なかなかお答えはできないかなというところでございます。

◯橋本祐幸
 何も質問できないじゃないですか。仮定の話って。だって、みんな仮定を踏まえながら質問しているんでしょう。そういう場合はどうなんですかと、こう聞いているんです。板橋区でなくてもいいから。よその市町村でもいいし、市区町村どこでも構いませんが、そんなことはありましたでしょうか。

◯総務課長
 確かに、今回残業代の訴訟ということでございます。残り2つ、残っておりますので、いわゆる3つの裁判が全て解決した時点におきましては、全容解明といいますか、そういった形で、しっかりと区民、議会の皆様にもご報告する必要はあるだろうという認識は持ってございます。

◯橋本祐幸
 いずれにしても、裁判上、裁判官が和解をしろという勧告をしたということは重く受けとめなければいけないと私は思っているんですよ。私たちも自分の企業、あるいはその中で、いろいろそういう訴訟の経験があります。裁判官の和解勧告を聞かなければ、その次に来るのは、徹底的な敗訴なんですよ。それを言いながら裁判官は和解を進める。そういうことはわかりますか。訴訟の配慮の中で。

◯総務課長
 先ほどもちょっと申しましたとおり、今回の和解につきましては、判決と同等の効力があるというふうに我々も認識しておりますので、非常に重いものだというふうには認識してございます。

◯橋本祐幸
 負けたということをしっかり頭の中に入れておかなきゃいけないと思うんです。区長初め、区の理事者も。勝ったんじゃないんですよ。負けたんですよ、和解は。和解という勧告は。ですから、これからの訴訟においても、そのことを前提にして進めていかなければ、とんでもない結果になるだろうと私は予測をしております。ぜひそれは、これからの訴訟の展開の中に十分織り込んで、弁護士さんとも話をして、そのときはどうしようかということも頭の中に入れながら、これからの訴訟の推移を見て、そしてしっかり腹を決めて戦っていただきたいと、このように思っております。何も判決をとることだけが最終の判断ではないということを私は申し添えておきます。
 以上です。

<中略>

◯橋本祐幸
 先ほどから述べたとおり、まさに板橋区の監督責任というのは大きいと思いますね。今後の2つの訴訟を継続してやっていく上でも、その点をしっかり考えていかなければいけないと、このように思います。
 まして、板橋区が行った全ての行為がひっくり返されるようなことがあったら、誰が責任をとるんだということを、今私はこの場で明言をしておきたいと、このように思っておりますし、我々議会もそれに対して大いに責任を感じなければいけないと、このように思います。
 そこで、重い和解でありますが、これは、この場で板橋区が解決金を払ってでも解決をしていかなければいけないというふうに判断をしますし、裁判官は一旦決めたことを曲げるような裁判官はいないんですよ。それはしっかり腹の中に受けとめて、次の2つの訴訟、和解になるかもしれませんが、そのときはまた議会にもしっかり説明をして、対処していただきたいと、このことを申し上げて、この件については賛成をいたします。


以上