2016年12月に行われた区議会では、ホタル生態環境館の元館長の未払い残業代請求訴訟に対する和解案が審議されました。
この時の企画総務委員会にて、今回の区議会に提出されている懲戒免職処分取消の和解案にも強く関連する追及がなされていたので、
板橋区議会 会議録検索システムから抜粋します。
追及しているのは橋本祐幸区議です。私が重要だと思った指摘ポイントは以下の点です。板橋区行政の責任を問う観点はたいへん重要だと思います。
- 和解案は判決と同じ重みをもって受け止めるべきである。
- 未払い残業代を払うという和解案が出たことは、板橋区が「ブラック」企業の最たるものとして認められたこと。反省しなければならない。
- 平行して進んでいる裁判で懲戒免職処分が不当だという結果になったら板橋区はどう責任をとるのか?
- 板橋区の監督責任は大きい。
以下に会議録からの抜粋を示します。赤字は引用者が強調のために施しました。
2016.12.01 : 平成28年 企画総務委員会 本文
◯橋本祐幸
すみません、委員長、ちょっとおくれてしまいました。
幾つか質問したいと思うんですが、裁判官の和解勧告というのは、どうお考えになりますか。今、役所の中に置かれている法務担当の方はいらっしゃいませんか、ここに。出席していますか。法務担当。ちょっとお聞きをしたいです。
◯総務課長
実は、法務担当副参事は、区の職員ではありますけれども、弁護士という資格を持ってございます。弁護士法の中で、いわゆる裁判に関することに厳重に守秘義務が課されておりますので、答弁につきましては、私のほうで基本的にやらさせていただきたいというふうに思います。
お尋ねの件でございますけれども、和解というものがどういう重みというか、意味合いを持つかというお尋ねかと思いますが、先ほどもちょっとだけ紹介させていただきましたけども、いわゆる民事の裁判におきましては、裁判所は和解を試みるという形で、和解という方式を積極的に行うという現状がございます。法的な効果といたしましては、今回、訴訟上の和解でございますので、いわゆる確定判決と同一の法的な効果を生じるところでございます。
◯橋本祐幸
まさに
和解勧告は判決と同じなんですよね。ですから、これをのまなければ、板橋区は敗訴するんですよ。負けるんですよ。和解案をのまなければ。それが判事の下した結論だと思うんですが、違いますか。
◯総務課長
いわゆる和解でございますので、裁判所が双方の言い分を聞いて、裁判所が判断する、先ほどからいろいろ出ています状況を勘案した結果、裁判所が判断したというところでございますので、板橋区といたしましても、今申し上げたとおり、判決と同等の法的効果が及ぶほど重いものでございますので、今般、仮にこれ以上、次の段階に進んだとしても、我々に有利な裁定は余り期待できないであろうというようなところから、今回和解を良としたところでございます。
◯橋本祐幸
ですから、今板橋区が考えることは、この和解を重く受けとめて、和解判決ですよね、いわゆる。のまなければ、次は判事がこういうことを下しますよといったものは分析をしておるんですか。
◯総務課長
まだ他の裁判も行われているということでございますので、全体というところもございますけれども、仮に今回この和解を区が受け入れないという形になりますと、今回提示されている金額よりは多分多目の金額の提示が出てくる可能性が高いかなということと、いわゆるここで原告が要求をしております遅延損害金等々の支払いも発生する可能性があるのかなというふうに認識してございます。
◯橋本祐幸
そこで、ぜひ板橋区が考えてもらいたいと思うのは、まさにこれを受け入れて、
今いろいろ問題になっているブラック企業というのがありますよね。ブラック企業。板橋はその最たるものじゃないですか。五百何十万の金額を請求され、それをのまなきゃならないということはですね。そう思いませんか。
◯総務課長
ブラック企業という概念がいま一つ我々ちょっとはっきりさせることはできませんけれども、今回の和解というのは、いわゆる原告は6,000万を要求しているわけですね。板橋区はゼロという主張で戦ってきたわけですけども、そういった中で、裁判所が500万という数字を出してきたというところでございまして、いわゆるこのような給与等の未払い請求訴訟におきましては、どちらかというと、労働者側というと変なんですけれども、今までは余りゼロという形で決着したというのは聞いたことがないので、ある程度の金額が出るのは、一定予測せざるを得ないのかなという感触も持っているところでございます。
◯橋本祐幸
曖昧な答弁だよね。ただ、今、いろいろ世間で言われているようにブラック企業という張り紙もありますよ。いろんなところにね。それをまさに板橋区が受け入れなければならないということは、職員の皆さんもしっかりと反省をしていかなければいけないと、このように思っております。
そこで、もう一点ですが、これからも訴訟がまだ2つ残っていると、こういうことですが、その残っている訴訟というのは何なんですか。ちょっと教えてください。
◯総務課長
残りの2つは、いわゆる我々、本体と呼んでおります懲戒訴訟でございます。本人を懲戒処分にした訴訟がまず1つ残っております。それから、ホタル生態環境館の委託業務ということで実施をしておりました。その委託先のほうから、途中で契約を解除しましたので、その分の契約代金の支払いを求める訴訟がもう一つということで、残り2つの訴訟が残っているというところでございます。
◯橋本祐幸
今回の件とは直接関係ありませんが、懲戒に対するこれからの見通しというのはどうなっているんですか。
◯総務課長
まさしく今係争中の真っただ中でございますので、その点についてのお答えはちょっと差し控えさせていただきます。
◯橋本祐幸
もし、
懲戒が不当だということになったら、誰が責任をとるんですか、板橋区は。
◯総務課長
まだ、まさに仮定のご質問でございますので、なかなかお答えはできないかなというところでございます。
◯橋本祐幸
何も質問できないじゃないですか。仮定の話って。だって、みんな仮定を踏まえながら質問しているんでしょう。そういう場合はどうなんですかと、こう聞いているんです。板橋区でなくてもいいから。よその市町村でもいいし、市区町村どこでも構いませんが、そんなことはありましたでしょうか。
◯総務課長
確かに、今回残業代の訴訟ということでございます。残り2つ、残っておりますので、いわゆる3つの裁判が全て解決した時点におきましては、全容解明といいますか、そういった形で、しっかりと区民、議会の皆様にもご報告する必要はあるだろうという認識は持ってございます。
◯橋本祐幸
いずれにしても、裁判上、裁判官が和解をしろという勧告をしたということは重く受けとめなければいけないと私は思っているんですよ。私たちも自分の企業、あるいはその中で、いろいろそういう訴訟の経験があります。裁判官の和解勧告を聞かなければ、その次に来るのは、徹底的な敗訴なんですよ。それを言いながら裁判官は和解を進める。そういうことはわかりますか。訴訟の配慮の中で。
◯総務課長
先ほどもちょっと申しましたとおり、今回の和解につきましては、判決と同等の効力があるというふうに我々も認識しておりますので、非常に重いものだというふうには認識してございます。
◯橋本祐幸
負けたということをしっかり頭の中に入れておかなきゃいけないと思うんです。区長初め、区の理事者も。勝ったんじゃないんですよ。負けたんですよ、和解は。和解という勧告は。ですから、これからの訴訟においても、そのことを前提にして進めていかなければ、とんでもない結果になるだろうと私は予測をしております。ぜひそれは、これからの訴訟の展開の中に十分織り込んで、弁護士さんとも話をして、そのときはどうしようかということも頭の中に入れながら、これからの訴訟の推移を見て、そしてしっかり腹を決めて戦っていただきたいと、このように思っております。何も判決をとることだけが最終の判断ではないということを私は申し添えておきます。
以上です。
<中略>
◯橋本祐幸
先ほどから述べたとおり、まさに
板橋区の監督責任というのは大きいと思いますね。今後の2つの訴訟を継続してやっていく上でも、その点をしっかり考えていかなければいけないと、このように思います。
まして、
板橋区が行った全ての行為がひっくり返されるようなことがあったら、誰が責任をとるんだということを、今私はこの場で明言をしておきたいと、このように思っておりますし、我々議会もそれに対して大いに責任を感じなければいけないと、このように思います。
そこで、重い和解でありますが、これは、この場で板橋区が解決金を払ってでも解決をしていかなければいけないというふうに判断をしますし、裁判官は一旦決めたことを曲げるような裁判官はいないんですよ。それはしっかり腹の中に受けとめて、次の2つの訴訟、和解になるかもしれませんが、そのときはまた議会にもしっかり説明をして、対処していただきたいと、このことを申し上げて、この件については賛成をいたします。
以上