この契約解除の理由については、板橋区議会で総務部長が「本契約の履行状況やむし企画の実態に関するむし企画の代表者の話等から、今後、契約履行は不可能と判断し、契約の解除を行った」と説明しています。
しかし、これだけでは、具体的に何が悪かったのか良く分からないので、知人が板橋区に解除理由を記した行政文書の開示を求めました。その結果を以下に示します。
以下は上記の文書の2ページ目をテキストに起こしたものです。
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25板資環第332号
平成26年1月24日
総務部契約管財課長七島晴仁様
資源環境部環境課長
井上正三
板契第4250400632号の契約解除について(依頼)
標記の件について、下記のとおり契約解除の手続きを依頼します。
記
1 契約内容
(1) 件名 ホタル生態環境館ビオトープ (実験水路) 管理及びホタル飼育・水質管理調査業務委託
(2) 契約番号 板契第4250400632号
(3) 契約金額 14,737,640円(免税 うち5%相当額701、792円)
(4) 履行場所 板橋区ホタル生態環境館 (板橋区高島平四丁目21番1号)
(5) 契約期間 平成25年4月1日から平成26年3月31日 (6) 受託者 むし企画 代表 □□ □□
2 契約解除理由
受託者が受託業務を履行できないことが明らかであるため。
3 受託者について認定される事由
(1) 契約を履行しない
当該委託契約は、仕様書に記載された業務を受託者が自ら誠実に実施することを約している。この場合において業務の全部又は一部の第三者への委任を禁じている。 しかし、受託者は当該業務を自身で履行する能力を有しておらず、本区職員の能力や指示がなければ当該業務の履行が不可能であった。
(2) 契約を履行する見込みがない
上記 (1) の事実から受託者は、本区職員がいなければ当該委託契約を履行する ことはできず、将来においても受託者自身の能力によって履行できる見込みが無い と判断する。
4 解除年月日
平成26年2月1日
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この文書を見て、不可解だと思う点を以下に列挙します(赤字は引用者による)。
- 上記の3の(1)の事由の前段では、「当該委託契約は、仕様書に記載された業務を受託者が自ら誠実に実施することを約している。この場合において業務の全部又は一部の第三者への委任を禁じている。」と契約内容を記しています。ところが、この後段の「しかし、受託者は当該業務を自身で履行する能力を有しておらず、本区職員の能力や指示がなければ当該業務の履行が不可能であった。」という文と論理的に整合していないと思います。後段は、業務を第三者へ委託したという指摘ではなく、板橋区の職員の指示が必要だったという内容だからです。
- また、「本区職員の能力や指示がなければ当該業務の履行が不可能であった」ことが理由になっているのも奇妙に思えます。業務委託なので、板橋区の職員の能力や指示はむしろ必要だと思うからです。
- この文書を見ても、結局、具体的にどういう問題があったのかは書かれていませんでした。具体的な事実指摘無しに契約解除という重大な処分が行われたことに驚きます。
- 決定年月日が2014年1月24日になっています。つまり、板橋区は1月27日に行われた生息数調査の前に契約解除を決定していたことになります。2014年2月19日に行われた区民環境委員会で、訂正があったとはいえ、この文書の起案元である環境課長が「受託者として適正に仕事をしていたのであれば、せせらぎの中に幼虫がたくさんいるはずです。ところが、幼虫もいないということであれば、仕事ができていないと私どもは判断した」と、まるで1月27日の調査結果を理由としたかのように答弁したのは、たいへん奇妙です。
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