2016年10月30日日曜日

名誉毀損発言の対象について

Twitter上での議論の延長なのですが、なぜかTwitterでは返信や引用がシステムから拒否されていて原因が良く分からないので、このブログに書きます。

私が以下のように発言しました。(以下、引用文は段下げで表現します)

https://twitter.com/sengakut/status/790905569792012288
松崎いたる区議が訴えられた原因は、正当な批判をしたからではなく、「インチキ」「詐欺」「ペテン師」といった言葉で原告を執拗に誹謗した事にあります。名誉毀損の訴訟です。
この「ペテン師」という言葉に対して、以下のように相手を特定していないから名誉毀損ではない、という趣旨の反論がありました。例を2つ挙げます。

https://twitter.com/funkyfungifun/status/791772263985008640
その2回のツイは、いずれも対象は特定の人物ではないので、浅学氏がいうような誰かの名誉毀損する内容ではありません。
それを阿部氏のことだと原告側が主張するって事は、あの仮定文に阿部氏が当てはまりますと原告側が認定してるってことになりますね。
https://twitter.com/k2gtr/status/791988893251809281
Wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/名誉毀損
>名誉毀損が成立するには特定人に対してなされたものであることを要し、「東京人」や「関西人」のように単に漠然と集団を対象としても名誉毀損は成立しない
上記について、私の考えを述べます。
まず、名誉毀損の対象については、法律的には以下の解釈だと思います。ツイートに名前を明示しないからと言って対象を特定できないとは言えないとの理解です。

http://www.fuhyo-bengoshicafe.com/bengoshicafe-12441.html
ネット上で相手をはっきり特定せず、イニシャルやニックネーム、伏せ字などを使って書き込みをした場合、その書き込みを客観的に見た第三者が、書き込まれた対象を特定できるかどうかが問題になります。
これを前提として、私は2つの理由によって、松崎いたる区議が以下のツイートで「ペテン師」と言った対象は阿部宣男博士だと考えます。



1.この発言を含む(少なくとも)数ヶ月の間、名誉毀損行為が継続していたこと

これについては、2015年4月9日に原告から出された「請求の変更の申立」に記載された被告による一連の発言を見れば、「放射能が消せるクスリ」がナノ銀を指し、ナノ銀による放射線低減効果を研究している阿部宣男博士を暗に名指ししたものだという事は明らかだと思います。

参考までに、この申立書でナノ銀に関する継続的な名誉棄損行為について記述された部分を引用します。(イメージからテキストを書き起こしたので、文に間違いがあるかもしれません。コメント欄等にてご指摘いただければ訂正します)
(2) ナノ銀に関する継続的な名誉棄損行為 
特にナノ銀に関する名誉棄損行為は以下の通り続いている。(以下はフェイスブックからのみの紹介である) 
① 平成26年12月23日
ニセ科学、インチキ科学を「インチキだ」と警告すると罰せられるとしたら、おかしな世の中だ。オレオレ詐欺の電話を受けた人に「もしかしてホントに息子さんかも」なんていうことがどんなに危険か、誰にでもわかるはずだ。 
② 同年12月27日
ナノ純銀にSTAPを嘲笑う資格はない 
③ 同年12月30日
放射能が消せるクスリがあったらいいと思いませんか? あったら汚染水 の問題などすぐに解決できるのに…。でもそんなクスリはどこにもありません。どんなに「研究」しても無理です。「ある」という人がいたら無知かペテン師です。 
④ 平成27年1月11日(以下はすべて平成27年)
「溺れる者は藁をもつかむ」というけど、ロープや浮き袋があるのに、溺れている人に藁を差し出すのは、犯罪的だと思う。ニセ科学、ニセ薬って…。 
⑤ 1月22日
板橋区ホタル館の阿部宣男・元職員の根拠のないウソ話に日本大学工学部長までだまされていたようです。闇は深い 
⑥ 2月15日
ナノ純銀で放射線低減」というニセ科学が政治家に取り入った瞬間。 
⑦ 2月21日 
飼育担当職員の非科学的な妄想にもとづく「実験」「研究」 
⑧ 2月26日
インチキ除染にご注意を! ナノ銀で放射能、放射線は低減できません。 
⑨ 3月24日
放射能は消すことはできません。板橋区ホタル生態環境館が、このようなニセ科学、インチキ科学の発信地になってしまったことを究明すべきです。 
⑩ 4月3日
ファブリーズでも除染できそうですね RT @a_iijimaa1: @konamih 訴状のp.8、「ナノ銀担持物質をとおして菌が除去できるのであれば、放射性物質にも効力があるのではないか」って、論理の飛躍がすごいですね。 
原告は訴状において「バカげた」,「インチキ」、「詐欺」、「非科学的・ニセ科学」、「トンデモ」「いかがわしい」、「たわ言」,「でっちあげで」あるという事実の摘示が,被告によってなされたことを主張したが,今回も継続して「インチキ科学」「インチキ除染」「ニセ科学」を繰り返すとともに,「無知かペテン師」「根拠のないウソ話」「非科学的な妄想」等と,事実の摘示を行い,もって原告の社会的評価を貶め続けたのである。

2.裁判の中で対象についての争いがないこと

被告から公開された被告側の準備書面を見て私が理解したところでは、この名誉毀損裁判における被告の主張は、端的に言えば、阿部宣男博士は間違っている筈だから、インチキ等と指摘しても良いのだ、というものです。

この名誉毀損裁判で、訴状(その後の訴えの変更申立も含む)に挙げられた個々の被告の発言が阿部宣男博士に向けられたものであることについては、原告と被告との間に争いは無いと認識しています。

つまり、裁判の場で争われていないのであるから、対象が阿部宣男博士であることについては、被告も認めているのだろうと考えました。

以上

2016年10月23日日曜日

「ホタル生態環境館あり方検討会」に議事録は存在しなかった

板橋区ホタル生態環境館の今後の施設のあり方を決めるために「ホタル生態環境館あり方検討会」が板橋区内に立ち上がったとされています。

区の公式の広報によれば、以下のような日程で検討が進められた事になっています。
   平成25年5月・6月 担当者との打合せ
   平成25年8月   第1回検討会
        〃     足立区のホタル飼育施設の調査・視察
          〃     渋谷区のホタル飼育施設の調査・視察
            〃     東京都夢の島熱帯植物館の調査・視察
      平成25年10月  足立区のホタル飼育施設の調査・視察
      平成25年11月  第2回検討会・担当者との打合せ
      平成25年12月  ホタル等生息調査実施検討
      平成26月1月    日本ホタルの会関係者からのヒアリング・ホタル等生息調査実施
      平成26年4月    第3回検討会     その他、適宜、情報交換等を行った

上記によれば、検討会は少なくとも3回開催されている筈です。ところが、板橋区に情報公開請求してみると、その議事録は「公文書不存在」と通知されました。
(この公文書不存在通知書は、松崎いたる区議が名誉毀損で訴えられた裁判に原告側が提出したもので、松崎いたる区議が原告に無断で公開しています。プライバシー保護のため、宛先を私が黒塗りに加工しました。)

議事録が存在しない公的会議は、実施していないのと同じだと私は思います。そこで誰が何を話し合い、何を決めたかが全く分からないのですから、公的な会議としては存在しないも同然でしょう。それどころか、本当に開催されたのかどうかたいへん疑問に思います。このような重要な審議プロセスが全く明らかにされない中で、ホタル生態環境館の行く末を決めたのは重大問題だと思います。

以上

2016年10月10日月曜日

記録:板橋区が実施したホタル生息数調査に対する見解資料

2014年1月27日に板橋区が実施したホタルの生息数調査が酷いものであったことは、本ブログでも何回も指摘してきました。

この生息数調査に対して、2014年3月の時点で、聖学院大学政治経済学部の平修久教授が見解を出してくださっていました。古い資料ではありますが、貴重な記録として、以下に掲載させていただきます。Web掲載の都合上、いただいた文章はそのままにして、体裁のみを若干修正しています。

ちなみに、 聖学院大学では、蛍のせせらぎ「ホタルのビオトープ ~ひかりのせせらぎ~」を2004年に構築され、以来、ホタルが自生する唯一の大学として毎年ほたる祭りを開催されています。



見解資料は以下の通りです。


板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査について

聖学院大学政治経済学部
教授 平 修久

板橋区のホタルに関する特許を基にして整備した学内のせせらぎで、学生とともに10年間、ゲンジボタルの生息環境を保全し、地域の方々を対象にした鑑賞会を実施してきた経験から、板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査に関する個人としての見解を述べたい。

1.ホタルは、現代において、生物学的に貴重であるとともに、地域コミュニティの再生・強化にとっても重要な存在である。ホタルに係る者にとって、幼虫1匹1匹が大切な存在である。

2.板橋区のホームページによると、せせらぎ(屋内)の調査結果は、2匹のゲンジボタルと85匹のカワニナを発見し、推定個体数は、ゲンジボタルが23匹、カワニナが963匹としている。調査会社のこの報告が正しいのであれば、板橋区は区民に対して深く謝罪する義務がある。例年、ホタル鑑賞会では約1万匹のホタルの乱舞を楽しむことができたが、今後はそのような光景を見ることができなくなったことを意味するからである。言い換えると、ホタルという区民の財産が壊滅的になったということである。

3.何の謝罪もなく、原因の究明や対策の実施について区民への説明がないということは、板橋区として、調査結果をそのまま受け取ってはいないと判断される。

4.今回の調査結果は正しいのではなく、不適切な調査方法に基づく不正確な調査結果なのである。

5.生き物の生息調査については、適切な時期と適切な方法がある。調査会社が参照した国土交通省の「河川水辺の国勢調査 基本調査マニュアル【河川版】(底生動物調査編)」には、底生動物の季節ごとに生態についてまでは記載されていない。したがって、ホタルの生息を調査する際には、適切な時期とそれに適合した方法を別途確認することが求められる。今回の調査ではそれについての言及はなされていない。

6.ホタルの一生に関する知識を持ち、ホタルを育てた経験のある人であれば、1月末の段階で幼虫はまだかなり小さく、せせらぎの底でじっとしている時期であり、せせらぎには入らないことは常識である。せせらぎに足を踏み入れての調査は、板橋区民の財産ともいうべきホタルの幼虫に対する配慮がなされなかったと言わざるを得ない。

7.底生生物はルーペを必要とするような数ミリ、あるいはそれ以下のものもある。しかしながら、今回、ホタルの幼虫のサイズを1cm以上のものに限定したという。国土交通省のマニュアルでは、微小の生物に対して0.5mmのふるいを用いることとしている。実際に、1月末の段階では、ホタルの幼虫は数mmと小さい。1cm以上もあるような幼虫は、前年に上陸しそこなったものと思われる。

8.微小な底生生物は採取用ネットの網にひっかかる可能性が大きい。容器に移す際には、ネットに生物が残っていないかを慎重に見極める必要がある。しかしながら、そのような丁寧な採取はなされていない。

9.せせらぎに生息するホタル等の底生生物は微小であり、小石などに挟まれると死ぬ可能性がある。しかしながら、そのようなことを考慮せずに調査が実施されたようである。ホタルの幼虫の生命を気遣う配慮なしの調査は、調査の名に値するとは言えない。

10.以上のように、調査の時期及び方法は不適切である。調査を実施した企業が適切であったかも疑問である。さらには、調査を現場で監督していた区職員が適切な指示を出さなかったことも大いに疑問である。



以上