2017年1月29日日曜日

板橋区議会での高橋正憲区議による厳しい責任追及

2016年10月14日に行われた板橋区議会の決算調査特別委員会で高橋正憲区議がホタル生態環境館の問題に関して、行政側の責任を厳しく追及するシーンがあったことを会議録で知ったので、以下に引用します。

特に注目した部分を赤字にしました(赤字はすべて引用者がつけたものです)。これを見ただけでも、今回の処分とホタル館廃止の不当性が明確に分かります。たいへん素晴らしい討論だと思います。

以下、区議会会議録からの引用です。

2016.10.14 : 平成28年 決算調査特別委員会

◯主査
 休憩前に引き続き区民環境分科会を再開をいたします。

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◯高橋正憲
 それでは、質問をさせていただきます。
 まず、先ほど間中りんぺい委員が質問をしたんですが、区施設ごみの減量化促進ということで、公文書館の排出量が、これゼロになっていますねと、これはどうですかって聞いたところ、これは蛍の施設の関係なんだと、だからこれゼロなんだという、そういう話を伺いました。これ間違いないね。
 それで、これについてちょっとお伺いしたいんですが、このホタル生態環境館閉鎖と跡地整備にかかった費用という、この資料請求した日本共産党91について。この中に工事請負費、旧板橋区ホタル生態環境館解体工事885万6,648円っていうふうに書いてあるんですけれども、これとの整合性を考えてみた場合に、例えばこれ解体すりゃごみが出るわね。当然に。これは当たり前の話だよ。ところが、ゼロになってるということは、解体業者が全部持って行っちゃったんでゼロと、こういうことだろうなっていうふうに、私は思います。
 これが前提だとすればね、これ操作いろいろとできるよね。何か物品を買ったときに、ついでにこのごみも一緒に持っていってくれよと、こういうような話で何となく減らすとか、そういう話になるんじゃないかなというふうに、私はここでちょっと疑義を思っております。
 それで、これを見て思ったのは、要するに、これゼロだからね、今後、蛍に対して質問することがなくなるのかなというようなことで、私が長年ずっと見てきましたこの蛍の関係について、自分の思っていることについて、ちょっと質問したいというふうに思います。
 この中でどれくらい知っているかどうかわかりませんが、熱帯植物館ね、熱帯環境植物館の前の熱帯植物館、ここからこの問題が発生しているっていうことは、皆さん理解していますよね。この熱帯植物館を運営していたときに、その場所で蛍を飼育をしたと。そこで、新しく熱帯環境植物館ができるに当たって、その部分を放棄してしまった。要するに、この業者か役所かわからないけれども、要するにそれを撤去するっていうかね、せっかく生きているのに全部放棄してしまったと、ここから問題は出ているんですよ。
 そのときに、ちょっと大きな問題になって、結局あの当時は栗原区長さんかな、多分ね。その後、石塚区長にかわってのこの話になるんだけれども、ちょうど当時、高島平第三学童保育クラブが、新しく高島学童クラブと区民事務所、区民というか集会所ができて、おかげでそこがあったわけだよね。高三児童館がね。そこに入って、それからずっと飼育をしてきたというのが経過なんですよ。
 そこで、聞きたいんだけれども、板橋区が蛍を飼い始めたその動機と目的、評価、これはどうだったんですか。それをまず聞きます。

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◯環境課長
 これはかなり前の話になってございますので、当時の職員が熱帯植物館、こちらでいわゆるふるさとの蛍、こちらを放したところ、羽化して育ったといったところから始まっているのかなというふうに考えてございます。その後、自然環境、やはり蛍が一つの資本になっているということもございまして、ホタル生態環境館をつくって、板橋で育てていこうじゃないかというようなところが、始まりだったのではないかなというふうに考えてございます。
 詳細については、私は当時おりませんでしたので、そのいきさつについては、よく理解してございません。

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◯高橋正憲
 当時いたかいないかという話は別にしておいて、板橋区が蛍を飼い始めたその動機っていうのはあります。ただ、その動機だけでは飼えないからね、やはりその目的があるはずなんですよ。今言ったように、蛍が住めるようなそういう自然環境豊かなまちづくりを進めていきましょうと、こういうことで始めた事業なんです、これは。ずっとやってきて、かなり大きな評価も得てきたんですよ、ずっと。いいですか。
 私も高島町会の皆さんに警備のお願いもしました。たくさん外部からみんなが見に来る、公開時期になると見に来るので、町会の皆さん方にも、そういうことでやっていますから、ぜひ警備をやってくれっていうことで、警備もお願いをして、石塚さんから賞状もいただきながら、ずっと警備もやってきてもらったっていう経過があります。
 それがずっと続いてきたわけですよ。ある時期にですよ、それも最近ですよ、最近ね。最近になって、その蛍に対して、要するにこの閉館というそういう事態が発生したときに、区の職員が懲戒免職というようなそういう状況に陥ったわけですよ。その前後を考えると、公共施設等整備計画の中かどうかは別にしても、あのホタル館が要するに閉館をしますよと、そういう部分が定期的なそういう計画の中にのっかったんだよね。それが出たその後々に、そういうような閉館するという、それも役所の例の井上前課長だよ。山崎さんもそのとき一緒に行ってたよな。そういうふうな形でやったわけですよ。
 そこで、私が一番関心があるのはね、何が問題で、いいですか、今3つの案件で裁判は行われていますよっていうことはわかっています。その結果もそのうち出るでしょうということもわかっていますけれども、何でこういう事態になったんですか、何でああいうふうに閉館しなきゃいけなかったんですか、その原因をちょっと教えてください。

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◯資源環境部長
 経過等は、私も25年からいて今、委員が言いましたことを進めるというか、そういう経過を、事業ではないですね、経緯を知っていますので、私から説明させていただきます。
 まず、行政評価で蛍の施設について閉館を含めてあり方を検討することという行政評価が出ています。それが平成24年だったと思いますけれども、それから25年になって、私がちょうど異動してきて、あり方を検討するということで、あり方検討会をつくって、あり方を検討しました。この委員会にも、そのあり方検討の報告はしてあります。それで、いろいろな面で検討して今、委員がおっしゃった貢献した面もありますけれども、施設の老朽化とか、技術等を継承する人間がいないとか、それとかランニングコストとか、今後のことというようなことで、総合的なあり方で閉館するような方向というような結論になって、議会報告等をしたものでございます。その間に生息調査とか、一体何匹いるんだというようなところも、あり方検討の中で調査をして、非常に少なかったという結果も出ております。その後、何が問題だったかというのは、やはりあり方検討の中で今申し上げたことの問題で、最終的には閉館という結論に至ったというところでございます。
 それと職員が免職ということですけれども、その理由は、業者と私的に契約をしたとか、あと大分前からですけれども、蛍のせせらぎの累代飼育をするという特許を取っておりまして、その特許は有料で民間なり公共施設もそうですけども、特許使用料を払っていただいて、それで施工するというような流れの中で、今回出ているものは静岡県のちょっと町の名前はあれですけれども、そこの町に特許料を免除するようなことで施工したというような点とか、ほかにもありますけれども、そういう点で職員の処分というのは、そういう理由で懲戒分限委員会のほうで決めたということで、その内容は分限委員会の中で検討されたことが問題だったということだと思います。

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◯高橋正憲
 僕はここで問題にしたいのは何かというと、板橋の私は職員、管理者、非常に私は優秀だと思っていますよ。一生懸命仕事をやるし。それはどういうことかというと、管理者が優秀っていうことはどういうことかといったら、職員に対してきちっとした指導ができるっていうことでしょう。やる気を持たせるっていうことでしょう。
 ここで非常におかしいのはね、今言った程度の問題で、懲戒免職になるということ自体がおかしいんです。そうでしょう。もしも、山崎部長がそのことを、そういう状況を知っていたとするならば、何で職員に対して的確な指導をしないの。何で今回は職員が懲戒免職になって、管理者は誰ひとり責任をとっていないの。おかしいじゃないか、それ。これは対外的に見たっておかしいじゃないか、これ。何だよ、今の管理者というのは、職員が何かミスをすると、全部職員のせいにするのかよ。おかしいじゃないか、これ。たかだかそれぐらいのことなんでしょう。口で注意すればいいじゃない。注意してだめだったら、もう一回注意すればいいじゃない。3回目に注意してやらなかったら停職にするとかなんかって、そういう順番があるでしょうよ。何にもしていないで、いきなり懲戒免職というのはおかしいだろう。僕はそのことを言っているんだよ。
 それは窃盗したとか、殺人を起こしたとか、交通違反を起こして人をやっちゃったとかね、そういうことだとその場で逮捕されて、懲戒免職とかなんかと、それは規定があるでしょう、職員の。それはよくわかりますよ。でもね、二十数年間、この事業というのはね、大変な大きな事業で、板橋区は蛍の住める町にしていこうということで、大々的なプロジェクトというか、大々と宣伝したんだよ。坂本健区長のホームページまで載っていたんですよ、これは。事件がそんなふうになってから、すぐ区長のホームページからは消えたようだけれども、これだけのものだった。
 それは一個人の問題ではなくて、板橋区としてやはり昔、蛍が住んでいたということも含めて、ああいう蛍が住める、特に大和町交差点なんかは日本で一番、要するに汚染された地域で、そういうものを踏まえて、何とか板橋区は環境のいい町にしていこうと、そういうことも含めて蛍の育成というのは始まっているんだよ。
 だから、石塚区長だって、一生懸命あそこに学習のプレハブを私が提案してつくってくれたり、いろいろとやってたじゃないの。坂本区長だってホームページに書いて、いろいろと宣伝してたじゃない。それだけの意義のあるものをだよ、一職員の首を切るだけで、その事業が中止になっていいのかよ。もう蛍が住めるようなそういう環境のいい、そういう板橋区はもうやめるのかよ。そして、管理者の責任はどうなんだよ。二十数年間放置をしてきたその管理者の責任はどういうふうにするのよ。それは毎年、管理者はかわるし、私、知りません、それで済む問題なの。それだったら有能な管理者とは言えないんじゃないですか。
 私はとっても、ほかの23区に行ったときでも、板橋区の職員、そして管理者は優秀だというふうに私は言っていますよ。でも、これに関しては、非常に管理者は職員に対しての責任だけで、自分たちでそういうことに対しての責任をとろうとしていない。何が問題だったのかということを反省していないし、教訓にしていないじゃないの。何なんだよ、それは。こういう事業というのはたくさんあるかもしれないよ。
 僕が思うにはね、やはりいい仕事をしてもらうためには職員を信頼して、そしてやらせるんだよ、いろいろと。自分の責任を職員に押しつけるようなことはするもんじゃないんだよ。まして、今回は、わかりにくいのは、1人の職員をね、それも20年間もずっとやっていて、要するに同じようなことをずっとやっていて、何でこのあり方検討会でそれを評価はこれだからもう閉館するといった瞬間に、いきなりあそこに入って生態調査をしたら、少なかったとか、多かったとか、特許の問題がどうだったこうだったという話になるのよ。特許の問題はそこだけじゃないだろうよ、だって。ずっと前からやっているじゃないの。そういうことじゃないんですか、それについてどうですか。

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◯資源環境部長
 まず、先ほどの町の名前、ちょっと申しわけございません。静岡県の小山町です。
 それから、質問の件なんですけども、管理者の責任に関しましては、前回でしたか、予算委員会だったかちょっとはっきりしませんけれども、今後、職員の、当該職員だけでなく、関係職員も処分というか、責任のことを進めますというようなことを総務部長が答弁しております。
 ただ、それはなぜ遅くなったのかというのは、私もちょっとまだ理由はわからないんですけれども、そういうような責任の処分等はあると思っております。
 それと、なぜ今までそういうような形で、管理者が放置したんじゃないかというお話でございましたけれども、その辺は申しわけないんですけれども、今、裁判の継続中で、陳述とかいろいろありましたけれども、その辺に関しましては係争中ということで、答弁は控えさせていただきたいところです。

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◯高橋正憲
 先ほど山崎部長も言ったけれどもね、あの2つの要件が最大要件じゃないよね。あのぐらいで懲戒免職になるという、そういう代物じゃないよね。だから、全て皆さんは今係争中だから控えさせてくれということを言うんだけれども、今出した2つが、それが大きな主題だとしたら、私はとてもじゃないけれどもね、懲戒免職という話にはならないと思う。
 僕はなぜこのことを言いたいかというとね、公務員というのは、昔、僕も準公務員というような立場にいたことはあるけれども、公務員というのは入社してから60歳までちゃんと働いて、60歳から65歳までまた再任用、再雇用で働いて、退職金をもらって、年金をもらって、ああ、よかったなというのが大体公務員のスタイルなんだよ。それが彼にしてみればだよ、何の注意もされずに、いきなり来たら懲戒免職だっていう話になったとしたらね、何でその時々にちゃんと管理者として指導してくれなかったのかというのが、大きな問題になるんだよ。総務部長は後で処分をするとかしないとかという話をしてたけれども、彼は実際に処分されて、懲戒免職で退職金も一銭ももらってないんでしょう。公務員として、そういう意味だともうすぐ終わり、目の前、退職だなんてそういうときに、あり方検討会の評価が出て、それは評価はないからもうやめてしまえという、そういう話にのっかって、初めて生息調査に行ったらいなかった。だから、壊したなんて、こんなばかな話はないでしょうよ。
 違ってたら違ったでいいですよ。私はずっと見てて、そう感じてるんだから。公務員としたら40年も勤めてよ、あともうちょっとで退職するというのにさ、2,000万ぐらい、多分2,000万ちょっとぐらいもらうんでしょう。退職金はパアになるしさ、その間は再任用、再雇用で働けない。

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◯主査
 時間です。


以上

松崎いたる区議は無所属から無会派へ(1月20日)

板橋区の松崎いたる区議が、2015年12月7日に日本共産党の会派を離脱し、無所属になったことは既に書きました

これを受けて、板橋区のホームページでも当初は「無所属」と紹介されていたのですが、1月20日付けで更新が行われ、所属会派が「無会派」に変更されたようです。


無所属と無会派の意味の違いを良く理解できていませんが、記録のために載せておきます。

以上

2017年1月2日月曜日

原研によるナノ銀放射線低減実験報告書の問題点(4)~測定器の記載無し

これまで原研から出たナノ銀による放射線低減実験の報告書については以下の記事で批判してきました。
今回は、原研の報告書には、実験に用いられた放射線計測器の型番など、その測定器が何なのかを示す情報が一切記載されていない点を取り上げます。

阿部宣男博士が松崎いたる区議を名誉棄損で訴えた裁判の準備書面には以下のように記されています。
(3) 測定器等の明記がないこと
また、原研の測定の問題点としては、使用された機器の型番が記載されておらず、測定項目や測定精度について明確な仕様が分からない点を挙げることができる。
測定機器を明確に書かないのは実験レポートとしての信憑性に疑念を抱かせるものである。
さらに測定時の写真が載っていないのも、どのような状態で測定したかがわからず、これまた信頼性を削いでいる。
実験レポートとしては驚くべき事ですが、放射線測定を行った測定器がどのような仕様のものか原研の報告書には書かれていないのです。測定器を特定できる情報を書くのは実験レポートの基本だと思っており、この基本ができてない報告書が専門家によって書かれたものとは信じられません。

測定器が特定できないため、その機器が出力するデータ項目やその精度が把握できません。また、例えば、原研の報告書には、放射線のカウント値の他にBq/kg(重量あたりのベクレル数)が載っているのですが、この値がどのように計算されたかが分かりません。おそらく測定器がカウント値から自動換算しているのだと思いますが、元データとなる「重量」を人間が入力したのか、あるいは、測定器が自動計量したのか不明ですし、重量値としてどのような値を与えたのかも分かりません。そのため、原研報告書にあるBq/kg値をそのまま使った分析には注意が必要です。


測定器を特定できる情報が書かれていない点は、ニセ科学批判の観点からも厳しく批判されるべきものだと思いますが、不思議なことに、この点を批判するニセ科学批判者を見たことがありません。原研という権威筋が書いた報告書であれば、内容がどうあれ、無批判に受け入れるのがニセ科学批判の姿勢なのでしょうか?

以上

未払残業代請求訴訟への和解案への反対・賛成討論

2016年12月12日の板橋区議会本会議にて、未払残業代請求訴訟への和解案の採決が行われた際の反対・賛成討論のテキストは以下で参照できます。私はどちらの内容に対しても異論がありますが、記録のためにリンクを載せておきます。


松崎いたる区議の反対討論のテキストは以下に投稿されているそうです。私自身はブロックされているので見ることができませんが。
https://www.facebook.com/itall.matuzaki/posts/603172603222458

共産党の竹内愛区議の賛成討論のテキストは以下に投稿されています。
年内最後の本会議が終了 : わいわい桐子
http://yykiriko.exblog.jp/26222044/

以上

2017年1月1日日曜日

未払残業代請求訴訟の和解案が議論された区議会の日程と会派の態度

未払残業代請求訴訟の和解案は、板橋区の平成28年第4回区議会定例会で議論されました。全体のスケジュールは以下に公開されています。


この中で、和解案に関わる会議は以下の3つです。
  • 11月15日の議会運営委員会で、和解案が議案として提示された。
  • 12月1日の企画総務委員系で、和解案が審議され、全会一致で可決された。
  • 12月12日の本会議で、和解案に対する賛成討論と反対討論が行われ、その後、賛成多数にて可決された。
議案は以下に公開されています。「議案第108号 訴訟上の和解について」という題名のものです。


本会議では、賛成43、反対1、退席1 の賛成多数で可決されました。反対したのは、無所属の松崎いたる区議、退席したのは市民の五十嵐やす子区議でした。

http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/080/attached/attach_80942_1.pdf

以上

高島平新聞に報じられた「未払残業代請求」訴訟の和解

板橋区ホタル生態環境館をめぐる事件で、板橋区は3件の訴訟を受けています。その内の一件「未払残業代請求」訴訟について、和解案が2016年12月12日の本会議で可決された事が高島平新聞2016年12月15日号に報じられました。

事件の全体像を俯瞰しながら、公平な視点で報道された良い記事だと思います。

以下にこの和解に関する部分を引用させていただきます。記事の最後にも触れられていますが、3件の訴訟が決着したら、板橋区と議会は是非、この事件の真相解明にもう一度真剣に取り組んで欲しいと思います。
今回未払残業代請求に関しては、原告側がさかのぼれる期間の未払い残業代と賦課金を合わせ6000万円請求したことに対し、区側はおおむね確認している時間外手当は既に支払い済だという認識を崩さなかったものの、裁判所は原告に対して黙示の業務命令があったものとし、被告である区が解決金として原告に500万円支払うという和解勧告を示した。
12月1日に行われた企画総務委員会では区議から、25年にもわたり1人の職員が同施設に勤務していたこと自体が特異、勤務実態をもっと突き止めるべきだったのではないか、この和解勧告は敗訴に等しいなどの厳しい指摘を受け、区側も重く受け止めているとした。


以上

原研によるナノ銀放射線低減実験報告書の問題点(3)~初期値の測定について

これまで原研から出たナノ銀による放射線低減実験の報告書については以下の記事で批判してきました。



年末に再度問題点について議論したので、その時の結果をまとめておきます。
今回は「初期値」の測定についてです。

阿部宣男博士が松崎いたる区議を名誉棄損で訴えた裁判に出された準備書面には以下のように記されています。ここに書かれている通り、原研は、ナノ銀を混合した試料について、ナノ銀を混合する前の放射線値(=阿部宣男博士の言う「初期値」)を計測していません。


以下に引用します。
2 原研試験の測定方法等の問題点
(1) 1回目及び2回目に共通する問題点-初期値の測定の不存在
本件で行われるような試験の場合、通常採用している検証測定方法は、まずは
各試料の初期状態、すなわち何も施していない状態でそれぞれの線量値を測定
し、そのあと、試料にナノ純銀担持体 (必要なら対照試料を用意し、非ナノ純銀
担持体)を施し、その後の各試料の線量変化を測定していくものでなければなら
ない。
原研による第1回試験・第2回試験とも各試料の初期値 (ナノ純銀を添付ない
し混合する前の段階の線量値) が測られていない。
原研は2回目の実験測定の報告の中で以下のような図を提示しています。私が赤線を付けた部分(2箇所)には、「初期値・・・」と書かれています。これを見て、原研は初期値を測定していると主張される人がいるようですが、これは阿部宣男博士らが要請していた初期値とは異なるものです。

原研による2回目の実験測定の手順を記した部分が以下になります。

以下にその部分を引用します。試料を準備する前処理段階でナノ純銀を汚染土壌に混ぜているのが分かります。つまり、ナノ銀を混合した試料に対して、原研の報告書にあった「初期値」とは、汚染土壌にナノ銀を混ぜた後の初回の測定値の事を言っているのであって、阿部宣男博士らが要請していたナノ銀を混ぜる「前」の測定値ではありません。
前処理
[試料]
①汚染土壌を秤量する (約50g)。
②ナノ純銀パウダー (タルク (ろう石約1μm)にナノ純銀を担持(150ppm)したもの)を汚染土壌に適量混ぜる (約3g)
③全体が均一になるようによくかき混ぜた後に、汚染土壌をU8容器に装てんする。
ふたをし、密封した後、識別のために容器に試料名などを記載する。
この初期値の測定については、1回目の試験の後、原研側と対面の会議を行って阿部宣男博士らの側から要請を行っていた事情は、阿部宣男博士側が提出した準備書面に以下のように記述されています。このように要請したにも関わらず、原研はその要請を無視して、全く意味の異なる「初期値」を測定したことになります。


以上