2014年12月26日金曜日

番外編: 板橋区の民主党区議は政治資金で寿司屋やキャバクラへ

今回はホタル館に関係ない話題です。
前衆院候補が告発 民主党・東京11区 政治資金でパブ・バー・寿司屋通い “一般感覚ない” “党内腐敗”」という驚くべき記事が赤旗に掲載されました。板橋区の民主党の元衆院選候補者である太田順子氏の政治資金から寿司屋やキャバクラの費用が支出されていたというニュースです。(赤旗の記事は「バー」と表現していますが、太田順子氏は「一般的にはキャバクラと言われる店」と表現しています)



太田順子氏は、政治資金の不適切な支出について、自身のホームページ上にお詫びを掲載しました。そこで、以下のような重大な告発がなされています。
私は民主党都連の指示に基づき、民主党板橋幹事長の区議に通帳、印、カードを預けましたがそれが誤りの元でした。落下傘の新人候補であった私の選挙資金は都議、区議が自由に使用していました。選挙後は都議、区議の後援会口座に寄付をするよう強要されました。公職選挙法に基づき、寄付の強要を私は拒否致しましたが、使用された資金はどうすることもできませんでした。


問題となった政治資金収支報告書は以下に公開されていますので見てみましょう。
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/shikin/24teiki/pdf/o/o_100.pdf

1ページ目には、会計責任者として「佐藤利信」氏の名前が記されています(下図)。

この佐藤利信氏は、板橋区の区議会議員の「佐藤としのぶ」氏と見て間違いないでしょう(事務所の電話番号が一致しており、太田順子氏が書いているように民主党板橋区議会議員団の幹事長を務めています)。



以下の通り、支出の具体的な明細が出ており、実に30万円以上を「食糧費」として寿司屋やレストラン、太田順子氏の言う「キャバクラ」と思われる店に支出しています。あっけらかんと書いてあるところを見ると、そもそも飲み食いや遊興に使うことを全く問題だとは認識していなかったように思えます。


ちなみに、公職選挙法は政治家や後援団体の寄附を禁じています。政治家と有権者のクリーンな関係を保ち、選挙や政治の腐敗を防止するためです。
もし上記の寿司屋やキャバクラで有権者を接待したのだとすると、公職選挙法違反のおそれもあるのではないでしょうか? 板橋区の民主党議員団の反省と佐藤としのぶ区議の責任追及に注目したいと思います。

以上



2014年12月24日水曜日

「あり方検討」の問題点(1) 見学者やボランティアの意見を聞いたのか?

板橋区は、ホタル生態環境館の今後の方針を決めるために、「あり方検討」を行い、その結果を2014年5月14日に公開しました。



まず最初に思わず笑ってしまうのは、「平成25年1月」を「平25年1月」と書き間違えている点です。この間違いは公開された当初からあるのですが、いまだに修正されていません。間違いが起こるのは仕方ないと思いますが、それを放置しておくのはとても恥ずかしいですね。

上記概要にあるように、元々、行政評価で指摘されてきたホタル館の問題は、「施設の老朽化」と「ホタル飼育技術の継承の難しさ」の2点だったことは心に留めておきましょう。

さて、今回指摘したいのは、以下の「検討経過」に見える問題点です。8月から10月にかけて、他所のホタル飼育施設を連続して調査・視察しています。ところが、6月から7月にかけて6日間開かれていた、ホタル館の夜間公開を調査・視察していないのです! 1万人が見学に訪れるという夜間公開を手伝いに行って、見学者の感想やボランティアの苦労話に耳を傾けようとは思わなかったのでしょうか!? 実際に見学した人や運営を手伝っている人の意見は最も貴重なデータではないのでしょうか?



ホタル館の2013年の夜間公開は以下のように実施されました。

  • ゲンジボタル:6月14日(金)~16日(日)
  • ヘイケボタル:7月13日(土)~15日(祝)
  • 公開時間:19時30分 ~ 21時30分 (雨天決行)
  • 見学料金:無料です。当日、直接会場にお越し下さい。18時30分から 現地で当日の入場整理券を配布します。(各日先着2,000人)

夜間公開は、毎年合計で1万人の見学者が訪れるたいへん人気のあるイベントでした(2014年から中止になってしまいましたが)。せせらぎのあるガラスハウスの中を発光しながら舞うホタルを見学するという単純な催しですが、かつて見たこともない体験だと感じられるためか、見学者からは高い評価を得ていました。例えば、「ホタルのハウス内をぐるっと一周するのに3分もなかったぐらいだったけど、すっげえわ。超鳥肌立った。あんなにも幻想的だとは。」「ホタルすごかった!あんなの生まれて初めて見たー!」という感想がTwitterに寄せられていました。また、運営には多くのボランティアが参加していました。この様子は以下の動画に良く表現されています。


「あり方検討」をすると言いながら、見学者や運営に協力していたボランティアに意見を聞こうとはしない姿勢が、今回の「あり方検討」の実態を良く表していると思います。最初から現場の意見など聞くつもりはなく、最初からシナリオを決めて、その通りに事を運んだのではないでしょうか? 板橋区の行政の「あり方」に大いに疑問を感じます。

以上

2014年12月21日日曜日

板橋区のホタル生息調査の報告書の誤り

これまで、2014年1月27日に実施された板橋区のホタル生息調査の問題を指摘してきました。今回はその報告書の内容に含まれる問題点を取り上げます。

調査報告書は以下に公開されています。
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_oshirase/059/attached/attach_59497_1.pdf
板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査報告書
平成 26 年 1 月 (株)自然教育研究センター

この報告書に含まれる3点の問題について説明します。

調査の実施時期と方法の間違い

夏近くまで待って、岸辺に上陸する幼虫数や羽化した成虫数を数えれば、ホタルを傷つけずに済んだのに、わざわざ発見の難しい冬の時期に幼虫の生息地であるせせらぎの川底を踏み潰しホタルを傷つける方式で調査した問題点については、すでに ここ に述べました。

ゲンジボタルの体長推定の間違い

調査を現地で見ていたボランティアやスタッフの話によると、調査に入った区の管理職がホタルの体長を1センチ位と指定していました。幼虫はもっと小さいので、スポイトを使って探すべきだとボランティアやスタッフが進言しても聞き入れられなかったそうです。
以下は、その時に撮影されたビデオからの音声の書き起こしです。
撮影者「スポイトで検束しないと、あの幼虫って小ちゃいんで」
資源部部長「小さいってどのくらいなんですか?」
撮影者「1ミリくらい…だから」
資源部部長「それは卵から孵化したばかりの頃でしょ。だってもう来年(来月)上陸…動き出す時期なんですよ。」
撮影者「…検束とかはスポイトじゃないとヤバイんじゃないですか?」
資源部部長「だって大きいんですよ!だって、あの卵から生まれてすごい何ミリのね!そういう小さいのはそうかもしれないけど。それはやってるでしょスポイトで!」
撮影者「スポイトでやってますよ」
資源部部長「今はもう2月3月。3月くらいからは動き出して上陸準備にはいるような」
他者「3月って!!」
資源部部長「いや2月2月!!」「普通はもう1センチぐらいでしょ」
しかし、この体長1センチ位という推定は正しかったのでしょうか?
この推定根拠は、報告書のP6に記載されているので、引用します。(赤字は引用者による)
調査時期については、ゲンジボタルの生態を考えた場合、3 月中旬~4 月に調査を行うことは、幼虫が上陸する時期であるため生体への影響が最も大きくなると考えられ不適切であると判断した。
一方、ふ化幼虫を放流した直後(6 月下旬~7 月)の場合、調査対象の生体が小さすぎるため、これも調査には適していないと判断した。今回の調査日である 1 月下旬ごろは、ホタルの幼虫は一般的に15~25 mm 程度に成長しており(図 11)、今回使用したサーバーネットの目合い(0.5 mm)をすり抜けることはなく、目視で発見できると考えられる(※夏期における卵から孵化時の状態で 1.5 mm 程度とされている)。 
明確に15~25ミリ程度に成長している筈だと書いてあります。ここで参照されている図11は、大場信義著「ゲンジボタル」から引用されたもので、以下のようなグラフです。報告書では孵化幼虫を放流した時期を「6月下旬~7月」としているので、調査が行われた1月末は、それから約200日が経過しています。図11で200日経過時点の体長を読み取ると27ミリメートル位に見えます。それ以上は大きくなっていないので、すっかり育ち切った体長だと思われます。
これだけ見ると、15~25ミリという推定は妥当なように思えます。ところが、この推定は重要な要素を見逃しています。

図11:ゲンジボタルの成長

この図11を良く見ると、上の方に「平均飼育水温」が記されており、ゲンジボタルがぐんぐん成長する時期の水温は14℃位から28℃位と読み取れます。

この飼育水温の前提が、ホタル生態環境館と全く異なっているのです。元職員によると、1月末時点では、せせらぎ内の水温は10.5℃に保たれていたようです。図11が前提としている水温よりもずっと低いのです。2月頃から水温を徐々に上げ始めて、夏の夜間公開により多くのホタル成虫が見られるように調整していたようです。ホタルは変温動物ですから、水温が低いと活動が鈍り、成長も抑えられます。したがって、1月末時点では、図11に書いてある体長より、実際の幼虫はずっと小さかったと考えられます。
生息調査では、ホタル幼虫は1センチ以上である筈だという間違った前提を置いてしまったために、本当はもっと小さかった幼虫を全部見逃してしまったのではないでしょうか。

いずれにしても、チェックすれば簡単に分かる筈の水温の前提を見逃したのは、板橋区の重大なミスだと考えます。

ヘイケボタルの体長推定の不在

更に、もう一つ重大な問題があります。ヘイケボタルの幼虫の体長推定をしていないのです。
ヘイケボタルとゲンジボタルでは、体長も違えば、成長の速度も違います。ゲンジボタルとは違った推定をすべきではないでしょうか。しかし、何の根拠も示さず「1センチ以上あるはず」という前提で調査を実施しています。調査にあたっての準備が余りにも杜撰です。これも板橋区の重大なミスだと考えます。


上記で見てきたように、この報告書には様々な問題があります。板橋区は、この報告書を公式に撤回すると共に、問題発生に至った原因と責任を明らかにすべきだと思います。

以上

松崎いたる区議(日本共産党)が名誉毀損で訴えられた裁判の口頭弁論

ホタル館の元職員が板橋区の松崎いたる区議(日本共産党)を名誉毀損で提訴した件について、また進展があったようです。

「日本共産党・民青同盟悪魔の辞典+キンピー問題笑える査問録音公開中」というブログに載った記事とコメントによると、12月18日(木)10時から東京地裁にて口頭弁論が行われたようです。

しかし、松崎いたる区議は10時11分に以下のようなツイートをされているので、おそらく裁判には出席しなかったと思われます。ちなみに、「常温核融合を否定するパーク博士は論文を読んでなかった?」という記事に書いた通り、「わたしたちはなぜ科学にだまされるのか」の著者のロバート・パーク博士は、物理学者であるにも関わらず、常温核融合の論文を一切読まずに常温核融合をニセ科学と決めつけて、研究者を嘲笑してきた人物です。



また、コメント欄には、松崎いたる区議の弁護士について、「自由法曹団城北法律事務所の阿部弁護士と聞きました」という情報が載っています。おそらく、阿部哲二弁護士のことだと思われます。阿部哲二弁護士は、薬害イレッサ訴訟の原告側の東日本弁護団の事務局長を務めたことで有名です。



但し、この弁護団は手続き不備のために原告2人の上告手続きを打ち切られたという信じられないようなミスをした事が報じられています。



以下のページでは、この弁護団の訴訟戦術が手厳しく批判されています。「裁判に勝つために何もしていないも同然である」とまで言われています。今回の裁判では、どういう戦略や戦術を展開するのか注目ですね。


以上

2014年12月14日日曜日

板橋区のホタル生息調査の発端はアヤフヤ

前回の記事で取り上げた高橋正憲区議の鋭い質問の最後に重要な指摘がありました。そもそも、どういう理由から板橋区がホタル生息調査を行ったのか、という生息調査の発端についての確認です。
板橋区は、「ホタル生態環境館に外部からホタル幼虫が持ち込まれていた」という疑惑を理由にしています。驚いた事に、この質疑によれば単にそういう話を聞いた事があるというだけで、疑惑の調査や裏取りは全く行われていなかったそうです。
これだと、単なるウワサ話を元にして、費用のかかるホタル生息調査を行い、板橋区の貴重な資産であるせせらぎの川底を踏み潰して回り、結果として、その調査は間違っていたということになります。これは板橋区行政の大失策ではないのでしょうか?

以下、会議録から引用させていただきます。(赤字は引用者による)

2014.02.19 : 平成26年 区民環境委員会 本文
◯高橋正憲
<略>
それと、もう一つ、非常に重要なことで、初めてというか、幼虫を持ち込んでいたという話ありましたよね。これはもちろん重大な話なんだけど、これはちゃんと持ち込んだという事実とか、幾らで持ち込んだとか、そのようなものはきちんと押さえているんですか。そういうものを含めて聞きます。

◯環境課長
<略>
 あと、持ち込みにつきましては、現在そういう関係者の証言があるということで、私どもは最終的な確認はしておりません。ですから、買ったのか、有償で持ち込んだのか、そこら辺も確認できておりません。それはそういう証言があるということで、今回の事実を聞いた関係者の方からすると、そういうことで私は認識しているということですから、今後、そこら辺を含めて、担当者と面談の上、事実関係を解明していきたいと思っているところでございます。

◯高橋正憲
<略>
 それと、もう一つは、持ち込んでいるかどうかというのは、まだ確認していないと、そういう話だという話だけど、そういう話をし出したら、切りがなくなると僕は思うんですよ。だから、やっぱり課長あたりが発言するときには、持ち込みましたと、どこどこの業者から持ち込みました、1匹幾らですよとか、そのようなものがあって、持ち込んでいますよという話をするならいいけど、ある担当からそんな話を聞きましたという話だったら、それこそ話にならないでしょう。課長の話の大事さというのは、課長だからね、担当の。そういう課長が「持ち込んでいました」、こう言っちゃうと、持ち込んでいましたという話になっちゃうんだよね。だから、一つひとつの話というのは、慎重に慎重を期して事実をきちんと僕はこういう委員会でも言ってもらいたいと思います。
<略>
以上

板橋区ホタル生息調査に対する議会での厳しい追及

結果が確定するまで気になる総選挙の速報は置いておいて、記事を書いています。
前回の記事では、公明党のしば佳代子区議の発言を取り上げましたが、板橋区議会ではホタル生態環境館の事件について多くの意見が表明されています。


今回は、2014年2月19日の区民環境委員会にて、市民ネットの幹事長である高橋正憲区議が行った本質を衝く質問を紹介します。質問のどの部分も重要な指摘が含まれていますので、全文を引用させていただきます。元の板橋区議会の会議録はWeb上に公開されています。赤字は引用者によります。

2014.02.19 : 平成26年 区民環境委員会 本文

◯高橋正憲
 一通り皆さんやったので、私も質問させてもらいます。 
 僕は一番大事なことというのは、先ほどすえよし委員も言ったけど、施設がどういうような行政評価をしているかということなんですよ。それを抜きにして、どうのこうのというふうに言っているけども、明らかに先ほどすえよし委員が言ったように、区民や見た人方が大きな評価をしているわけです。それをあり方検討委員会なるものが、先ほど言っていましたよね、すごい気に食わなかったのは、教育とか、保育園とか、そういうものに金がどんどんかかるんだと。そういう中でホタルがあって、ホタルはあり方検討委員会の中でなくなるんだと、そういう発言していたでしょう。本当なんですか。そんな発想というのは、僕は聞いたことないですよ。今まで20数年間、ホタルの活動をやってきたんですよね。僕は最初からわかっていますよ。僕は、昭和62年に議員になったときから、ずっとかかわってきましたから、それ以来、ホタルの評価というのは高いですよ。 
 今、まさに原発問題で、放射能がどんどん漏れちゃって、自然環境が破壊されるという中で、どういう環境をつくっていくんだという中にまさにホタルというものがあるわけでしょう。あれをすぐつくれと言っても無理ですよね。でも、あれを一つ見本にして、環境問題を考えて、そういう関係をしていこうという一つの材料であるわけでしょう。もちろん癒やしもありますよ。だから、多くの皆さんは、それに対して評価を与えてきたんですよ。そういう区民の声が反映されない。あり方検討委員会というわけのわからないところでこれは必要ないよという話になっちゃって、その方向性で今回は非常に私も問題に思っているのは、そこにいる施設長とかに一切電話をしないで踏み込んだというわけだよね。それはまさに不信感の塊でしょう。言ったら何かごまかされちゃうんじゃないかとか、何かされちゃうんじゃないか、だから踏み込んじゃえ、やっちゃえ。これというのは、僕は非常に問題だと思いますよ。NPOとか、みんな協力してくれる人とか、社員とか、職員とか、係長、課長とか、そういう中の信頼関係の中で仕事というのは行われているんでしょう。それが職員を全く信用しないで踏み込んでいって、結果的にはこうでしたよという話なんです。こんな話ってあり得ないですよ。 
 まして、せせらぎというのは、20数年間、試行錯誤してつくってきたものなんだよ。わかるでしょう、それは。それを一瞬で踏み潰すわけですよ、土足で入っちゃうんですよ。そういうことって、誰が見たって、聞いたって、おかしいと思うよね。いいですよ、査察みたいな感じで、書類とかなんか、急に行って、ごまかしているんじゃないかとぺらぺら見るのはいいよ。だって、実際に生き物が生きている、そういう20数年間かけてつくったせせらぎを土足で入って潰すんでしょう。そういうことというのは、先ほど国交省の規定の0.5の網だと言ったけど、僕は信じられない。 
 それと、もう一つ、ボランティアとかの人からもらったホタルの幼虫という、これが本当にホタルの幼虫、僕はごみとしか見えないんだけど、これが幼虫だとしたら、0.5の網からは十分逃げられる。だって、0.1とかないんだもん、よく見てみな、これが本当に成虫だとしたらよ。見てください。本当に1ミリぐらいの長さで、太さというのは本当に小さいですよ、これが本当だとしたらよ。これだったら網から十分逃げられますよ。そういうふうに私は感じますし、皆さんも多分これを見たら感じると思います。 
 それに今回、1月27日に行ったというんだけど、調査する日程とか、時期とか、そういうものを考えたら、それは本当にいい時期だったんですか。僕は何か臭くてしようがないんだよ。臭いというのは何かというと、要するにこの施設を潰すんだと、なくすんだと、そういうのが頭の中の前提にあるから、何やってもいいんだという、そんな雰囲気であそこに踏み込んで、めちゃめちゃにしているような、そんな感じがしてならないんです。僕は、あそこのせせらぎは、非常にきれいで、水を飲んだりしても全然害がないぐらいのそういう部分だから、できる限りああいうところに踏み込んで何かするということは、してもらいたくないし、普通であれば、手塩にかけたというか、そういう職員がいるんであれば、職員と十分に話をしながら、調査するということでないと、先ほどから、そうじゃないんだ、正確なものを知るためにはそうなんだという話をしているけど、そんな理屈は通らないですよ。 
 だって、いつ行ったって、いるものはいるし、いないものはいないでしょう。だったら、正々堂々と職員と何で対峙してやらなかったんですかというのが、どんなふうに説明を受けてもわからない。これはまさに職員との間で全く関係がゼロの関係ですよね。でも、これもあり得ないんですよね。係長、課長がいて、職員がいるんだから、やっぱり管理責任というのはちゃんとやるわけでしょう。今まで受けていた何万匹というのを信用してきたというんでしょう。何で今回だけはそういうことでなくて踏み込んだかというと、そこにはあり方検討会で廃止するんだということがあるから、何としても、できる限り少なく捕獲して、これしかいないんだから、だめなんだよということを逆に知らしめるというか、ちょっと歪曲した意見かもしれないけど、そういう心の底というのが何か見えてくるんだよね。 
 僕は一般論を言っていますけど、一般論でそういうふうに感じるんだから、多分ちょっとかかわってきた人とか、ホタルいいなというふうに思ってきた人というのは、ほとんどこういう考え方だと僕は思いますよ。そして、このことについては、ボランティアもそうだけど、町会も、高島平、高島町会の人方もみんなかかわってきているんですよね。例えば公開のときには、ちゃんとみんなを整理したり、一生懸命やってきているんです。感謝状ももらっているんですよ。僕は保育園もふやさなきゃいけないし、教育にちゃんとお金をかけなきゃいけない、こういうふうに思いますよ。でも、ホタルだって、もう少しきちんと整理して、今回しば議員が質問したのもいいなと思っているんですけど、必要なところにお金をかけるような形できっちりと運営することができる。足立区のだって、人がやっていたのをちゃんと組織的にやることによって、そういう人がいなくたって運営できるようになった。 
 このことについては何回もやっていますよ。1人じゃだめだから、ちゃんと技術とかなんかを継承できるようにきちんとやっていかなきゃだめだよと。そういう話というのは、きのう、きょうじゃないですよ、こういう問題が起きてからでないですよ、以前からずっとやってきている。そういうことをやらないのは、逆にいうと、この施設をここだけでやめちゃうんだと、だからなるべくそういうようなことをやらないほうがいいんだというようなイメージに聞こえてきちゃうんだよね。本当に今、行政評価が言われているように、必要な施設であるならば、少なからずちゃんと技術とかなんかを伝承できるような、そういうような形というのは、管理責任としてやるべきでしょうというのは、ずっと昔から言っているよ。それも今までやられてこなかったわけでしょう。 
 それと、もう一つ、非常に重要なことで、初めてというか、幼虫を持ち込んでいたという話ありましたよね。これはもちろん重大な話なんだけど、これはちゃんと持ち込んだという事実とか、幾らで持ち込んだとか、そのようなものはきちんと押さえているんですか。そういうものを含めて聞きます。

この質問には様々な問題点が指摘されています。私なりにまとめると以下の点が大きな指摘ではないかと思います。これらの点について板橋区が明確な回答を出すべきだと思います。
  1. 20数年間におよぶホタル生態環境館の活動は、区民や見学者から高い評価を得ていた。しかし、その存廃を議論する「あり方検討委員会」は廃止の結論ありきで事を進めているのではないかという疑問がある。
  2. 館長(施設長)に全く相談なくせせらぎに踏み込むという行為は、行政と施設を維持してきた職員やボランティアの間に全く信頼関係がないように見える。その事自体が問題ではないか。
  3. 20数年間かけて作ってきた、実際に生き物が生きているせせらぎに土足で入って踏み潰す行為は許されるのか。
  4. 調査の時期は適切だったのか疑問。いつ行ったって、いるものはいるし、いないものはいない。正々堂々ともっと生き物を傷つけない方法が採れたのではないか。
  5. 発端となった幼虫の持ち込み疑惑に根拠はあるのか。

以上



2014年12月13日土曜日

板橋区のホタル生息調査の方法は間違っていた

前回の記事のコメント欄に、11月27日の板橋区議会定例会にて公明党のしば佳代子区議が発言した内容が載りました。引用します(赤字は引用者による)。
環境課は、今年1月末に実態調査をした結果、23匹のホタルがいることを発表しました。その後、確認されたホタルがどんどん増えている事がわかりました。振り返って言える事は、詳細について述べませんが、この調査は失敗だったという事です。夏まで待ち、飛んでいるホタル数える方法が一番正確性があったと言えます。命が相手の調査ということを肝に銘じて慎重に行動をし、区民から誤解を受けない、区民が理解できるような行動をとっていただきたいことを要望し、以下の質問をいたします。
この発言でも、板橋区の行ったホタル生息調査について、「調査は失敗だった」という認識が示されています。調査の後に確認されたホタルの数が、調査による推定よりも遥かに多かったのですから、当たり前の評価だと思います。

この発言では、もう一つ重要な事が指摘されています。「夏まで待ち、飛んでいるホタル数える方法が一番正確性があったと言えます。命が相手の調査ということを肝に銘じて慎重に行動をし、・・・」という所です。聞いた話では、ホタル館では、夏が近づいてホタル幼虫が川底から上陸してくるタイミングで、闇夜の中でホタル幼虫の発する光を数える方法が用いられていたそうです。そのため、しば区議の挙げた方法が一番正確かどうかは意見の分かれる所ですが、それは些細な問題です。

この指摘の本質は、「命を持っているホタル幼虫を傷つけたり殺したりしなくてもホタルの数を勘定できる」という点にあります。飛んでいる成虫や上陸する幼虫を数えるだけなら、見ているだけで済むので、ホタル幼虫に危害を加える心配はありません。

ホタル幼虫にとって安全な方法が存在し、従来行われていたにも関わらず、板橋区の行ったホタル生息調査では、ホタル幼虫の住処であるせせらぎの川底を荒らし、ホタル幼虫を傷つけ、殺してしまうような方法がとられました。もとより、せせらぎやホタル幼虫は板橋区の貴重な資産です。敢えて資産を毀損するような乱暴な方法をとった板橋区の責任は非常に重いと考えます。このような失敗を繰り返さないために、この方法を決めたプロセスの問題点を洗い出して、区民に説明するとともに、再発防止策を講じるべきだと思います。


ホタル生息調査で、どのような方法がとられたのかを振り返ってみます。

調査が行われた冬の時期、ホタル幼虫は川底で生活しています。ホタル館のせせらぎの川底は、ホタル幼虫の生育に適するように作られていました。約40〜50センチのスポンジ状の層があって、そこにホタル幼虫やカワニナの稚貝が潜んでいたそうです。この層は、下から、顆粒状のバイオ用土、硅砂、サンゴ砂、那智石小玉、水草、流木片などを積み上げて造成されたものです。

川底に足を入れれば、そこに生息している幼虫や稚貝を踏み潰すだけでなく、踏んだ時に押し出される水によって、川の中へ幼虫を押し流してしまう危険があります。そのため、最初にせせらぎを作って以来、飼育スタッフは川底には一回も足を踏み入れたことがなかったそうです。せせらぎの川底はホタルの「聖域」だったと言えるでしょう。

ところが、ホタル生息調査では、せせらぎから25cm×25cmの大きさで27箇所の川底を剥ぎ取り、ビニール袋に入れ、その中を探すという方法が取られました。以下、生息調査の報告書から引用します。

1) 川底を剥ぎ取った27箇所(全体306箇所)


2) サンプルの採取方法


3) ビニール袋に入れられたサンプル


4) 中身の調査


5) 再放流


上記の報告の中には、「生体を傷つけないように最新の注意を払いながら」や「個体群への影響を最小限に留める事を最優先し」などの記載が見られますが、水の中でエラ呼吸で生きている幼虫を川の外にすくい出し、バット容器の中で仕分けをするのが幼虫に良い筈がありません。また、「再放流」と言っていますが、放流したらその中にいた幼虫は水に流されて死んでしまうでしょう。寒い冬の間、川底でじっとしているホタル幼虫にとって過酷な調査であったことは間違いないと思います。

さらに問題があります。調査の様子を監視していたボランティアが撮影したビデオ映像から切り取った以下の一連の写真をご覧ください。調査員がせせらぎの川底に足を踏み入れたまま、作業したり、移動したりしています。サンプル採取対象となった部分以外も、足で踏み荒らしているのです。





また、調査の際にせせらぎの水流を止めていなかった事も指摘されています。せせらぎの水流は毎秒30〜40センチの速さで流れているので、足を踏み入れた時に押し出されたホタル幼虫は流されて死んでしまったでしょう。

これは本当に「生息調査」だったのでしょうか? ホタル幼虫の傷つけ殺すために行われた作業のように思えてしまいます。最初の指摘の繰り返しになりますが、ホタル幼虫にとって安全な調査方法ははっきりと存在していました。夏近くまで待って、岸に上陸した幼虫や羽化した成虫を数えれば良かったのです。いったい何のために、このようなホタル幼虫の命を損なう方法をとったのでしょうか? 板橋区は原因を糾明すべきだと思います。

以上







2014年12月10日水曜日

板橋区が裁判に提出した証拠(要項)の捏造疑惑

板橋区ホタル生態環境館の元館長のブログに興味深い文書が掲載されました。元館長は、板橋区から懲戒免職処分を受けたのですが、その処分を不当として処分取消しを求める訴訟を東京地方裁判所に提起しています。掲載されたのは、おそらく、その裁判に出されたと思われる口頭弁論要旨と求釈明申立書です。

平成26年(行ウ)第256号懲戒処分取消等請求事件 - ホタルのホンネ(本音)
http://hotaruabe.blog72.fc2.com/blog-entry-111.html
求釈明申立書 - ホタルのホンネ(本音)
http://hotaruabe.blog72.fc2.com/blog-entry-112.html

この文書を見ると、非常に興味深い主張がなされていると推定されます。上記の口頭弁論要旨から、その部分を引用します。この中で「被告」とは板橋区を指します。また、固有名詞を○○で置き換え、特に注目すべき部分を引用者が赤字にしました。
2 特許権使用料の徴収は一律ではなかったこと
今回提出した甲48号証をご覧ください。これは,平成14年7月1日に被告が作成した内規です。タイトルは「ホタルの飼育等に関する他自治体や学校等への職員派遣等の取扱いについて(内規)」とあり,自治体等からホタル飼育等の協力を求められた際の協力要件や職員対応の取り扱いを定めたものです。まず,注目すべきは,この内規が,特許権使用料を徴収せずに,協力する場合を定めていることです。つまり,この内規は,1.で「一般の他自治体や学校等への対応」として無償で協力する場合を定め,2.で「特許権等に関する要綱に基づく契約をしたものへの対応」として有償で協力する場合を定めており,無償でホタル飼育の協力をする場合を認めているのです。
また,無償で協力する場合の協力要件は,平成13年1月31日付の区長決裁のガイドラインで決定されており,さらに,「この内規は,従前より対応してきたものを今回整理したものである。」と定めています。よって,従前から無償でホタル飼育の協力が行われてきたことは明らかですし,特許権等に関する要綱が策定された後も,無償で協力する場合を認めているのです。
 この点に関連して,被告は,このホタル飼育内規と類似の内容の記載がある,平成14年7月1日付エコポリスセンター所長決定の「ホタル飼育事業への職員派遣要項」を乙9号証として提出しています
しかし,原告は,この乙9号証の要項の存在を知りません。原告が認識している被告内部の取り決めは,同じ日付に作成された甲48号証のホタル飼育内規です。何より,原告は,平成16年5月に,この内規を,当時の○○係長からFAX送信で受領しています。もし,被告が証拠として提出した要項が,平成14年当時存在していたのであれば,○○係長は,乙9号証の要項を送るに違いありません。また,被告が提出したこの要項は,自治体等への協力要件については,甲48号証のホタル飼育内規と同様ですが,事務手続き等については,より詳細な条件を記載しています。すなわち,2週間前までに依頼文書をエコポリスセンター所長あてに提出すること,事務手続き,相手方との連絡はエコポリスセンター庶務係長が行うこと,上記に定めのない事例が生じた場合は,所長は部長と協議の上決定することなどです。
 しかし,これは当時の実施体制に全く反するものです。原告は,このようなことを当時,求められたことはありません。乙9号証として提出された要項は,今回の訴訟のために,被告がホタル飼育内規を被告の都合のよいようにつくりかえ,「平成14年7月1日付エコポリスセンター所長決定」として体裁を整えたとしかいいようがありません。なお,平成14年7月1日当時のエコポリスセンター所長は,平成25年から資源環境部の部長になった○○氏であり,まさに,ホタル館に対して様々な圧力をかける中心となった人物です。
 原告は,被告に対して,乙9号証の「ホタル飼育事業への職員派遣要項」につき,別紙記載の通り釈明を求めます。
上記を読むと、ホタル飼育等の協力を求められた際の協力要件や職員対応の取扱いについて定めた文書は、同じ日付に制定された「内規」と「要項」の2つあったことになります!
  • 元館長: 甲48号証として提出した平成14年7月1日付けの「ホタルの飼育等に関する他自治体や学校等への職員派遣等の取扱いについて(内規)」に従っていたと主張。
  • 板橋区: 乙9号証として提出した平成14年7月1日付エコポリスセンター所長決定の「ホタル飼育事業への職員派遣要項」に従うべきだったと主張。
一つの物事について二つのルールが存在し、その内容が異なっている(要項の方が詳細に要件を規定している)のですから、たいへん奇妙なことです。普通の組織ではありえない事でしょう。この事態に対して、原告は、この要項が資源環境部の部長が都合の良いように作り変えたものではないかと疑問を表明しています。裁判所に板橋区が提出した公式な文書が捏造されていたかもしれないという重大指摘だと思います。

この疑惑の解明に注目したいと思います。

以上


2014年12月8日月曜日

板橋区のホタル生息調査の結果は間違っていた

年末に向かって、仕事も私事も忙しくなってきましたが、できる範囲でホタル生態環境館に関する事件に対しての私の見解を書いて行きたいと思います。

一連の事件の中で最も重要なのは、平成26年1月27日(月)に板橋区によって実施された「板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査」でしょう。(以下、文中では「ホタル生息調査」と略します)

ホタル生息調査には多くの問題があり、私は、調査の設計も実施方法も結果も間違っていたと考えています。板橋区は一刻も早く、この調査結果を撤回すべきだと思います。今回は、まず、結果が間違っていた点について述べます。もし、私の考えに誤りがあるようでしたら、是非、コメント欄などでご指摘いただきたいと思います。

ホタル生息調査の概要は以下のページに公開されています。

板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査の結果について | 板橋区
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_oshirase/059/059497.html

また、報告書は以下に公開されています。
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_oshirase/059/attached/attach_59497_1.pdf

調査結果がまとめられた表を以下に引用します。この調査で発見されたゲンジボタルの幼虫は2匹、ヘイケボタルの幼虫は0匹だったのです。推定個体数は、調査した面積と全体の面積の比率を使って、全体の個体数を推測した数です。



さて、このように、「ホタルの幼虫は殆どいなかった」という結果が得られたのですが、実は、この調査の後、羽化した幼虫の数を数えた結果が公開されており、そこで報告された羽化数はずっと多かったのです。この羽化数のデータは、以下のページからリンクされている「平成26年8月19日までの羽化記録」で見ることができます。


この羽化数のデータを以下に示します。これを見ると、
せせらぎでの羽化数は、ゲンジボタル:60匹、ヘイケボタル:53匹
ビオトープでの羽化数は、ゲンジボタル:2匹、ヘイケボタル:74匹
となっています。

以前にも書いたとおり、時間が経つにつれて、ホタルの幼虫数は少なくなっていきます。羽化を記録した6月~7月は、ホタル生息調査を行った1月末から約半年も経っているので、1月末にはおそらく羽化数の何倍かの幼虫が生息していたでしょう。

単純に明らかなのは、ホタル生息調査の結果は間違っていた、という事です。後の羽化数を大きく下回るホタル幼虫しか発見できませんでした。ヘイケボタルの幼虫は0匹と報告されていたのです。それが夏になって100匹以上見つかったのですから、間違っていたとしか言いようが無いと思います。

しかし、その後の「板橋区ホタル生態環境館のあり方検討」では、ホタル生息調査で出された数値(その後間違っていたと判明した数値)がそのまま用いられ、ホタル館を廃止するという結論を導いています。前提とする事実認識が間違っていると分かったのですから、検討結果を見直す必要があったのではないでしょうか。

以上

2014年11月16日日曜日

ホタル館の元職員が松崎いたる区議を名誉毀損で提訴

板橋区ホタル生態環境館の館長であった板橋区の元職員が、板橋区の区会議員である松崎参(松崎いたる)氏に対し、11月5日に名誉毀損に対する損害賠償を東京地方裁判所に提訴したことが分かりました。

【追記】 本裁判の訴状は以下で参照できます。
http://www.i-foe.org/h26wa29256/suitor/sojou.pdf
【追記終了】

関係者に話を伺ったところ、日本共産党の区会議員という公職者である松崎いたる氏が、FacebookTwitterブログなどのソーシャルネット上で、元職員を「インチキ」「トンデモ」「詐欺」等の言葉で非難して元職員の社会的な評価を貶めたことに対し、損害賠償を求めるものだということです。今回、松崎いたる氏が度々発言を繰り返していることから、多くの指摘がなされており、訴状の枚数は数十ページにもなっているそうです。一般市民がソーシャルネット上で展開された言説に対して名誉毀損訴訟を起こす場合には、弁護士に頼まない本人訴訟にするケースが多いように思いますが、本件は弁護士が訴訟代理人となっています。

弱者の立場に立つ筈の日本共産党の現役区会議員が被告となっているという点で注目すべき訴訟だと思います。来年に区議会選挙を控えていることから、日本共産党としての対応にも注目したいと思います。

松崎いたる区議は11月15日に以下のように発言されています。



この書き込みはFacebookから転送されたものだったので、Facebookの該当する記事に対して、以下のようなコメントを私から投稿させていただきました。「アベ」とカタカナ表記することで、両方の意味を重ねる意図だと思ったのですが、後半はホタル館についての言及のように思われたので確認したかったのです。尤も、どちらにしても「売られたケンカ」と表現するのは不適当だと思います。URLは、この訴訟の件をいち早く記事にしていたブログへのリンクでした。
売られた喧嘩とは、「安倍」さんの解散総選挙のことなのか、「阿部」さんからの名誉毀損での提訴のことなのか、どちらなのでしょう。
どちらにしても余り良い例えではないと思いますが…
http://kinpy.livedoor.biz/archives/52119568.html
そうしたところ、どうやら松崎いたる区議からFacebook上でブロックされてしまったようで、その後、松崎いたる区議のタイムラインを読めなくなってしまいました。
また、8月には以下のような発言をされており、今回の事態を想定し、むしろ待ち望んでいたようにも思われます。今後の主張に注目したいと思います。


以上

2014年9月16日火曜日

板橋区の防犯カメラ運用基準

2014年1月末に実施された板橋区のホタル生息数調査の際、4台の監視カメラが新たに設置されたという話を聞いていました。どういう理由で急に防犯カメラを設置したのか不可解で、未だにその謎は謎のままです。

昨日、知人から「防犯カメラ運用基準」があると聞いて、検索してみたら、立派な運用基準が定められていた事を知りました。


上記のページから、「板橋区防犯カメラ運用基準」というPDF文書がリンクされています。
この中に以下のように規定されています(赤字・太字は引用者による)。
(防犯カメラ管理責任者等)
第3条 公共施設における防犯カメラの適正な設置、運用及び維持管理を図るため、防犯カメラを設置する各公共施設に、防犯カメラ管理責任者(以下「管理責任者」という。)を置くものとし、東京都板橋区個人情報保護条例(以下「条例」という。)第12条に規定する個人情報保護管理責任者をもって充てる。 
2 前項の管理責任者を補佐するために、防犯カメラ管理取扱者(以下「管理取扱者」という。)を置くものとし、東京都板橋区個人情報保護条例施行規則第5条に規定する個人情報保護事務取扱者をもって充てる。ただし、管理責任者が自ら管理取扱者となる公共施設については、この限りでない。 
(防犯カメラの設置に係る措置)
第4条 管理責任者及び管理取扱者(以下「管理責任者等」という。)は、防犯カメラを設置するに際して、次の措置を講じなければならない。 
(1) 区民等の権利保護を図るために、防犯カメラの撮影対象区域を設置目的の達成に必要最小限の範囲となるように調整すること。 
(2) 防犯カメラ撮影対象区域の見やすい場所に、管理責任者等の氏名及び防犯カメラを設置している旨を表示すること。 
(3) 映像表示機器及び録画機材の設置場所については、管理責任者等の許可を得たもの以外の立ち入りを禁止する等の措置を講じ、映像の外部漏えい等を防止すること。
上記の規定から、区の防犯カメラには、必ず「管理責任者等」の氏名が掲示されている筈です。したがって、疑問があれば、その人に尋ねれば良さそうです。
読者のみなさんも板橋区の施設で防犯カメラを見つけたら、「管理責任者等」をチェックしてみてください。

以上

ホタルの数は時期によって大きく変わる

Nスタで取り上げられたホタル生態環境館の廃止問題」の中で、ホタル生態環境館にいたホタル成虫の数が約2万匹と報告されていたという話が出てきました。
今後もホタルの生息数は大きなポイントとなるので、少し整理しておきたいと思います。

まず、ホタルの数は、どの時期のホタルを数えるかで大きく変わります。
ホタルは、幼虫の間に5~6回の脱皮をし、蛹を経て成虫へと羽化します。成長するに従い、体は大きくなりますが、弱い個体は死んで数はどんどん少なくなって行きます。そのため、卵の時が最も数が多く、成虫の時が最も数が少ないのです。

1匹のメスの産卵数は、ゲンジボタルで500~1000個、ヘイケボタルで50~100個と言われています。また、成虫のメスとオスの比率は1:3程度らしいです。そのため、数だけでみると、ゲンジボタルの場合、平均750個を産卵すると仮定して4匹の成虫(メス1+オス3)が750個の卵になります。ヘイケボタルの場合、平均75個を産卵すると仮定して4匹が75個の卵になります。

繰り返し同じ数のホタルが育ち、死んでいくサイクルが繰り返されていると仮定すると、卵から成虫に育つ率はそれぞれ以下のようになります。

  • ゲンジボタル: 750個の卵 ⇒ 4匹の成虫が育つ(約0.5%)
  • ヘイケボタル: 75個の卵 ⇒ 4匹の成虫が育つ(約5%)

いやはや、たいへんな競争率です。ちなみに、卵から孵化した直後の幼虫は体長約1mmで、沢山いてもたいした量にはならないそうです。以下にルシオラ社のサイトにあった孵化幼虫の写真を引用させていただきます。


さて、ホタル生態環境館にいた2万匹の成虫のゲンジボタル/ヘイケボタルの内訳はうろ覚えですが、ゲンジボタルの方がかなり数が少ないそうなので、以下だと考えてみます。

  • ゲンジボタル: 4,000匹の成虫 ⇒ 75万個の卵
  • ヘイケボタル: 16,000匹の成虫 ⇒ 30万個の卵

これだと、合計で約105万個の卵が産まれていた事になります。上記の計算には色々と不確かな仮定が入っているために、細かい計算は違っているかもしれませんが、大雑把には上記のような数の減少を辿ると考えています。

つまり、100万個から2万匹へ、数としては約50分の1に減少しながら育って行くのです。人間で言うと、小学校のクラスにいた50人くらいのうち、1人しか成人できない計算になります。なんと厳しい淘汰でしょうか。

以上

2014年9月15日月曜日

ホタル生態環境館に起こった事件の経緯(随時更新予定)

板橋区によるホタル生態環境館の廃止決定に至る経緯を時系列でまとめてみます。
色々足りない部分があるので、随時補っていきたいと思います。また、間違いがありましたら、コメント欄などでご指摘いただけると幸甚です。
★印をつけたのは今回の事件の中核となるホタル生息調査が行われた日です。

2013-11-28

市民団体が陳情第94号「板橋区ホタル生態環境館の存続を求める陳情」を提出。

2013-12-03

板橋区議会、平成25年度定例会にて陳情を審議。全会派一致で「継続審議」となる。

2013-12-15

高島平新聞 『存続求め住民らが陳情』

2014-01-16

ある政党から「陳情の内容を一部訂正すべき」との意見があり、『板橋区ホタル生態環境館存続を求める陳情書』を一旦取り下げる。

2014-01-27 ★

板橋区による抜き打ちのホタル生息数調査。元館長への事前連絡一切なし。
作業委託先は(株)自然教育研究センター。資源環境部長と環境課長が立会い。
調査の結果、見つかったのはゲンジボタル2匹、ヘイケボタル0匹。全体として23匹と推定。

2014-01-30 ★

板橋区による抜き打ちの調査が行われようとするが、現地にいたボランティアがせせらぎが荒らされる事を危惧して調査をやめるようお願いする。たまたま通りがかったある政党の区会議員2名の説得によって調査は中止される。
この騒ぎのなか、板橋区の管理職と接触した女性ボランティア1名が全治1週間の怪我を負う。
同日夕方、元館長に対し課内異動が発令され、館長職を解かれる。
更に、元館長に対し「三日以内に立ち退くように」と業務命令が出される。
業務委託されていた『むし企画』に対し、板橋区から電話にて2月1日にて契約解除すると通告。内容証明付き郵便にて契約解除通知が発送される。(元の契約期間は2014年3月31日までであった)

2014-02-01

「むし企画」との契約が解除され、新たに「(株)自然教育研究センター」への契約がスタート。

2014-02-03

元館長が退職願を提出。

2014-02-07

業務命令により、元館長が新しい委託先である(株)自然教育研究センターに業務を引き継ぎ。
都政新報新聞に掲載 『ホタル館、委託業者変更/年度半ば 館長には異動発令』

2014-02-15

高島平新聞に掲載 『高島平の「ホタル」どうなる?』

2014-02-17

東京新聞夕刊に掲載 『ホタル館 灯消える? 板橋区廃止へ動く』
市民団体が再提出した陳情第100号「板橋区ホタル生態環境館の技術の継承と館の存続を求める陳情」受理。

2014-02-19

板橋区議会区民環境委員会で「ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査の結果」が報告される。

http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_oshirase/059/059497.html
板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査の結果について
公開日:平成26年2月20日

http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_oshirase/059/attached/attach_59497_1.pdf
板橋区ホタル生態環境館におけるホタル等生息調査報告書
平成 26 年 1 月 (株)自然教育研究センター

2014-02-20

東京新聞に掲載 『ホタル館問題「成虫持ち込み証言も」飼育担当「有り得ぬ」』

2014-03-24

板橋区懲戒分限審査委員会開催。

2014-03-28

元館長に対する懲戒免職処分発表。
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/060/attached/attach_60886_1.pdf


2014-05-12

何年も続いてきたホタル夜間特別公開の中止を板橋区が発表。

2014-05-14

板橋区が「板橋区ホタル生態環境館のあり方検討結果」を公表。

2014-06-05

元館長が板橋区による処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴。



2014-07-11

板橋区は1月の生息数調査でホタルの幼虫数を23匹と推定していたが、実際には110匹以上の幼虫が確認された。
産経新聞に掲載 『板橋区、生息数少ないと閉館 ホタル館で110匹確認 東京』



以上



紫垣伸也さんのホタル生態環境館訪問記

板橋区で政治家駆動をされている紫垣伸也さんという方がおられます。


その紫垣さんが、2014年9月14日(日)にホタル生態環境館を見学されたとのことで、感想がFacebookに投稿されていました。以下に埋め込みの形で引用させていただきます。去年までは産卵数は100万個に近かったと言われていますが、今年はずっと少なくなったようです。それでも数百匹の幼虫が育っていて良かったですね。




以上


URLの由来

このブログのURLは、 http://tale-of-genji-and-heike.blogspot.jp/ にしました。
日本の有名な古典である源氏物語と平家物語の英語名を真似て、「源氏と平家の物語」にしたつもりです(笑)。


覚えやすくなったでしょうか・・・(笑)

以上

ホタル生態環境館に関する説明会での出来事

Nスタで取り上げられたホタル生態環境館の廃止問題」の記事で取り上げた「ホタル生態環境館に関する説明会」は、2014年7月31日18時30分から高島平区民館で板橋区によって開催されました。以下の都政新報の記事は住民が区の廃止決定に猛反発したことを伝えています。


さて、 この説明会には、「「板橋区 ホタルの闇(11)」について」で取り上げた記事を書いた松崎いたる区議も出席されていました。出席していた人から話を聞いたのですが、松崎いたる区議は以下のような行動を取られたそうです。区議としては問題だと思ったので、書き留めておく次第です。

  1. 参加者からの質疑の時間に、松崎区議が参加者の一人として質問を行った。
    ⇒ 区会議員の質問を禁ずるルールがある訳ではないでしょうが、区議会や区の環境委員会で豊富に質問のチャンスを持つ区議が、市民への説明の場で質問をして、市民の質問時間を削っても良いのかという疑問を感じます。
  2. 松崎区議はビデオカメラで市民(参加者)の方にレンズを向けて撮影し始めた。参加者の一人がその姿を写真に撮りに行ったところ、松崎区議は参加者を撮るのを止め、行政の方にレンズの向きを変えた。
    ⇒ 参加者からの異論を封殺しようという意図を感じる話でした。こういった行為は行政に対する批判を封じる危険性があり、良くないことだと思います。この撮影映像がどうなったのか、非常に気になります。

以上

2014年9月14日日曜日

「板橋区 ホタルの闇(11)」について

板橋区の松崎いたる区議が「Nスタで取り上げられたホタル生態環境館の廃止問題」で取り上げたのと同じ番組についてブログ記事を書いておられます。
板橋区 ホタルの闇(11) 崩れだした虚構 : 板橋区のいたる所にいたるがいたよ~松崎いたるの日々雑感
http://itall.exblog.jp/21099148/
この記事について、納得できない点があるので、いくつかコメントさせていただきます。

まず第一に、この番組内容で最も重要なポイントは、板橋区行政の進め方に対する問題指摘だと思います。20年以上にわたって見学者を楽しませてきたホタルの数が2万匹から23匹に減ったとされ、その原因について十分な説明もなく、廃止の結論だけが先行して進んでいるという状況は問題だと思います。

去年までたくさんのホタルがいて、1万人以上の見学者が自分の目で見ているのに、なぜ急にホタルがいなくなってしまったのか、誰でも疑問に思うでしょう。ところが、原因について十分な説明はなく、納得できない人が多くいるままで、それでも板橋区は「廃止」という結論だけは出す・・・この強引なやり方は批判されて当然だと思います。区会議員には行政のやり方を厳しくチェックする役割を期待するので、まず、この行政のやり方をどう思っているのかを書いて欲しいと思います。

次に、この暴露に対する評価についての疑問です。以下、「>」は松崎区議のブログの文章からの引用です。
>「上司の指示」でウソをついたという阿部氏の「暴露」も信じることはできません。
>指示をした上司とはだれか? 直近の課長か? その上の部長か? それとも区長がじかに阿部氏に指示をしたのか? 秘密を守る見返りはなんだったのか?ーー阿部氏は指示されたときの状況を何ひとつ説明していません。
告発する相手に反論の機会を与えていないテレビ番組で、相手の名前を出すのはむしろ問題でしょう。番組スタッフに対して阿部博士が詳しい事情を語ったかどうか分かりませんが、テレビ番組として、その名前を隠すのは妥当だと思います。むしろ、本件については、区会議員が行政に調査を依頼して明らかにすれば良いのではないかと思います。
>そもそも、予算にもかかわる「ウソの報告」は、明らかになれば即刻懲戒免職にもなりうる重大な不正行為です。
>しかも生息数のグラフを見れば一目瞭然ですが、20万匹という数字は突出しており、こんな不自然な数字を出して、誰も疑わないほうが不思議です。
ご指摘の通り、板橋区から報告された以下のグラフを見れば極端な数の増減の理由を確かめたくなります。
しかし、現実には、1994年度から実に20年の間、この不自然な数字は問題になってきませんでした。「誰も疑わないほうが不思議」なのですが、実際にはこの不思議は追求されなかったのです。誰も疑わなかったのは何故なのか、今後のためにも真摯に追求した方が良いと思います。
>これを上司が指示したとすれば、かなりのリスクです。部課長が、これほどの大きなリスクを負ってまで、阿部氏に指示をしたとは到底思えません。
発生から20年後の今日まで秘密は暴かれませんでした。今回、阿部博士が懲戒免職になり、その無効を主張して裁判で争っている状況が背景にあって、はじめて暴露が行われたのだと思います。もし、この懲戒事件が起っていなければ、永遠に秘密のままに終わってしまったのでは? リスクをリスクと感じない土壌が板橋区行政の中にあったのではありませんか? それを正して行くのは、今後の行政健全化のためにとても大事だと思います。
>阿部氏の告白はこのうち1995年(平成7年)の「20万匹」について、「ウソ」として否定したわけですが、20万匹がウソとなれば、1993(平成5)年の「66,346匹」も、最近の「年間約2万匹前後」も、真実の生息数として信用できる根拠は何もないことになります。
阿部博士の「20万匹はウソ」という証言は信用するが、「2万匹いた」という証言は信用できない、というのは、たいへん恣意的な証言の取捨選択に思えます。もし、ホタル成虫の数を確かめたいのであれば、数の証言だけに頼るのではなく、どのような方法でホタル成虫を数えてきたか、そしてその記録に矛盾や不審な点はないか、を確認すべきだと思います。

私がホタル生態環境館のボランティアの人に伺った話では、ホタル成虫数の確認は、ホタルが羽化する季節に、毎晩毎晩、闇夜に目を凝らして、上陸してくるホタル幼虫の僅かな光を数えるのだそうです。気の遠くなるような、根気のいる作業です。このような方法で数を数えていたのだとすると、毎晩のカウント数が業務日誌なりの資料に記されているのではないでしょうか。過去の履歴を振り返るのであれば、この数の記録が確からしさの根拠となると思います。

実を言うと、私は、この20万匹詐称事件の真相糾明は難しいと思います。余りにも長い期間が経ち過ぎているからです。ウソをつくように命じた上司がいたとしても、今更、処罰するのが適当とは思えません。重要なのは、区のトップがこの事件を反省して、「どのような理由にせよ、事実の数字を偽るような事は決してあってはならない。事実は事実として公正明大に報告すべきだ」というメッセージを区議会なり記者会見なりの公の席で発する事です。「予算獲得のためにはウソの数字を作って良い」等という土壌があっては、決して良い行政はできないと思うからです。

以上

2014年9月8日月曜日

ホタル生態環境館での「飼育」とは

板橋区ホタル生態環境館ってどんな所なのか? 新高島平駅から歩いて5分〜10分くらいでしょうか。小学校の脇の道を進んでいくと、古びた感じの平屋の建物とガラスハウスが見えます。ここが板橋区ホタル生態環境館です。

このガラスハウスの中に、ホタルの棲むせせらぎが流れています。人工的に作られたものですが、できるだけ自然の状態に近づけるように工夫されています。板橋区のホームページに載った「ホタル生態環境館のご案内」というページには以下のようなせせらぎの写真が載っています。植物が繁茂しているので夏の時期の写真でしょうか。


今はホタル生態環境館のホームページが廃止されてしまったようなのですが、昔のホームページには以下のような写真が載っていました。夜、ゲンジボタルが発光しながら飛んでいる様子を撮影したものでしょう。幻想的な光景です。


以下のような記事も載っていました。大事なことが書いてあります。
当施設ではホタルの数を無理矢理増やしているのではなく、あくまでも生態を重視し、ほぼ自然の状態にしている事で、ホタルの永年発生を得ております。
 これがホタル生態環境館の思想でした。


昆虫を含む小動物の「飼育」と言うと、プラケースのような飼育箱を用意して、毎日餌をやり、時々水を替えたり排泄物を掃除する…という行為を思い浮かべます。いわゆる「バット飼育」です。おそらく、ホタルを「飼育」している人や業者の多くも同じように考えているでしょう。

しかし、ホタル生態環境館で行われていたのは、こういう「飼育」とは全く異なる営みでした。そこでは、ひたすら、ホタルに適した自然環境を再現し、維持するために多くの努力が傾注されていました。

餌を与えたりしません。餌となるカワニナは一緒に棲んでいました。排泄物の掃除もしません。排泄物はせせらぎにいる微生物や小さな生き物が始末していました。いわゆる「飼育」は行われていませんでした。その代わりに、頻繁に水質を検査し、おかしな所があれば濾材を調整して清浄さを保ち、適切な温度・湿度を保つために通気口を開閉し、霧吹き散水するといった、生態環境を保つためのたいへんな努力が続けられていました。

ホタルは「飼育」されていたのではなく、そこに棲んでいたのです。「ホタル生態環境館」とは秀逸な命名です。ホタルを飼育していたのではなく、ホタルが棲むのに適した生態環境を整えていた施設だったからです。

できるだけ自然を模倣する。そして、ほんの少しだけホタルに有利なように手を加える。例えば、カメムシやヒルなどの天敵の駆除や、水温のコントロールを行う。これによって、ホタルの生育率は自然界より少し高くなっていたでしょう。この成果が毎夏の約2万匹のホタルの羽化だったのです。

飼育ではなく、生態環境の構築と維持。私はこれこそがホタル生態環境館の本質だったと思います。

以上


2014年9月7日日曜日

Nスタで取り上げられたホタル生態環境館の廃止問題

2014年9月5日(金)夕方のテレビ番組「Nスタ」(TBS)でホタル生態環境館の問題が取り上げられました。Twitterで菅野政治氏がツイートされているように、これまで2万匹のホタル成虫がいて、訪れる人々に愛されてきたホタル生態環境感が、板橋区の調査によって「推定23匹のホタルしかいない」という結果を出され、その謎に対する説明は十分でないまま廃止の結論だけが先行しているという問題に焦点を当てたものでした。


ホタル生態環境館は、知る人ぞ知る人気の施設で、特に毎夏6日間にわたって開催されていた夜間特別公開には多くの人が訪れていました。以下の動画を見ると来場者が感動している様子が良く分かります。また、2013年の来場者がTwitterで語った感想はここにまとめてあります。


大きな問題となっている板橋区の「あり方検討結果」の資料の中に入館者数の推移が示されています。下図を見ると、ここ10年以上、毎年3万人を超える人達が訪れていたのがわかります。

図1 ホタル生態環境館の入館者数の推移
(平成25年度は12月末現在の値)

さて、この番組の中では、元館長の阿部宣男博士から新たな爆弾発言がありました。板橋区議の中妻じょうた氏のツイートからその画面を引用させていただきます(下図)。


その告発部分をだいたい書き起こしてみました。不正確なところがあったらご指摘いただければと思います(赤字は引用者がつけました)。
質問者:(区はホタルを)持ちこんでいたんじゃないかと言っているが?
元館長:アハハ。あのね、今ホタルさんはどこに行ったら採れるんでしょうか。逆に。
ナレーター:外部からの持ち込みという疑惑をきっぱりと否定した元館長。毎年およそ2万匹をしっかりと飼育してきたのに、今年1月の区のずさんな調査によって幼虫が死んでしまったのだと主張しました。
ナレーター:しかし、ピーク時には20万匹いたという報告について、元館長は・・
元館長:20万匹というのはウソです。当時、板橋区として「数を拡大して言え」というのがあったんです
ナレーター:20万匹というのは上司の指示による予算獲得のためのウソの報告だったというのです。
元館長:あの施設で20万飛ぶわけはないだろうという部分は実はある。ただもう記録に残っちゃってるので、私はだから言わない。今日までひと言も誰にも言ったことがなかった。今回初めて自分は暴露した。
ホタル生態環境館のホタルは卵から成虫になるまで、館内のガラスハウスの中にある「せせらぎ」で生活していました。ホタルが棲んでいたのです。
そのせせらぎで毎年羽化する成虫は約2万匹と発表されてきました。しかし、上の画面にあるように1994~1995年度あたりだけは、20万匹に迫る勢いで、私自身もなぜこの時点だけ成虫数が10倍も多かったのか不思議に思ってきました。

その謎が解けました。元館長の発言が真実だとすれば、板橋区行政の上司が予算獲得のために成虫数を水増しして報告しろと指示していた事になります。行政の不正です。今後の板橋区・区議会で、真相が追及され、指示したと言われる上司やそれを看過してきた行政組織の責任が明らかにされるのを期待したいと思います。

以上