2017年1月1日日曜日

原研によるナノ銀放射線低減実験報告書の問題点(3)~初期値の測定について

これまで原研から出たナノ銀による放射線低減実験の報告書については以下の記事で批判してきました。



年末に再度問題点について議論したので、その時の結果をまとめておきます。
今回は「初期値」の測定についてです。

阿部宣男博士が松崎いたる区議を名誉棄損で訴えた裁判に出された準備書面には以下のように記されています。ここに書かれている通り、原研は、ナノ銀を混合した試料について、ナノ銀を混合する前の放射線値(=阿部宣男博士の言う「初期値」)を計測していません。


以下に引用します。
2 原研試験の測定方法等の問題点
(1) 1回目及び2回目に共通する問題点-初期値の測定の不存在
本件で行われるような試験の場合、通常採用している検証測定方法は、まずは
各試料の初期状態、すなわち何も施していない状態でそれぞれの線量値を測定
し、そのあと、試料にナノ純銀担持体 (必要なら対照試料を用意し、非ナノ純銀
担持体)を施し、その後の各試料の線量変化を測定していくものでなければなら
ない。
原研による第1回試験・第2回試験とも各試料の初期値 (ナノ純銀を添付ない
し混合する前の段階の線量値) が測られていない。
原研は2回目の実験測定の報告の中で以下のような図を提示しています。私が赤線を付けた部分(2箇所)には、「初期値・・・」と書かれています。これを見て、原研は初期値を測定していると主張される人がいるようですが、これは阿部宣男博士らが要請していた初期値とは異なるものです。

原研による2回目の実験測定の手順を記した部分が以下になります。

以下にその部分を引用します。試料を準備する前処理段階でナノ純銀を汚染土壌に混ぜているのが分かります。つまり、ナノ銀を混合した試料に対して、原研の報告書にあった「初期値」とは、汚染土壌にナノ銀を混ぜた後の初回の測定値の事を言っているのであって、阿部宣男博士らが要請していたナノ銀を混ぜる「前」の測定値ではありません。
前処理
[試料]
①汚染土壌を秤量する (約50g)。
②ナノ純銀パウダー (タルク (ろう石約1μm)にナノ純銀を担持(150ppm)したもの)を汚染土壌に適量混ぜる (約3g)
③全体が均一になるようによくかき混ぜた後に、汚染土壌をU8容器に装てんする。
ふたをし、密封した後、識別のために容器に試料名などを記載する。
この初期値の測定については、1回目の試験の後、原研側と対面の会議を行って阿部宣男博士らの側から要請を行っていた事情は、阿部宣男博士側が提出した準備書面に以下のように記述されています。このように要請したにも関わらず、原研はその要請を無視して、全く意味の異なる「初期値」を測定したことになります。


以上

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