2015年9月22日火曜日

松崎いたる区議の学説は正しいのか?~フェロモンの抗菌効果~

松崎いたる区議は自身のブログにて、フェロモンには抗菌効果など無いと主張されています。


以下はテキストでの引用です。
〇「クロマルハナバチのフェロモンの抗菌効果」
  ホタル館では、飼育担当元職員によって「クロマルハナバチのフェロモンには抗菌効果があり、ホタルと共生関係にある」とか、「ホタルは磁気を感じとり、東西方向に流れる川にしか生息せず、南北方向にしか上陸しない」とか、「ナノ銀溶液をかけただけで放射能を分解し、除染できる」などなど、数々の珍説・奇説が流布され続けてきました。
 これらは従来の確立された科学的知見に照らして検証すれば、科学には値しないニセ科学であることは、すぐにわかるものばかりです。
 生物のフェロモンは同種の別個体に、その受容体があって初めて効果があらわれるものです。偶然、別種の生物である細菌に何らかの効果を発現すると仮定したとしても、ごくごく微量のフェロモンを抽出し、その効果や因果関係を実証することは研究施設でもないホタル館では不可能です。
この松崎いたる区議の学説は正しいのでしょうか?

ミツバチが出す分泌物には抗菌性のあるものが知られています。代表例はプロポリスです。Wikipediaの記述から引用します
日本では、1991年9月に開催された「第50回日本癌学会総会」で松野哲也(国立予防衛生研)がブラジル産プロポリスに抗腫瘍活性(腫瘍細胞が活発に増殖するのを抑えたり、腫瘍細胞を死滅させたりする働き)をもった物質が含まれていることを発表[11]。このことがきっかけとなり、研究が急速に進展した。その後も、林原生物化学研究所がプロポリスのエタノール抽出物からマクロファージ活性・抗菌性などの効果を発見するなど、研究が盛んに行われるようになった。
これ以外にも、ハチの毒には抗菌性がある事が知られています。以下の記事によると、アミノ酸が繋がって構成されている「メリチン」というペプチドが抗菌性の正体のようです。更には、セイヨウミツバチの雄蛹に抗菌活性を持ったペプチドが含まれているとして特許が取られていたりします。
すごい自然のショールーム --- ハチ毒に含まれる抗菌性ペプチド「メリチン」
http://nature-sr.com/index.php?Page=11&Item=30
ネイチャーテクノロジーデータベース NatureTech Database
抗菌性ペプチド「メリチン」を主成分に持つハチの毒
http://www.naturetech-db.jp/contents/view/51
上記のように、ハチが抗菌性のあるペプチドを使っているのは「珍説」でも「奇説」でもありません。問題は、フェロモンの中にペプチドのような抗菌性をもった要素があるか否かという事でしょう。

関連する記事を探したところ、2006年に書かれた以下のブログ記事を見つけました。フェロモンはその目的から揮発性の高い分子で構成されるため、分子量の多い(=重い)ペプチドが発見された報告はほとんどなかったそうです。ところが、アシナガバチが毎年同じ場所を越冬場所として選ぶ原因を調べたところ、ある種のペプチドが越冬場所に塗りつけられており、誘引性と抗菌活性を持っていることが判明したそうです。


また、同じブログの「シロアリの巣コロリへの道が開かれた」という記事では、以下のようにシロアリにも抗菌性を持ったフェロモンが発見されたと記載されていました。面白いですね。


アシナガバチとシロアリの例は、フェロモンが抗菌性を持ちうる事を示す具体例だと思います。クロマルハナバチのフェロモンに抗菌性があるか否かは分かりませんが、少なくとも「珍説」や「奇説」と言われるほどのものではないでしょう。

結論として、松崎いたる区議の主張する「フェロモンに抗菌性は無い」という説は否定されていると思いますが、如何でしょうか? また、松崎いたる区議には、ご自分の主張の帰結として、アシナガバチやシロアリのフェロモンに抗菌性を認めた原論文の著者と言論で対決して欲しいですね(松崎いたる区議として主張の整合性を取るためには、この著者達をニセ科学者だと糾弾するのがスジだと思います)。

さて、私の主張を松崎いたる区議にぶつけてみたのが以下のツイートです。

そうしたら、以下のような返事をいただきました。いきなり、「抗菌なんて関係ない」とのご指摘。いったい、ご自分のブログでの主張は何だったのでしょうか?
以上

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