2015年6月14日日曜日

資料: 2012年4月~2015年3月のホタル生態環境館の電力使用量など

2012年4月から2015年3月までの3年間のホタル生態環境館の電力使用量などのデータを情報公開請求された方から資料をいただきました。

この間、飼育を行っていた実質的な担当は以下になります。
2012年4月~2014年1月: 阿部宣男博士による飼育
2014年2月~2015年3月: 自然教育研究センターによる飼育

つまり、2014年2月を境にして、どのように使用量が変わったかを見れば、飼育方法の違いを推定する手がかりになる筈です。これもたいへん重要な資料だと思います。



以上

2015年6月13日土曜日

むし企画代表が板橋区を訴えた裁判で板橋区が「ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と回答

2014年1月27日に板橋区によるホタル生息数調査が実施された直後、飼育業務を委託されていた「むし企画」が板橋区から突然契約を解除されました。時系列で見ると以下のようになっています。

2014-01-27
  • 板橋区による抜き打ちのホタル生息数調査。元館長への事前連絡一切なし。
  • 作業委託先は(株)自然教育研究センター。資源環境部長と環境課長が立会い。
  • 調査の結果、見つかったのはゲンジボタル2匹、ヘイケボタル0匹。全体として23匹と推定。
2014-01-30
  • 同日夕方、元館長に対し課内異動が発令され、館長職を解かれる。
  • 更に、元館長に対し「三日以内に立ち退くように」と業務命令が出される。
  • 業務委託されていた『むし企画』に対し、板橋区から電話にて2月1日にて契約解除すると通告。内容証明付き郵便にて契約解除通知が発送される。(元の契約期間は2014年3月31日までであった)
2014-02-01
  • 「むし企画」との契約が解除され、新たに「(株)自然教育研究センター」の契約がスタート。

解除の前々日に解除通知を電話で行うのは相当の異常事態だと思います。この解除理由については、総務部長が以下のように議会で説明していました(赤字は引用者による)。(2014年2月には環境課長が訂正答弁を行っていますが、総務部長答弁の方が新しいのでこちらを採用しました)
2014.10.28 : 平成26年 決算調査特別委員会 本文
◯総務部長
契約行為として問題があるんではないかというご質問でございますけれども、ホタル生態環境館に係る本業務委託契約につきましては、これまでむし企画が蛍の飼育に係る業務について、蛍に係る飼育技術や飼育実積から契約の相手方として最適であると判断し、随意契約を行ってきたものでございます。
このたび、本契約の履行状況やむし企画の実態に関するむし企画の代表者の話等から、今後、契約履行は不可能と判断し、契約の解除を行ったものでございます。
むし企画は契約を解除されたので、この契約に関わる契約金を得ておらず、この処分を不当として板橋区を被告とする裁判を起こしました。

この裁判で板橋区から驚くべき見解が示された事が、阿部宣男博士のブログに掲載された裁判資料にて判明しました。ここでは2点を取り上げます。一つは、板橋区が「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と表明したこと、もう一つは、阿部宣男博士が「仕様書記載の業務内容について履行を確認してした」と認めたことです。

原文を引用します(赤字は引用者による)。

原告(むし企画代表)から出された求釈明申立書は以下です。
求釈明申立書 
平成27年4月28日 
被告資源環境部環境課が平成27年1月に作成した「板橋区ホタル生態環境館のホタル等生育調査結果と元飼育担当職員の報告数との乖離について(報告)」(以下、「乖離報告書」という。)は、「Ⅸ 総括」において、「塩基配列解析(DNA)調査報告によると、ホタル生態環境館において平成26年に羽化または発見されたゲンジホタルのDNA調査では、福島県大熊町のホタルではなく、西日本地方のDNAを持ったゲンジボタルであることが明らかになった。これは、西日本地方のDNAを持ったホタルが人為的に移動されていた可能性が高いということを示しており、元飼育担当職員が述べていた累代飼育がなされていたなら、西日本地方のホタルが存在するというのは不自然である。」、「ホタル生態環境館のホタルは、外部から人為的移動により持ち込まれ、累代飼育も行なわれていなかったものと考えられる。」としている。 
他方で、被告指定代理人篠岡氏は、平成27年4月10日の口頭弁論期日において、本件訴訟では、「乖離報告書の記載内容に基づく主張をする予定は無い」、「乖離報告書はホタル館のホタルのDNAに関するものであり、ホタルの飼育実態についてのものではない」、「ホタル館におけるホタル飼育の実態を争う予定は無い」と述べた。 
以上を前提として、被告に対し以下の点について釈明を求める。 
なお、実際には、ホタル持込みの事実はなくホタル館では累代飼育が行なわれていたのであり、以下の釈明によって、原告として、乖離報告書の記載内容が事実であると認めるものではないことを、念のため付言する。 
1 被告指定代理人のいう「ホタル飼育の実態」について
被告指定代理人の「ホタル飼育の実態を争う予定は無い」との発言の趣旨を明確にされたい。
具体的には、①ホタル館においてホタルの持込みは無く、ホタルの累代飼育が行なわれていた実態を争わないという趣旨であるのか、それとも、②ホタル館においては累代飼育は行なわれておらず、持込みホタル飼育の実態しかなかったが 、それでも、原告の委託業務自体の履行としては問題としないという趣旨であるのかを明確にされたい。
また、②である場合、ホタル館における「持込みホタル飼育の実態」は、平成25年度のみであるのか、それ以前からであるのか、後者である場合いつからであるのかも含めて、被告の認識を明確にされたい
。 
2 原告の委託業務の履行について 
(1)  被告において、以下の事実を認めるか否か明確にされたい。
仮に問題があることを指摘する場合には,そのことがどのように本件業務委託契約の解除に結び付く事実となるのかについても明らかにされたい。 
① 阿部氏を含む被告職員以外の者(補助者・ボランティアスタッフ等)が、本件委託業務(ホタル生態環境館・ビオトープ(実験水路)管理及びホタル飼育・水質管理調査)業務に従事していたこと 
② 原告が、ホタル館に、上記委託業務に必要な資材(器具や生物*別紙1記載のもの等)を納品していたこと(但し,すべて正確に別紙1記載のものが納品されていたかを問うものではなく,基本的に原告が納品していたことのあるものを掲示しており,必ずしもこれに限定する趣旨ではない) 
③ ①②も含めて別紙の原被告間の仕様書にかかる業務内容(別紙2参照)の履行はなされていたこと 
(2) 被告は、原告が直接に補助者らを指揮監督していなかった点のみを契約違反の理由と主張するのか否か明確にされたい。併せて、その余の契約違反の理由を主張する予定がある場合には、その理由を明示されたい。 
以上
これに対して、被告である板橋区は以下のように回答しました。

1 求釈明事項1について 
ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わないとの趣旨である。 
2 求釈明事項2について 
(1) 同①について
被告職員以外の者が、本件委託業務に従事したことのあることは認める。 
(2) 同②について
本件契約は、消耗品の納品自体を目的とするものではなく、乙第1号証添付の各仕様書「5.業務内容」欄記載の役務の提供を目的とするものであることから、求釈明申立書別紙1記載の品及びそれに記載されていない品の納品状況は不明である。 
(3) 同③について
本件委託業務の遂行に原告が最適であると推奨した元被告職員阿部氏が、平成25年4月から平成26年1月までの間、乙第1号証の仕様書記載の業務内容について履行を確認していたことは認める。 
(4) 同(2)について
被告は、原告の主張、主張整理の結果、争点に対する裁判所の訴訟指揮など、訴訟の推移に応じて、適時適切な主張をする予定である。 
以上
原告の求釈明申立書にあるように、4月10日の口頭弁論で板橋区代理人から「ホタル館におけるホタル飼育の実態を争う予定は無い」という表明があった事を受けて、原告はより詳細にその意味を確認したいと要求しています。
これに対して、板橋区は「ホタル施設内で、ホタルが飼育されていたという事実は争わない」と回答したのです。さらに、阿部宣男博士が「仕様書記載の業務内容について履行を確認していた」ことも認めています。

この「事実を争わない」というのは、民事訴訟法159条1項によって自白があったとみなされるそうです(擬制自白)。素人理解では、板橋区はホタル館におけるホタル飼育の実態があったと認めたという事でしょう。
(自白の擬制)
第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2  相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3  第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
さらに「仕様書記載の業務内容について履行を確認していた」とも認めているので、板橋区の総務部長が述べた「本契約の履行状況やむし企画の実態に関するむし企画の代表者の話等から、今後、契約履行は不可能と判断」という理由が具体的にどのような事実に支えられているのか分からなくなりました。

板橋区は議会での答弁と矛盾したことを裁判で出してきたとの理解です。
過去の答弁の修正も含めて、板橋区は整合性のある説明をする責任があると思います。

以上

2015年6月7日日曜日

データ分析: 自然教育研究センターのせせらぎ水温管理

2014年2月からホタル生態環境館の管理業務を行っていた自然教育研究センターの管理日誌から、せせらぎの水温のデータを拾ってみます。ホタル幼虫の生育には水温を冷たすぎず熱すぎず保つのが重要だと認識しています。

管理日誌の「せせらぎ水路」の「水温(℃)」のデータを拾って、東京の平均気温のデータと一緒に時系列に並べたのが以下のグラフです。見にくい場合は別画面でどうぞ。

水温の測定時刻が一定しないためのバラつきはあると思われます。
東京の平均気温データは以下のページからダウンロードしてきました。
 気象庁|過去の気象データ・ダウンロード
 http://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php

せせらぎの水温の時系列変化(2014年2月8日~9月30日)



グラフを見ていただくと以下の疑問が浮かび上がってきます。
  • せせらぎの水温は、季節が冬、春、夏と進むに連れて、どんどん上昇している。
    5月中旬から17℃以上の日が続出し、最高温度は9月25日の25.6℃である
    。
    ホタルの飼育環境としては暑すぎるのではないか。
  • せせらぎには、水の冷却・温熱が可能な装置が設置されていたにも関わらず、水温を制御していなかったのではないか。
    なぜ、ホタルの飼育を引き継ぐまでの飼育方法(温度コントロール)を踏襲しなかったのか? まるでホタルが育って貰っては困るかのような温度制御放棄に見える。
以上


データ分析: 自然教育研究センターのせせらぎ溶存酸素量(DO)測定2

2014年2月からホタル生態環境館の管理業務を行っていた自然教育研究センターの管理日誌から、せせらぎの溶存酸素量(DO)のデータを拾ってみます。ホタル幼虫の生育には水中に十分な酸素が溶け込んでいる必要があると言われており、従来のホタル生態環境館では、できるだけ飽和溶存酸素量に近いレベルを保つようにしていたそうです。

前回は測定回数を調べました。今回は、DOの測定値について調べてみました。

溶存酸素量(DO)は、水中に溶存する酸素の量を示します。DOには上限値があって、それを「飽和溶存酸素量」と呼びます。Wikipediaによると、「飽和溶存酸素量は気圧、水温、溶存塩類濃度などによって変化する」とのことで、蒸留水、一気圧下における各温度の飽和溶存酸素の一覧が載っています。

管理日誌に記録されているせせらぎの水温、DO値などの計測値に飽和DOとDO率を付け加えたのが下表です。(管理日誌からDOを計測したデータのみを抽出した)

飽和DO: Wikipediaにあった蒸留水、一気圧下における各温度の飽和溶存酸素量一覧から
DO率: 測定されたDOと飽和DOの比率

日付時刻気温水温pHDO飽和DODO率
2014-04-0111:3918.712.58.1513.610.31131.9%
2014-04-0809:3623.813.18.0910.010.1798.3%
2014-04-1509:2023.713.38.0111.410.13112.5%
2014-04-1915:0715.112.98.2110.210.2299.8%
2014-04-2010:4512.113.68.039.910.0698.4%
2014-04-2214:5318.113.08.129.110.2089.2%
2014-04-2614:2025.113.88.059.710.0296.8%
2014-04-2916:3518.413.28.098.210.1580.8%
2014-05-0611:3813.013.38.129.210.1390.8%
2014-05-1314:5024.315.07.387.59.7676.8%
2014-05-2014:1526.217.87.969.09.2297.6%
2014-05-2715:4724.617.38.209.69.31103.1%
2014-06-0314:4025.818.58.039.59.10104.4%
2014-06-1015:0822.517.38.278.99.3195.6%
2014-06-1713:1522.818.78.216.69.0672.8%
2014-06-2413:1023.118.37.697.19.1377.8%
2014-07-0116:4022.418.17.486.99.1775.2%
2014-07-0815:3028.319.47.277.18.9479.4%
2014-07-1514:1324.820.67.886.98.7578.9%
2014-07-2214:0526.319.77.686.08.8967.5%
2014-07-2914:2029.119.88.047.78.8886.7%
2014-08-0514:0724.221.47.886.88.6278.9%
2014-08-1211:4227.322.77.555.98.4469.9%
2014-08-2209:1526.123.87.716.48.2977.2%
2014-08-2611:5025.823.87.416.08.2972.4%
2014-09-0213:4526.524.67.746.68.1880.7%
2014-09-0913:1027.023.87.927.28.2986.9%
2014-09-1616:5024.324.27.837.68.2392.3%
2014-09-2313:0725.821.87.926.48.5674.8%
2014-09-3015:0025.322.37.847.48.4987.2%

上記のデータから、DO測定について以下のような疑問があります。

  • 飽和溶存酸素量を越えるDOを測定したケースが4回ある。(DO率が100%を越えているケースで、上の表の黄色のセル)
    特に、4月の測定では132%、113%と10%以上も上回っており、測定環境条件の差と見るには大きすぎる。
    このような異常値に対して、管理日誌に何らのコメントも記載されていない。これで正常な管理と言えるのだろうか?
  • DO率が80%を下回るケースが12回もある。うち2回は70%を下回っている。(上の表のピンク色のセル)
    DO率の低さは水質悪化の危険性を示しているが、これについても管理日誌に何らのコメントも記載されていない。これで正常な管理と言えるのだろうか?

以上

データ分析: 自然教育研究センターのせせらぎ溶存酸素量(DO)測定

2014年2月からホタル生態環境館の管理業務を行っていた自然教育研究センターの管理日誌から、せせらぎの溶存酸素量(DO)のデータを拾ってみます。ホタル幼虫の生育には水中に十分な酸素が溶け込んでいる必要があると言われており、従来のホタル生態環境館では、できるだけ飽和溶存酸素量に近いレベルを保つようにしていたそうです。

今回は、まずDOの測定回数を調べてみました。以下の表に自然教育研究センターが管理を開始した2014年2月から9月までのDO計測回数を示します。

月日数DO計測回数業務委託仕様(抜粋)
2210毎日、ホタル流れ(せせらぎ)、およびビオトープ(実験水路)における水温、DO、pHを計測する。
3310同上
4308ホタル流れ(せせらぎ)、およびビオトープ(実験水路)における水温及びpHについては毎日、DOについては、月に1回以上計測する。
5314同上
6304同上
7315同上
8314同上
9305同上

上の表の「業務委託仕様(抜粋)」の欄には、板橋区が自然教育研究センターと締結した委託契約の中にある仕様書から、DOの測定に関する部分を抜き出したものです。

これを見ると、2月~3月の契約では毎日DOを計測する仕様になっていますが、管理日誌にはDO測定結果を載せる欄が無く、1回も計測されていない事が分かります。

これは契約違反であり、水質管理作業の品質を満たしていないと思いますが、なぜ板橋区はこのような違反を見逃しているのでしょうか? それとも仕様自体を変更したのでしょうか? 2014年1月まで飼育業務を委託されていた「むし企画」は、質問に答えられなかったとの理由で突然契約を解除されました。しかし、自然教育研究センターは、このような契約違反と思われる報告をしながら、何も処分を受けていません。たいへん不公平な処遇であると感じますね。何か理由があるのでしょうか?

以上



2015年6月1日月曜日

写真: ゲンジボタルの初羽化

これも、阿部宣男博士のFacebookから借用させていただきました。
2015.5.26に見られたゲンジボタル今初夏初羽化の写真とのこと。苔は「ハナ苔」です。


以上

写真: ゲンジボタル幼虫の密集

ゲンジボタル幼虫が密集しているシーンの写真です。


10㎝四方にいるゲンジボタル3齢~終齢幼虫。白御影石の1粒の大きさは約15㎜前後。何匹いると思いますか?
Posted by 阿部 宣男 on 2015年5月27日



ゲンジボタル終齢幼虫の塊。
Posted by 阿部 宣男 on 2015年5月28日


以上